諸悪の根源は「キャッシュフローの管理がダメ」
現金が思うようにコントロールできない。
入ってきてもすぐに出て行ってしまって、なかなか利益がたまらない。
多くの経営者が頭を抱えている事柄だと思います。
いわゆる「キャッシュフロー」の管理は利益率をあげるために避けては通れないポイントですが、多くの経営者がこれをないがしろにしているという悲しい現実もそこにあるようです。
ROI(投資利益率)を測定していないことが原因であることが大半ですが、測定していたとしても間違った方法・考え方で行っている場合も多々あります。
ここでは「キャッシュフロー」改善のために行うべきことをご紹介し、過剰な出費を抑えるコツを押さえていきましょう。
作戦その1 プロセスを分けての「効果測定」を行う
経営が苦しくなってくると、マーケティングの予算を真っ先に減らそうとする動きをするケースが多々みられます。
それが数字の裏付けに基づく動きであればよいのですが、大半は裏付けの不完全な「増収プラン」に期待をよせ、そちらに力をいれようとします。
数字の裏付け、すなわち「効果測定」を行うことをないがしろにして事業を進めると、キャッシュフローの改善は後退するばかりで現金は逃げていく状況が続きます。
まず行うことは、マーケティングの効果がどう現れているかを測定すること。
その活動を細かくプロセスごとに分割して、投資した金額に対して、それぞれ効果がどう現れているかを測定することが大事です。
広告を出すことにより、永続的かつ大口の顧客を獲得できたという効果が示されれば当然広告費は必要となります。
また現状では売上が思うように上がらない新規事業でも、その仕組みから数ヶ月後には投資した額を回収できるという根拠が示されれば、これから撤退する手はありません。
一方で、レスポンス率の低い広告や、売上のない営業マンの給与などについて、データの分析いかんでは減額の対象となります。
このように、必要なところには投資を、経費として現金が出ていくばかりのところにはメスを入れる、といった対処を行う際に、「効果測定」は必要になるのです。
作戦その2 バーター取引を導入してみる
「キャッシュフロー」の管理のために取り入れてみたい一つの方法としてあげられるのは、「バーター取引」です。
すなわち「物々交換」と一般に呼ばれているものですが、現実に行われているものでは以下のようなものがあります。
設備投資で利用
PCなどの更新で利用する会社があります。
例えばそのままでは現金25万円するPCを値切る交渉を行います。
値切った価格の一部を自社の商品やサービスで支払う交渉をし双方が同意したら、その価格で購入することを決定します。
値切って22万円にし、その一部を商品やサービスで支払う、ということはその分現金の支出を節約できます。
さらに効果的なのは、その商品やサービスがすぐに利用されることはまずないことからその期間無利子で支払いを延期できるということがあります。
また、利用された商品やサービスから、あらたな顧客が創出できるという二重のメリットも期待できるところです。
金券やサービス券などを利用する
上記に準じますが、自社の発行する金券やサービス券を利用することで現金の節約や支払い先延ばしが可能になります。
例としては観光産業ではホテルなどの宿泊券や交通機関の乗車券、商店では買い物券などがあげられます。
これらを現金の代わりに支払うことで設備投資の場合と同様の効果を出すことが出来ます。
また、金券やサービス券はたいてい使用期間が設定されているので、使用期限を区切ることができます。
そのため、支払った相手がそれを使用しないこともありその分が「債権放棄」という形での皮肉な形でのメリットをもたらすことも期待できます。
バーター取引で得たものを現金化する
支払いとは別に、得たものを現金化することで利益をもたらすことができるのもバーター取引の特徴です。
支払ったコスト以上の金額で売却・換金できる例が多くあり、中小企業だけでなく名前の知られるような大手企業においても日常的に行われているといいます。
とある放送局の空き放送枠に対し自動車で支払われた取引の例をあげると、提供した放送枠についてはコストが全くかかっておらず、支払われた自動車は市価に対し3割引きで従業員などに販売してキャッシュを獲得。
さらに残った車について、放送機器メーカーと取引し、一銭のキャッシュを支払うことなく新たな放送機器を手に入れてそこから更なる利益を得ることができた、ということがありました。
この方法を応用することにより、現金資金が全くないところから事業を開始したり、給与の支払いを行えたという例もありますので、注目に値すると思います。
作戦その3 コラボやパッケージ販売を活用してみる
営業時間外の店舗の軒先を借り第三者とともに事業を行う、いわゆる「コラボ」などは、初期費用なく事業を展開するのに効果的な方法であることは昨今ではよく知られたやり方といえます。
このように、「空き」をもてあましている事業者と組むのも現金節約のための一つの方法です。
また、商材などの内容が一般化して価格競争が不利になっている場合などには「パッケージ化」が有効な方法です。
ゲーム業界などでは一時「抱き合わせ商法」として批判を浴びましたが、クライアントが期待・希望することを精査し、それに添って検討していけば双方にとって有益な方法となります。
現状行われている有名な例では、光通信やWi-Fiなどの通信設備とPCをセットにすることで割安にするサービスがあります。
ネット接続環境についてはまだまだ発展の余地が残されているこの国ですので、消費者にとってはありがたいと思われることも多いかと思います。
「欲しいけど、環境が…」
というのは何もPC関連だけでなく、あらゆるサービスで直面することと思いますので、他の業種でも「パッケージ販売」はコラボと同様に検討する価値はあるでしょう
これら3つの作戦の目的、それはあくまでも「キャッシュフロー」の改善です。
ここまでを踏まえてまとめると、以下が重要なポイントとなります。
●全ての活動を、「投資」として考える。そのうえで見合っているか否かをきちんと測定する。
●安易な費用カットについては、一旦踏みとどまって再考してみる。
もし測定を行っていなかったのなら、今すぐにでも始めましょう。
全てはそれから始まります。