モバイル端末の進化やクラウドコンピューティングの発達に伴い、今や多くのフリーランスは「ネット環境さえあれば仕事ができる」という時代になりました。自宅でも出先でもどこでもシームレスに仕事を進めることが可能になるとは、一昔前から考えると夢のような状況です。
しかしこれは、「ネット環境がなければ仕事にならない」ということの裏返しでもあります。つまり今の時代のフリーランスにとって、ネット環境をいかに構築するかはそのまま仕事の評価に繋がるといっても過言ではないのです。
それでは、フリーランスの理想的なネット環境とはどのような構成なのでしょうか?
Wi-Fiだけは不安!複数のネット回線をもつのが理想
近年は、WiMAXやポケットWiFiといったモバイルWi-Fiの利用者が増えています。サービス提供エリア内であればどこでもネットに接続できますし、自宅でもモバイルWi-Fiを利用すれば通信費の節約にもなりますので、固定回線から移行している人が多いようです。
しかし、フリーランスのネット環境は本当にWi-Fiだけでよいのでしょうか?
趣味でネットを利用するだけであれば、たしかにモバイルWi-Fiだけで問題ないかもしれません。ただ、仕事で使うとなると不安が残ります。なぜなら、大前提としてネットは「止まることがある」ものだからです。
さらにモバイルWi-Fiには、速度制限というリスクもあります。1分1秒を争うような急ぎの案件を抱えているときに思うようにネットに接続できなかったとしたら、納期に間に合わず信用を失うことにもなりかねません。
そこで万一のケースに備えて、フリーランスは最低でも2系統のネット回線を用意しておくべきです。2つ以上の回線を組み合わせて使うことで、安心して仕事のできるネット環境を築くことが可能になるでしょう。
モバイルWi-Fiは基本中の基本
まずは、モバイルWi-Fiのメリットからおさらいしましょう。近年は公衆無線LANがかなり充実してきてはいますが、そうは言ってもどこにでもWi-Fiスポットがあるわけではありませんし、セキュリティ上の不安もあります。
その点、モバイルWi-Fiであれば気分転換にカフェや公園を転々としながら仕事をすることができますし、移動時間を有効活用することも可能です。セキュリティ面でもリスクは低く抑えられるでしょう。今の時代のフリーランスにとって、モバイルWi-Fiの導入は基本中の基本といえます。
おまけに通信費の面でも、格安SIMを利用すれば低コストでのネット接続が可能になります。通信費の節約を第一に考えたいのであれば、モバイルWi-Fiがメリットの大きい選択肢であることは間違いありません。
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固定回線も捨てがたい
近年は「自宅の固定回線は不要だ」という意見を目にする機会が増えました。しかし仕事での利用を前提とするのであれば、やはり固定回線のメリットはまだまだ捨てきれません。
まずは、安定度や速度でいえば固定回線のほうがまだまだ優れているという点。そして、速度制限のリスクがないという点も固定回線の大きな強みです。テレビ会議で打ち合わせをする機会が多かったり、動画を扱う業務が多かったりするようでしたら、固定回線を維持しておくことは必須といえるでしょう。
そうした需要は回線事業者側も見越していて、モバイルWi-Fiと固定回線をセット契約することでお得になるプランが数多く用意されています。通信費の節約と回線の安定度を両立したい際には、ぜひ検討したいパターンです。
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ノマドワーカーは有料VPNも導入したい
日頃からノマドワーカーとして働いていたり、今後ノマドワークをはじめたいと考えている人であれば、有料VPNの導入も検討するとよいでしょう。
VPNとは、簡潔に言えば「通信内容を暗号化してネットワークに接続する技術」のこと。公衆無線LANのセキュリティには不安がありますが、VPNを利用して接続すれば安心して利用することができます。特に海外では、VPNなしで公衆無線LANを使うことは自殺行為です。意図せず犯罪に加担してしまうリスクもありますので、VPN導入は不可欠といえます。
ただし、無料で提供されているVPNサービスには注意してください。無料VPNは速度が遅かったり、信用しきれない場合もあったりするからです。
本格的にノマドワークに邁進したいのであれば、有料VPNをおすすめします。セカイVPNやスイカVPNなど月1,000円程度で利用できるサービスが多いので、安全を買うと思えば安いものでしょう。
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在宅メインであればテザリングを活用
「たまに外でも仕事するけれど基本的には在宅ワーク」というスタンスの人にとっては、テザリングを活用するほうが効率的かもしれません。スマートフォンのネットワークを利用した接続ですからセキュリティ面は安心ですし、余計な持ち物も増えないので身軽だというメリットもあります。
ただし、大容量のデータを扱う仕事が多い人であれば、あまり現実的な選択肢だとは言えないでしょう。すぐに通信量の上限を超えてしまいますし、そうなるとスマートフォン本来の用途にも支障が出てきてしまうからです。フリーランスの中でも、職種や専門分野が限定される方法といえそうです。
そのため、どちらかというと常時利用するためのネット環境というより、緊急時用のスペアとして活躍してくれる通信手段となります。だからこそ在宅ワークメインのフリーランスには最適です。緊急時だけであれば、大容量データを扱う人にとっても大いに役立つことでしょう。
まとめ
以上、フリーランスのネット環境についてまとめました。働き方のスタンスや業務内容によって理想的なネット環境はそれぞれ違ってきますが、共通しているのは複数の回線を維持しておくという点です。
基本的な考え方としては、毎日のようにノマドワークをする人であれば「モバイルWi-Fi + 有料VPN」、ほとんど自宅のみで仕事をするのであれば「固定回線 + テザリング」、どちらもほどほどという場合には「モバイルWi-Fi + 固定回線」という構成を組むのがおすすめです。