ストレスチェックシステム・サービスを比較!制度の注意点とは?

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そもそもストレスチェックとは?

ストレスチェックは、企業が従業員のストレス状態を測るために実施する検査です。アンケート形式の調査票に回答してもらいます。その結果を分析すれば、従業員がどの程度ストレスを抱えているのかを客観的に把握できるのです。

ストレスチェックに使用する質問は、以下の内容を含みます。まずは「仕事のストレス要因」です。職場環境や社内の人間関係などに起因するストレスや心理的な負担を明らかにします。

次に「心身のストレス反応」を調べます。これはメンタルの状態を自覚できているかどうかに関する調査です。「周囲のサポート」についての質問もあります。身の回りに頼れる上司や同僚がいるか、家族からのサポートは十分を調べる項目です。

厚生労働省はこれらの3つの領域をカバーする「職業性ストレス簡易調査票」をホームページで公開しています。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/dl/stress-check_j.pdf

ストレスチェックを行う目的

ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐために行われます。

人は多かれ少なかれさまざまなストレスを抱えながら生きています。特に「仕事」においては、ノルマやプレッシャー、人間関係、労働環境など、さまざまな要因が絡み合い、ストレスとして蓄積されていきます。このストレスを本人が自覚することは容易ではありません。

本人が気づかぬうちにストレスが蓄積され続ければ、やがてメンタルを病んでしまったり、体調面に影響が出たりと、取り返しのつかない事態になる恐れもあります。退職や休職につながることもあるでしょう。

そこでストレスチェックを通して、労働者本人に自分のストレス状態を認識してもらい、必要があれば医師や専門家の指導を受けてもらいます。また企業は職場環境の改善やマネジメント体制の整備などを通して、労働者に過度な負荷をかけることのない状態を整えます。

ストレスチェック制度は、従業員と企業の双方がストレス問題に目を向け、メンタルヘルスによる問題を事前に防ぐことを目的としているのです。

ストレスチェックの対象者

厚生労働省の取り決めにより、ストレスチェックは「常時使用する労働者」を対象に行います。これは「1年以上の契約」あるいは「週の労働時間が、通常の労働者の4分の3以上である」のどちらかに該当する労働者を意味します。

上記に該当するのであれば、社員、パート・アルバイトなどの雇用形態は特に問いません。

ストレスチェックの実施に必要な役割

ストレスチェックを実施するには「実施者」と「実施事務従事者」が必要となります。

実施者はストレスチェックの実施や評価を行います。医師や保健師、精神保健福祉士が担当します。ストレスチェックの結果を集計し、面談が必要な社員をピックアップするなどの役割です。

実施事務従事者は、ストレスチェック実施の補助業務を行います。実施者の指示にしたがって、質問票の回収やデータ入力、未受検者への声かけなどの業務を担当します。一般的に社内の事務員や労務担当者が選ばれますが、外部に委託することも可能です。

社員の解雇や人事に権限を持つ役職の人は、ストレスチェックにまつわる業務に関わることはできません。

ストレスチェックと健康診断の違い

ストレスチェックと健康診断は似て非なるものです。健康診断には受診義務がありますが、ストレスチェックはその限りではありません。ストレスチェックを受けるかどうかは、従業員の意思に委ねられます。

また健康診断の結果は、必ず会社に通知されますが、ストレスチェックの場合は本人の同意がない場合は会社に知られることはありません。ストレスチェックの結果は、上記で説明した実施者と実施事務従事者のみ閲覧できます。

ストレスチェック実施のメリット

ストレスチェックは、従業員・企業の双方に大きなメリットがあります。まず従業員は、完全に個人情報が保護された状況下において、自身のメンタルの状態や職場からの影響を把握できます。メンタルに問題があると分かれば、早めに専門機関を受診するなどの対策も取れるでしょう。

社員の心の状態を健全に保つことは、企業にとっても大きな利点です。企業は、職場の課題を早期に発見することで、具体的な改善策を講じることができます。職場環境が良好になれば、離職率の低下も見込めるでしょう。労働者の生産性が向上すれば、事業の運営にもプラスになります。

ストレスチェック制度の概要・法律を解説!義務化された背景とは?

従業員が50名以上の企業は、年に1回のストレスチェックを行わなければなりません。これは2015年の労働安全衛生法の改正に伴い、義務化されました。50名未満の場合は努力義務となっています。

労働安全衛生法とは労働者の安全と健康を守るための法律です。法律の条文内で「ストレスチェック」という単語は出てきませんが、第66条の10第1項には「医師など心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない」旨の記述があります。

労働安全衛生法では、検査結果の報告義務があります。労基署への報告を行わない場合は、事業所に罰則が課せられます。

ストレスチェックが義務化された背景

ストレスチェックが義務化された背景には、働き方にまつわる深刻な社会問題の存在が挙げられます。

2016年に厚生労働省が発表した「過労死等の労災補償状況」によると、精神障害による労災請求の件数は1,586件でした。2012年には1,257件だったことからも、メンタルの不調から仕事に支障をきたす人の数は、増加傾向にあることが分かります。

労働者のメンタル不調は、なるべく早期に発見し対策を講じる必要があるものです。しかし企業の判断に委ねてしまっては、根本的な課題解決にはつながらないため、国を挙げて取り組む必要性が高まってきたのです。

こうした背景を踏まえて、厚生労働省は、従業員の精神的な問題を予防することを目的として、2015年にストレスチェック制度を新設しました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000168672.html

ストレスチェックを実施する際のポイント・注意点をまとめました!

ストレスチェックを実施する際は、以下の点に注意しなければなりません。

個人情報の扱い

メンタルに関する個人情報は、厳重に取り扱わなければなりません。ストレスチェックの従事者には守秘義務が課せられます。ストレスチェックの結果は、本人の同意がない限り、事業者に伝わるようなことがあってはなりません。

受検者のプライバシーが守られるよう、ストレスチェック実施には細心の注意を払いましょう。

不利益取扱いの禁止

検査の結果によって、解雇や雇い止め、理不尽な人事配置など、従業員に不当な影響を及ぼすようなことはあってはありません。ストレスチェックの実施を行わない、あるいは検査結果の提出に同意しない従業員に対して、受検を強制したり、圧力をかけることも厳禁です。

ストレスチェックを実施する流れを解説!

実際にストレスチェックを行う流れを解説します。

導入前の準備

まずはストレスチェック導入の前に、方針や課題、具体的な実施・分析方法を衛生委員会において十分に話し合う必要があります。衛生委員会とは労働災害防止の取り組みを行う組織です。50名以上の従業員が在籍している企業は、業種問わず衛生委員会を設置する義務があります。

以下のような点を具体的に協議していきます。

  • 質問事項の内容
  • 高ストレス者の評価基準
  • 実施者や実施事務従事者の決定
  • 面接指導を行う医師の決定
  • ストレスチェック結果の管理方法

衛生委員会で協議された内容に基づいて、実施体制を整えます。ストレスチェック制度実施規程についても作成し、従業員に周知しておきましょう。なぜストレスチェックを行うのか、従業員に理解してもらうことが大切です。

ストレスチェックを実施する

ストレスチェックは、労働者本人が紙の調査票に記入あるいはWebシステムに入力します。

紙での実施を行う場合、質問票は誰が配布しても構いませんが、回収は実施者、あるいは実施事務従事者の手によって行わなければなりません。質問票は、封筒に入れて回収するなど、第三者が閲覧できないよう注意を払って取り扱いましょう。Web入力の場合も同様に、実施者・実施事務従事者が閲覧できない状態でなければなりません。

結果の分析

従業員の回答を集計し、高ストレスに該当する人を選び出します。高ストレス者は、自覚症状の有無や周囲からのサポートなど総合的な視点から判断されます。ストレスチェック実施者は、それぞれの従業員に対して、検査結果を通知します。この通知に事業者が介入することはありません。

検査結果については5年間の保存期間が定められています。こちらも第三者が閲覧できないよう、厳重な体制での管理が必要です。

面接指導

高ストレスと判断された労働者が申請をした場合は、担当医師による面接指導を実施します。この際の費用は事業者が負担するものとなります。申請は結果の通知より1ヶ月以内に行わなければなりません。面接指導についての内容も5年間の保存が義務付けられています。

労働環境の改善へとつなげる

検査を行なったまま放置するのではなく、きちんと改善へのアクションへとつなげる必要があります。ストレスチェックの結果は、集計・分析を経て、事業者に提供されます。

分析方法によっては、どの部署を重点的に改善すべきかが明らかになることもあるでしょう。事業者だけでの問題解決が困難な場合には、外部の専門家と連携しながら対策を講じていく必要があります。ただし職場環境の改善などは、現状事業者の努力義務という位置付けとなっています。

また従業員数が10名以下の企業の場合、分析結果から個人の回答を導き出されるなどの懸念があるため、従業員全員の同意がない限り、集団分析の結果が事業者に提供されることはありません。

ストレスチェックは無料でも実施できる?

厚生労働省が提供している「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を利用すれば、事業者は無料でストレスチェックを行うことができます。これはストレスチェックの受検や結果の出力、集団分析ができるプログラムです。自社のパソコンにダウンロードする形で利用します。

このように無料でストレスチェックができる仕組みは存在しますが、事業者にとってはデメリットも見過ごせません。同プログラムでは、実施環境の構築などはすべて自社内で行う必要があります。質問項目の追加などもできません。

自社の状況に合わせて的確な分析を行い、職場改善に活かしたいという場合は、専用のシステムを利用することをおすすめします。

ストレスチェックは、規模が大きい企業であるほど、さまざまな労力がかかります。実施方法を審議したり、質問票の準備をしたりなどさまざまな過程で人件費が発生します。外部システムを導入した方が、結果的にコストを抑えて実施できることもあるでしょう。

https://stresscheck.mhlw.go.jp/

ストレスチェックにかかるコスト

ストレスチェックを行う場合、実施者の代行やデータ保存、分析などにそれぞれ費用が発生します。また高ストレス者と判断された従業員が医師による面接指導を受ける場合の費用も、事業者が負担する仕組みとなっています。

もし面談の結果、従業員が専門の医療機関などへ通院する際の費用は、従業員自身が負担します。

ストレスチェックシステム・サービスのおすすめ比較!

おすすめのストレスチェックサービスを紹介します。

詳細な分析ができる、ラフールサーベイ

ラフールサーベイは、対象をさまざまなセグメントに分けて分析を行うメンタルヘルスシステムです。課題部署や男女別に分けて分析し、働き方に問題のある環境を見つけることができます。メンタル面や従業員の満足度など全体の傾向を把握できるため、個人・組織の課題を把握しやすくなります。

分析結果はグラフで表示され、視認性にも優れています。

ラフールサーベイ

独自のチェック項目が魅力、M-Check+

M-Check+は、メンタルヘルスを専門とする研究所が開発したストレスチェックシステムです。厚生労働省によって定められたプログラムに加えて、企業の現場を踏まえて開発した独自のチェック項目によって、より正確で緻密な分析を行うことができます。

検査の実施もパソコンやスマートフォン、紙に対応しており、自社に合った方法で行うことができるでしょう。

M-Check+

専任の担当医師がサポート、iStress

iStressの最大の魅力は、企業ごとに担当医師がサポートしてくれる点です。専門的な知識と経験を元にしたサービスを受けられます。産業医の紹介も委託可能です。

最短一週間で導入でき、アンケート回答もおよそ5分で終了します。スピーディな調査実施が可能です。調査には従業員の氏名やメールアドレスを使用しないので、安心して利用できます。

iStres

専門家による高レベルな分析、STRESCOPE

ストレスチェックは、測定するだけでは実施の意味がありません。しっかりと分析を行うことで課題を把握し、改善までつなげることが肝心です。STRESCOPEは産業医学や予防医学、睡眠医学などさまざまな見地から、総合的な分析を行い、具体的な改善の提案までをサポートします。

蓄積されたデータを元に集団分析を行い、客観的な視点から「本当に企業の課題となっているもの」を突き止めます。業務だけでなく日々の生活習慣も含めた分析により、ストレスを減らし生産性を高める本質的な提案を行うサービスです。

STRESCOPE

積み重ねた実績と信頼、Co-Labo

Co-Laboは、ストレスチェックの企画から実行、メンタルヘルス研修までトータルでサポートします。開発されたのは2003年とメンタルヘルスが社会問題となる以前より運営されているサービスです。開発以降100万人以上の利用実績を誇ります。

「労働安全衛生法に基づくストレスチェック実施マニュアル」の作成委員でもある岡田邦夫の監修の元作成されたシステムであり、高い信頼性も魅力です。

Co-Labo

動画でセルフケアができる、メンタルチェック@クラウド

メンタルチェック@クラウドは、メンタルヘルスの専門機関によって開発されたストレスチェックシステムです。パソコンやスマートフォンはもちろん、フィーチャーフォンからの入力にも対応しています。

回答の結果高ストレス者と判断された従業員は、そのまま画面上でストレス対処法についての動画を見ることができます。

ISO27001を取得しているセキュリティの高さも魅力の一つです。受検の言語は英語・中国語にも対応しているので、外国人労働者が多い事業所にも最適です。

メンタルチェック@クラウド

低コストが魅力、CAPSのストレスチェック

CAPSのストレスチェックは、医師の手配から報告書作成まで、ストレスチェックのほとんどの業務を代行してくれるサービスです。実施までの段階から、終了後の事務処理まであらゆる業務をアウトソーシングできます。

最大の魅力はコストの低さにあります。充実したトータルサポートのサービスでありながら、基本料金20,000円、受検者1人あたり500円で利用可能です。初めて外部ツールを用いてストレスチェックを行う企業におすすめです。

CAPSのストレスチェック

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