「電話が鳴って仕事が止まる」という課題に対する手段は、電話代行だけではありません。自動応答で用件ごとに振り分けるIVR、AIが応対して要約を届けるサービス、そして自社の社員が受ける前提で回線と内線の仕組みを置き換えるクラウドPBXがあります。
この4つは、解決しようとしている問題が違います。月額だけを横に並べると、月2,980円のIVRが月12,000円の電話代行より安く見えますが、やっていることが違うので比較になりません。この記事では、2026年10月14日時点で各サービスの公式ページに掲示されている内容をもとに、どの手段がどの問題に対応しているのかを整理します。
先に結論
- 受ける人を外に出したいなら電話代行。社内の誰も電話に出なくてよくなる。月3,000円から。
- 受ける手間を減らしたいならIVR。用件ごとに番号で分岐し、必要な電話だけが担当者に届く。受ける人は社内のまま。
- 受ける場所と端末の制約を外したいならクラウドPBX。社員がスマホで内線を受けられるようにする。受ける人も社内のまま。
- 夜間と休日を埋めたいならAI応対。人のオペレーターは平日日中が基本で、24時間を人で賄うサービスは今回の5社にはなかった。
- 併用もできる。fondesk IVRは転送先がfondeskの場合、転送通話料が0円/分と公式に明記されている。
4つの手段は「誰が受けるか」で分かれる
まず、それぞれが何をするものなのかを定義から確認します。
図1:誰が電話を受けるのか
電話代行
外部のオペレーターが受ける
代行会社の人が会社名を名乗って応対し、内容をチャットやメールで通知する。社内の誰も電話に出なくてよい
IVR(自動応答)
機械が受けて振り分ける
音声案内で番号を押してもらい、用件ごとに転送先や録音を変える。最終的に話すのは社内の人
AI電話代行
AIが受けて要約を届ける
AIが名前・連絡先・用件を聞き取り、要約と文字起こしを送る。折り返すのは社内の人
クラウドPBX
社内の人が場所を問わず受ける
スマホやPCを内線端末にして、オフィスにいなくても代表番号で受けられるようにする
この違いは、課題の言い方を変えると判断しやすくなります。「電話に出る人がいない」なら電話代行かAI、「電話に出る人はいるが、出なくてよい電話が多すぎる」ならIVR、「電話に出る人はいるが、オフィスにいないと出られない」ならクラウドPBXです。
月額の下限を同じ表に並べる
金額を並べますが、縦に比較できるのは「月額の下限」だけで、買っているものは行ごとに違う点に注意してください。
| 手段 | 代表的なサービスと月額 | 従量料金 | 受けられる時間帯 | 社内の対応 |
|---|---|---|---|---|
| 電話代行(人) | 渋谷オフィス スターター 3,000円/MKサービス スモール 3,180円(税込)/fondesk 12,000円(税別) | 1件あたり140円から300円 | 平日9時から18時が基本(fondeskは9時から19時で設定可) | 通知を見て折り返す |
| IVR(自動応答) | fondesk IVR 2,980円(電話番号レンタル付き、税抜) | 着信通話3円/分、録音3円/分、ショートメッセージ13円/通、AIオペレーター通話22円/分 | 24時間(営業時間による分岐が可能) | 分岐の先で社員が出る |
| AI電話代行 | インターコード AI電話代行 1,980円(通常3,980円、税抜)+電話番号維持費1,000円 | コール数無制限 | 24時間365日 | 要約メールを見て折り返す |
| クラウドPBX | Arcstar Smart PBX 1 ID 550円(税込)から。スマホ10台構成で月額13,486円(税込) | 通話料は別 | 社員が出られる時間 | 社員が内線として受ける |
クラウドPBXの例として挙げたArcstar Smart PBXは、NTTコミュニケーションズの公式ページに構成例と金額が掲示されています。「オールスマホで導入 スマホ10台利用の場合」が初期費用24,420円・月額料金13,486円(いずれも税込)、「IP電話機2台、スマホ10台利用の場合」が初期費用132,220円・月額料金14,586円です。1 IDあたりは550円(税込)からとされています。
この表から読み取るべきなのは金額の大小ではなく、何に対してお金を払っているかです。電話代行の3,000円は「他人が応対する時間」、IVRの2,980円は「自動で振り分ける仕組み」、クラウドPBXの13,486円は「10人分の内線環境」です。クラウドPBXを導入しても、電話に出るのは引き続き社員です。電話に出る負担そのものを減らしたい場合、クラウドPBXは解決策になりません。
IVRは「出なくてよい電話」を減らす仕組み
fondesk IVRの公式ページには、料金の全体が1画面で示されています。プランは1つで、基本料金2,980円(電話番号レンタル付き)に従量料金が乗る形です。初期費用なし・解約手数料なしと明記されています。
| 項目 | 単価 | 補足 |
|---|---|---|
| 着信通話 | 3円/分 | 自動応答している時間に対してかかる |
| 録音 | 3円/分 | メッセージを録音し、自動で文字起こしをする |
| ショートメッセージ | 13円/通 | 発信者にURLなどを送信する |
| AIオペレーター通話 | 22円/分 | ベータ版。AIが発信者と会話して用件や連絡先を聞き取る |
| 転送通話(固定電話) | 13円/分 | 分岐先の固定電話へつなぐ場合 |
| 転送通話(携帯電話) | 28円/分 | 分岐先の携帯電話へつなぐ場合 |
| 転送通話(fondesk宛) | 0円/分 | 同社の電話代行サービスへ転送する場合 |
機能はすべて基本プランに含まれると明記されており、音声案内、番号による分岐、録音・文字起こし、着信通知、転送、電話番号割り当て、営業時間による分岐、AIオペレーター(ベータ版)が挙げられています。営業時間による分岐については「営業/休業時間に応じて、対応を切り替えることができます。特定の曜日のみ、明日だけ、創立記念日、といった独自のルールも柔軟に設定可能です」と説明されています。
注目すべきは転送通話の最後の行です。転送先がfondeskの場合、転送通話料が0円/分と明記されています。日中はIVRで振り分けて、人が受けるべき電話だけを電話代行へ回すという組み合わせが、追加の通話料なしで成立する設計です。

AIが受ける場合に何が届くか
AIによる電話応対は、IVRの分岐とは違い、発信者と会話をして用件を聞き取ります。インターコードの公式ページには、実際のテスト通話の文字起こしが公開されています。
AIオペレーターが会社名を名乗り、名前を聞いて復唱で確認し、電話番号を聞いて復唱し、用件を聞いて「そのほかにご用件はございますでしょうか?」と確かめ、「お問い合わせを承りました。追って、担当者よりご連絡いたしますのでお待ちください」で終える流れです。通話後には要約メールと全文の文字起こしが担当者に届き、添付ファイルで録音と完全な会話履歴(CSV)を確認できると説明されています。
聞き取る内容の範囲は、fondeskが利用規約と公式FAQで定義している一次取次の輪郭とほぼ重なります。fondeskのよくある質問は「対応内容は一次取次のみです。会社名を名乗ったのちに担当者が不在の旨をお伝えし、発信者様のお名前、折り返し先の電話番号、簡単なご用件をうかがいます」と記載しています。聞き取る項目は、人でもAIでも変わりません。
違うのは時間帯と、聞き取りの柔軟さです。インターコードのAI電話代行は24時間365日で、公式のよくある質問には「営業時間内は人間がご対応し、業務時間外はAIが対応するなど、お客様のご希望に合わせてご対応可能です」というハイブリッド運用の記載もあります。一方、人のオペレーターであれば、用意していない事態にもその場で判断して応対できます。
クラウドPBXが解決するのは別の問題
クラウドPBXは、電話を受ける人を減らすものではありません。NTTコミュニケーションズの公式ページは、Arcstar Smart PBXを「クラウド上でPBX機能と内線機能を提供するクラウド型PBXサービス」と定義し、「これにより、設備や保守コストを削減できます。また、スマートフォンやPCを内線端末として活用し、どこでも無料で内線通話が可能になります」と説明しています。
- 解決するのは場所と端末の制約。オフィスの電話機の前にいなくても、代表番号にかかってきた電話をスマホで受けられるようになります。
- 設備の維持コストが変わる。オフィスに主装置を置く従来のビジネスフォンと違い、設備や保守のコストを削減できると公式に説明されています。
- 電話に出る負担は減らない。受けるのは引き続き社員です。営業電話も間違い電話も、そのまま社員のスマホに届きます。
- 夜間や休日は社員が出ない限り受けられない。時間帯の問題は解決しません。
したがって、「電話が多くて仕事が止まる」という課題にクラウドPBXを当てると、鳴る場所が変わるだけで本数は変わりません。逆に、「電話は取れるがオフィスに縛られる」という課題であれば、電話代行では解決しません。

番号をどう扱えるかで選択肢が絞られる
4つの手段は、電話番号の扱い方も違います。これから代表番号を用意する段階か、すでに持っているかで、選べる手段が変わります。
| 手段 | 番号の用意 | 名刺・ホームページへの掲載 |
|---|---|---|
| 電話代行(渋谷オフィス) | 貴社専用の03番号を貸与。アドバンス以上は標準 | 「ホームページ・名刺・パンフレットにご利用いただけます」と明記 |
| 電話代行(MKサービス) | 1つ目の貸出番号は月額に含む。03または050 | 「表記利用」として公式に想定されている |
| 電話代行(インターコード) | オプションの電話番号レンタル。住所の貸し出しもある | 「電話番号・住所は、名刺等に記載して頂いて結構です」 |
| 電話代行(fondesk) | 既存の自社番号から転送して使う | 利用規約第9条で、専用番号を連絡先として対外的に表示する行為を禁止 |
| IVR(fondesk IVR) | 基本料金2,980円に電話番号レンタルが含まれる | 公式ページでは可否を確認できなかった |
| クラウドPBX | サービスにより異なる。既存番号の継続利用可否は事業者ごとに確認が必要 | 自社の番号として使う前提 |
電話代行のなかでも、fondeskだけは既存の自社番号を持っている前提の設計です。利用規約第9条の禁止事項に「fondesk専用番号をユーザーの連絡先として利用する行為又は連絡先であるかのように対外的に表示する行為」が挙げられています。これから番号を用意する段階なら、渋谷オフィス、MKサービス、インターコードのいずれか、あるいは電話番号レンタルが基本料金に含まれるfondesk IVRが候補になります。
組み合わせて使うという選択肢
4つの手段は排他ではありません。公式ページに併用の仕組みが明記されている例が2つあります。
図2:公式に案内されている組み合わせ
IVR × 電話代行
fondesk IVR → fondesk
転送通話のfondesk宛が0円/分。自動応答で振り分けたうえで、人が出るべき電話だけを電話代行に回せる。fondeskの機能ページも「夜間・休日対応などが必要な方は、姉妹サービスの fondesk IVR もあわせてご検討ください」と案内している
人 × AI
インターコードのハイブリッド
「営業時間内は人間がご対応し、業務時間外はAIが対応するなど、お客様のご希望に合わせてご対応可能です」と公式のよくある質問に記載。日中の品質と24時間の受付を1社で両立できる
クラウドPBX × 電話代行
公式の案内は確認できなかった
仕組みとしては、代表番号の着信を時間帯で代行会社へ転送する運用が考えられるが、各社の公式ページに組み合わせの案内は見つからなかった
IVRと電話代行を併用したときの月額を試算する
組み合わせの効果を金額で確かめます。月100本の着信があり、そのうち40本が営業電話、40本が「よくある問い合わせ」で自動案内に置き換えられ、残り20本だけが人の応対を必要とする、という想定で計算します。1本あたりの通話時間は自動応答が1分、人の応対が3分とします。
| 構成 | 内訳 | 月額 |
|---|---|---|
| fondeskだけ | 基本料金12,000円+従量料金(100件のうち41件目以降の60件×300円=18,000円) | 30,000円(税別) |
| fondesk IVR+fondesk | IVR基本2,980円+着信通話100分×3円=300円+fondesk宛の転送通話20本×3分×0円=0円+fondesk基本12,000円(人に回るのは20件なので従量料金は発生しない) | 15,280円(税抜) |
| IVRだけ | 基本2,980円+着信通話100分×3円=300円+録音60分×3円=180円 | 3,460円(税抜) |
この想定では、IVRを前段に置くことで人に回る件数が100件から20件に減り、fondeskの従量料金18,000円が発生しなくなります。IVR側にかかるのは基本料金2,980円と着信通話300円で、fondesk宛の転送通話は0円/分のため追加されません。
ただしこの試算は、「40本は自動案内で完結する」という前提が成り立つ場合に限って意味を持ちます。営業時間や所在地の案内のように答えが固定されている問い合わせが多い事業ではこの前提が成り立ちますが、一件ごとに内容が違う問い合わせが中心なら、分岐を作っても結局は人に回ります。導入前に、過去1か月の着信を「自動で答えられるもの」と「人が出る必要があるもの」に分けて数えておくと、投資判断の精度が上がります。
どれを選ぶかの判断手順
金額から入らず、課題の形から絞るほうが確実です。
- 社内に電話に出られる人がいるか。いないなら電話代行かAI電話代行。いるなら次へ。
- 出られる人はオフィスにいるか。いない(外出が多い、在宅勤務がある)ならクラウドPBX、または取次転送に対応した電話代行。
- 出なくてよい電話が多いか。多いならIVRで分岐するか、営業電話を件数に数えない電話代行(渋谷オフィス、MKサービス)を選ぶ。
- 受けたい時間帯はいつか。夜間・休日が必要ならAI電話代行かIVR。fondeskは公式に夜間・早朝・休日を非対応としている。
- 用件にその場で答える必要があるか。あるなら、Q&A対応を持つCUBEのスタンダードプランや渋谷オフィスのプレミア以上。一次取次だけでよいならfondeskやAIで足りる。
- 代表番号をこれから用意するか。するなら、番号の表記利用を公式に認めているサービスか、番号レンタルが含まれるIVRを選ぶ。
「受ける人を外に出す」と決めたら、次は料金と応対範囲の比較です。電話代行5サービスの条件は1本の比較記事にまとめてあります。
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電話代行5サービスの料金と条件は、サービスごとのページにまとめています。一次取次のみで受付時間を9時から19時の間で設定できるfondeskの料金と制限、クレーム対応と取次転送を基本プランに含めるCUBE電話代行サービスの料金と条件、営業電話をコール数に数えない渋谷オフィスの電話代行の料金と条件、オプション料金を9種類すべて公開しているMKサービスの電話代行の料金と条件、人とAIを使い分けられるインターコードの電話代行の料金と条件です。
件数の数え方の違いは電話代行のコール数は何を1件と数えるか、契約と解約の締め日の違いは電話代行の契約期間と解約で扱っています。クラウドPBX側のサービス比較はクラウドPBX比較5選|料金・内線数・同時通話数を公式料金ページで検証に、契約期間と解約の条件はクラウドPBXの契約期間と解約にまとめています。
出典(いずれも2026年10月14日に確認)
fondesk IVRhttps://ivr.fondesk.jp/
fondesk「fondeskの特長」https://www.fondesk.jp/feature//「サービス利用規約」https://www.fondesk.jp/terms/
インターコード「AI電話代行」https://i-chord.com/aicall//「よくある質問」https://i-chord.com/qa/
NTTコミュニケーションズ「Arcstar Smart PBX」https://www.ntt.com/business/services/voice-video/voip/smartpbx.html
渋谷オフィス「プラン一覧 比較表」https://www.shibuya-office.co.jp/plan.html
MKサービス「料金案内」https://kschannel.jp/ryokinGuid.htm
