法人向けウイルス対策ソフト5製品比較|1台あたりの年額と「台数の数え方」を公式情報で確認【2026年】

法人向けウイルス対策ソフト5製品比較のイメージ。1台あたりの年額と台数の数え方を比べる2026年版の見出しと、ノートPC・デスクトップ・スマートフォン・サーバーと3枚のプランカードが並んでいる

社内のパソコンにウイルス対策ソフトを入れるとき、個人向けの比較記事がそのまま役に立たないのは、法人向けでは「1台あたりいくら」の“1台”の数え方が製品ごとに違うからです。端末の台数で数える製品、使う人の数で数える製品、デバイス単位で売る製品が混在していて、同じ「1台3,420円」と「1ユーザー449円」を並べても比較になりません。

この記事では、公式サイトで法人向けの案内を出している5製品を同じ軸で並べました。価格を1円単位まで公開しているのは3製品で、残る2製品は販売店見積りです。さらに、2026年11月12日と12月1日に、別々の会社が価格改定を予定しています。発注のタイミングで支払額が変わる時期なので、金額だけでなく「いつまでの受注が旧価格か」も並べています。

この記事で確かめたこと

  1. ESET PROTECT Entry は1ライセンス年額5,950円(6〜10ライセンス、税抜)から。26ライセンス以上は2026年12月1日に値上がりし、6〜25ライセンスは据え置きになる
  2. Microsoft Defender for Business は1ユーザー月額相当449円(年払い、税抜)。最大300ユーザー、1ユーザーにつき5台まで
  3. アバスト エッセンシャル ビジネス セキュリティは1デバイス初年度3,420円、更新価格は4,275円で、2年目から855円上がる
  4. ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービスは、公式の価格ページに金額の掲載がなく、2026年10月30日時点でダイレクトストアの新規販売が停止している
  5. カスペルスキーは2024年7月にデバイス課金からユーザー課金へ切り替え、1ユーザーでPC・サーバー1台とモバイル2台まで保護する

法人向けウイルス対策ソフト5製品の比較早見表

最初に全体像を置きます。価格はいずれも税抜で、公式サイトが2026年10月30日に表示していた金額です。表の「課金の単位」が製品ごとに違うため、金額の列だけを縦に読んでも安い順にはなりません。

法人向けウイルス対策ソフト5製品の基本条件(2026年10月30日に各社の公式ページで確認した内容)
製品 提供会社 課金の単位 公開されている価格(税抜) EDR
ESET PROTECT Entry キヤノンマーケティングジャパン(ESET社の国内総販売代理店) 保護するOSの数(スマートフォンも1つずつ数える) 年額5,950円/1ライセンス(6〜10) 含まない
Microsoft Defender for Business 日本マイクロソフト 利用するユーザー数 月額相当449円/1ユーザー(年払い) 含む
アバスト エッセンシャル ビジネス セキュリティ アバスト(Gen Digital) デバイスの台数 初年度3,420円/1台、更新4,275円 掲載なし
ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス トレンドマイクロ PCの台数(1台から) 公式ページに金額の掲載なし 上位のXDR製品が別にある
Kaspersky Next EDR Foundations カスペルスキー ユーザー数(1ユーザー=PC・サーバー1台+モバイル2台) パートナー経由の見積り 含む

5製品のうち、Webサイトだけで支払額が最後まで計算できるのはアバストとマイクロソフトの2つです。ESETは希望小売価格の表を公開していますが、購入は販売店経由で、申込書の提出が必要になります。トレンドマイクロとカスペルスキーは、金額そのものが公開されていません。

掲載の基準と、今回外した製品

掲載したのは、2026年10月30日の時点で、日本語の公式サイトに法人向けの案内ページがあり、日本法人またはその国内総販売代理店が窓口になっている製品です。価格が公開されているかどうかは掲載の条件にしていません。公開していないこと自体が、導入を検討するときに知っておきたい情報だからです。

逆に、次のものは今回外しました。個人向けのパッケージを法人名義で買う形のもの、日本語の公式ページが用意されていない海外ベンダーの直販、販売代理店が独自に付けている割引価格だけが出てくる製品の3つです。最後のひとつは、同じ製品でも代理店ごとに違う金額が出てきてしまい、記事として比較の軸にできません。

この記事に書いた金額は、すべて製造元または国内総販売代理店が自社のページで公開している希望小売価格・販売価格です。販売店の実売価格、キャンペーン価格、入札価格は含めていません。実際の見積りはこれより下がることがあります。

「1台あたり」の中身が製品ごとに違う

比較で最初につまずくのがここです。5製品の課金の単位は3通りに分かれていて、同じ会社の同じ端末構成でも、必要なライセンス数が変わります。

保護するOSの数で数える

ESET PROTECT Entry

PC・サーバー・Android・iOSのすべてのOS数の合計で数えます。公式の例では、Windows 50台・Mac 10台・Windowsサーバー10台・Linuxサーバー10台・Android 10台・iOS 10台の合計100台なら100ライセンスです。上位製品は数え方が違います(後述)。

使う人の数で数える

Microsoft

1ユーザーにつき最大5台まで、最小デバイス要件なし。1人がノートPCとデスクトップとスマートフォンを使っていても1ユーザー分で足ります。ただし上限は300ユーザーです。

デバイスの台数で数える

アバスト

購入画面で台数を指定し、その台数ぶんの金額になります。購入ページでは1台から100台以上までを扱っています。

人の数+モバイル枠

カスペルスキー

2024年7月の「Kaspersky Next」からデバイス課金をやめ、1ユーザーライセンスでPC・サーバー1台とモバイルデバイス2台を保護する形に変わりました。

ここで効いてくるのが、1人が何台使っているかです。1人1台の職場なら、どの数え方でも必要数はほぼ同じになります。しかし、事務所のデスクトップと持ち出し用のノートを1人で使い分けていて、さらに会社支給のスマートフォンがある、という職場では、端末の台数で数える製品の必要ライセンス数が人数の2〜3倍に膨らみます。

反対に、1台のパソコンを交代制で複数人が使う現場では、ユーザー課金のほうが高くつきます。製造や小売のバックヤードにある共用端末がこれにあたります。

50人・80台の会社で1年分を計算すると差が出る

数え方の違いが金額にどう響くかを見るために、同じ会社を想定して計算しました。従業員50人、会社が管理している端末は、ノートPC 50台・共用デスクトップ 10台・会社支給スマートフォン 20台の合計80台とします。サーバーは数えていません。

従業員50人・端末80台(うちモバイル20台)の会社が1年目に払う金額の試算。各社が公開している価格から計算した概算で、税抜・販売店の値引きなし
製品 必要なライセンス数 単価 1年目の合計
ESET PROTECT Entry 80ライセンス(OS80個ぶん) 4,160円(50〜99の帯) 332,800円
ESET PROTECT Advanced 60ライセンス(モバイル20台は上乗せなし) 5,410円(50〜99の帯) 324,600円
Microsoft Defender for Business 50ユーザー(1人5台まで) 月額相当449円×12か月 269,400円
アバスト エッセンシャル ビジネス セキュリティ 80デバイス 初年度3,420円 273,600円
アバスト アルティメット ビジネス セキュリティ 80デバイス 初年度5,269円 421,520円
ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス PCの台数ぶん 公開なし 計算できない

この条件だと、安い順はマイクロソフト、アバストのエッセンシャル、ESETの Advanced、ESETの Entry になります。機能が上の Advanced のほうが Entry より安いのは、次の見出しで書く数え方の違いのせいです。

前提を変えると順番も入れ替わります。会社支給のスマートフォンが無く、1人1台のパソコンだけなら端末数は50台まで落ち、ESET PROTECT Entry は50〜99の帯のままで208,000円、アバストは171,000円、マイクロソフトは269,400円で、ユーザー課金がいちばん高くなります。

端末が人数より多い職場ではユーザー課金が効き、人数と端末数がほぼ同じ職場では台数課金が効く、というのがこの試算から読み取れることです。自社の端末台帳を見て、人数と台数のどちらが大きいかを先に確かめるほうが、機能の比較より効きます。

ESETは製品によって台数の数え方が2通りある

同じ ESET PROTECT シリーズでも、ライセンスの数え方は製品で分かれます。公式のライセンスカウント方法のページでは、まずOSを「PC・サーバー(Windows、macOS、Linux、Windows Server、Linux Server)」と「Android・iOS」の2つに定義したうえで、製品を2つの種別に分けています。

ESET PROTECTソリューションのライセンスカウント方法。2024年8月1日にスマートフォン・タブレットの数え方が変わった
種別 対象製品 数え方
PC・サーバーの枠内でAndroid・iOSを使える ESET PROTECT MDR/Elite/Complete/Advanced PC・サーバーOSの数が基準。Android・iOSの数がPC・サーバーの数を超えなければ、追加のライセンスは要らない
すべてのOS分のライセンスが必要 ESET PROTECT Entry/Entry オンプレミス PC・サーバー・Android・iOSのすべてのOS数の合計

公式ページには同じ構成での計算例が両方の種別で出ています。Windows 50台・Mac 10台・Windowsサーバー10台・Linuxサーバー10台・Android 10台・iOS 10台の合計100台を守るとき、Advanced 以上なら80ライセンス、Entry なら100ライセンスです。同じ100台でも20ライセンス分の差が出ます。

Android・iOSの数がPC・サーバーの数を超えると、超えた分は追加になります。公式の例では、PC・サーバー80台にAndroid 80台とiOS 40台を足した200台の構成で、Advanced 以上でも120ライセンスが必要になるとされています。

仮想化環境のときは、ESET製品をインストールするゲストOSの数で数えます。クライアントHyper-VのホストOSにもインストールする場合は、1ライセンスを追加で数えます。

2026年11月から12月にかけて、2社が価格を動かす

この記事を書いている時期は、価格の面では落ち着いていません。2社が公式に価格改定を告知していて、しかも適用日が3週間ほどしか離れていません。

  1. 2026年10月1日カスペルスキーが「法人向け製品 価格改定のお知らせ」を公開。対象は法人向け製品の新規・更新(追加を含む)およびサブスクリプションライセンス
  2. 2026年11月12日カスペルスキーの改定後の価格が、同社の出荷分に適用され始める
  3. 2026年11月30日ESETの旧価格で発注できる最終日。キヤノンマーケティングジャパンで受注が完了し、かつ申請書に不備がない場合に限る。同じ日に、ESET PROTECT Entry オンプレミスの企業向け新規・乗換・切替製品の販売が終了する
  4. 2026年12月1日ESETの新価格が、キヤノンマーケティングジャパンの受注分から適用される
2社の価格改定と、ESETのオンプレミス版販売終了が重なる6週間。

カスペルスキーの告知には、改定の幅も改定後の金額も書かれていません。「昨今の世界的なインフレの状況下、製品およびサービスの開発と品質維持のため」という理由と、適用日だけが示されています。金額を知るには、パートナー企業に問い合わせることになります。

ESETは逆に、改定前と改定後の金額を1円単位で並べた一覧を公開しています。2026年6月1日の公開時点で、12月1日からどの帯がいくらになるかが分かる形です。

ESET法人向けクラウド製品・サーバー製品の価格改定についての公式ページの画面。価格改定の対象製品として ESET PROTECT Entry、Advanced、Complete、Elite、MDR Ultimate の各ライセンスと ESET Server Security for Linux/Windows Server が並んでいる
キヤノンマーケティングジャパンが2026年6月1日に公開した価格改定の告知。対象製品が一覧で示されている(2026年10月30日に表示)。

ESETは26ライセンス以上だけが改定対象になる

ESETの改定でひとつ特徴的なのは、小さい帯が据え置きになっていることです。6〜25ライセンスの帯は価格が変わらず、26ライセンス以上だけが上がります。公式のよくある質問では、据え置きの理由を「競合・市場環境などを総合的に考慮し、お客さまにとって導入および継続しやすい価格設定を検討した結果」と説明しています。

ESET PROTECT Entry の1ライセンスあたり年額(税抜)の改定前後。26ライセンス以上が改定の対象になる
ライセンス数 2026年11月30日までの価格 2026年12月1日以降の価格 差
6〜10 5,950円 5,950円 据え置き
11〜25 5,070円 5,070円 据え置き
26〜49 4,470円 4,800円 +330円
50〜99 4,160円 4,490円 +330円
100〜249 3,240円 3,570円 +330円
250〜499 2,980円 3,300円 +320円
500〜999 2,730円 3,020円 +290円

先ほどの50人・80台の試算でいえば、80ライセンスは50〜99の帯なので、12月1日以降は1ライセンス4,490円になります。年額の合計は332,800円から359,200円へ、26,400円増える計算です。11月30日までに発注が通れば旧価格ですが、公式のよくある質問では「申請書類に不備がある場合、受注処理が遅れる可能性があるため、余裕をもってお申込みください」と注意が添えられています。

なお、有効期限がまだ先でも更新(有効期限の延長)は契約期間中いつでもでき、複数年の更新は既存契約の有効期限を含めて5年を超えない範囲までと案内されています。サーバー製品の場合は4年までです。

ESET PROTECT Entry の価格ページの公式画面。ライセンス数6-10が5,950円、26-49が4,470円、100-249が3,240円など、新規・追加・更新・切替の1ライセンスあたり年額が帯ごとに並んでいる
ESET PROTECT Entry の価格表。10,000ライセンス以上は「応相談」になっている(2026年10月30日に表示)。

EDRが標準で付くかどうかで線が引かれる

ウイルス対策ソフトを法人で選ぶとき、いまは「入ってきたものを止める機能」だけでなく「入られたあとに何が起きたかを追える機能」があるかどうかが分かれ目になります。後者がEDR(Endpoint Detection and Response)です。5製品のうち、標準価格にEDRが含まれるかどうかは次のように分かれます。

EDRの扱いと、上位製品に上がったときの価格差(税抜、2026年10月30日時点の公開価格)
製品 標準価格にEDRが含まれるか EDRを足すときの選択肢
ESET PROTECT Entry 含まれない ESET PROTECT Advanced(50〜99で5,410円)または Complete、Elite へ切り替える。ESET Inspect を使う構成になる
Microsoft Defender for Business 含まれる 標準で「自動攻撃の阻止によるエンドポイントでの検出と対応(EDR)」が機能に挙がっている
アバスト ビジネス セキュリティ 3プランとも記載なし 公開されている比較表にEDRの行がない。エンドポイント プロテクション、ランサムウェア&データ保護、フィッシング対策が3プラン共通
ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス 別製品 Worry-Free XDR for Endpoint が同じ製品ファミリーに用意されている
Kaspersky Next 含まれる EDR Foundations、EDR Optimum、XDR Expert の3製品すべてにEDR機能が搭載されている

ESETでEDRまで必要になると、Entry から Advanced へ上げることになります。ここで効いてくるのが、ひとつ前で書いた数え方の違いです。1ライセンスの単価は50〜99の帯で4,160円から5,410円へ上がりますが、Advanced ではAndroid・iOSがPC・サーバーの枠内に収まるぶん、必要なライセンス数が減ります。PC・サーバー60台とモバイル20台という構成なら、Entry は80ライセンスで332,800円、Advanced は60ライセンスで324,600円です。上位製品のほうが8,200円安くなります。

この逆転が起きるのは、会社支給のモバイル端末がPC・サーバーの台数以下に収まっている職場です。モバイルのほうが多い職場では、Advanced でも超過分のライセンスが要るので、単価の差がそのまま効きます。マイクロソフトとカスペルスキーは標準でEDRを含む設計なので、ここで追加費用が発生しません。

ただし、EDRは入れて終わりの機能ではありません。カスペルスキーは3製品を推奨する利用者像で分けていて、EDR Foundations は「IT部門が情報セキュリティ対策を担当している企業」、EDR Optimum は「小規模なサイバーセキュリティチーム(1〜3人)を持つ企業」、XDR Expert は「SOCが存在し、複数のソリューションを使用する複雑なインフラを持つ企業」としています。検知された内容を読む人がいない状態で上位製品を買っても、使い切れません。

サーバーとモバイルの数え方は、製品ごとに別勘定になる

パソコンの台数だけを数えて見積りを取ると、あとからサーバー分が乗ってくることがあります。ここも製品ごとに扱いが違います。

ESETは、クライアントとサーバーを区別せずに台数で数えます。Linuxサーバー10台も、Windowsクライアント50台と同じ1台1ライセンスです。ただし、ESET Server Security for Linux/Windows Server という別のサーバー専用製品もあり、こちらは1台1年の新規が23,000円、更新が11,500円、1台5年のパッケージ製品が69,000円という単価で、2026年12月1日からそれぞれ25,300円、12,650円、75,900円に上がります。

マイクロソフトは、Defender for Business の対象をWindows、macOS、iOS、Androidのデバイスとしていて、サーバー向けには Microsoft Defender for Business servers という別のアドオンが用意されています。カスペルスキーは1ユーザーライセンスで「1台のPC・サーバー」を保護対象にできるので、サーバーをユーザー枠の中で数えられます。

見積りを依頼するときは、パソコンの台数・サーバーの台数・会社支給のモバイル端末の台数・従業員の人数の4つを分けて伝えると、どの製品でも1回で正しい数字が返ってきます。「パソコン何台」だけだと、台数課金の製品とユーザー課金の製品で返ってくる前提が変わります。

金額を公開していない2社は、どこまで分かるか

トレンドマイクロとカスペルスキーは、公式サイトで金額を出していません。ただ、公開されていない理由と、いま買えるかどうかは別の話です。トレンドマイクロの「価格・お見積り」ページを開くと、2026年10月30日時点では次の案内が出ています。

トレンドマイクロのWorry-Freeファミリー価格ページの公式画面。ダイレクトストアでは更新手続きのみを承っており、新規ライセンスの販売を一時的に停止しているという案内と、ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービスなど3製品の名前が並んでいる
「Worry-Free ファミリー 製品別 価格」という見出しのページだが、金額は1件も載っていない(2026年10月30日に表示)。

ページには「現在、ダイレクトストアでは、製品をご利用中のお客さまを対象に、ライセンスの更新手続きのみを承っております」「新規ライセンスの販売につきましては、一時的に停止させていただいております」と書かれています。製品紹介ページ側には「なお、ダイレクトストアでの新規販売は2026年6月より再開予定でございます」という文も残っていますが、10月30日の時点でも停止の案内のままです。新規に導入する場合は、販売パートナー経由になります。

Worry-Free ファミリーには、ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス、Worry-Free XDR for Endpoint、ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス Hybrid の3製品があります。Hybrid に同梱されているオンプレミス型の「ウイルスバスター ビジネスセキュリティ」は、2026年3月31日でサポートが終了したと注記されています。

カスペルスキーのほうは、製品そのものはパートナー経由で販売されており、価格改定の告知も出ています。公開されているのは「2026年11月12日弊社出荷分より適用」という適用日と、対象が法人向け製品の新規・更新(追加を含む)およびサブスクリプションライセンスであることまでです。問い合わせ先として同社の法人営業部のメールアドレスが示されています。

買う窓口は「販売店経由」と「オンライン完結」に分かれる

価格の次に効いてくるのが、どこで買うかです。ここも5製品で割れています。

購入の窓口と、発注時に必要になるもの(2026年10月30日に各社の公式ページで確認した内容)
製品 窓口 発注時に必要なもの 納品の形
ESET PROTECT シリーズ 取引のある販売店 注文書と「申込書」。申込書はオンラインフォームで作成する 電子納品(メール)。シリアル番号とユーザーズサイトのURLが届く
Microsoft Defender for Business 公式サイトから直接購入できる Microsoft アカウントと支払い方法 テナントへの割り当て
アバスト ビジネス セキュリティ 公式ストアから直接購入できる 台数と年数を選んで決済 ビジネスハブからの展開
ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス 新規は販売パートナー経由(更新はダイレクトストア) パートナーへの問い合わせ 公開情報からは判断できない
Kaspersky Next パートナー企業 パートナーへの問い合わせ 公開情報からは判断できない

オンラインで完結する2製品は、稟議を通してから購入するまでの期間が短くて済みます。一方で、販売店経由の製品は、まとまった台数になると値引きの余地があります。ESETは希望小売価格を公開しているので、販売店から出てきた見積りが希望小売価格からどれだけ下がっているかを自分で確認できる、という利点があります。

ESETの購入ガイドには、グループ企業でまとめて買うときの条件も書かれています。まとめられる範囲は同一法人またはグループ企業の範囲内で、「グループ企業の範囲とは、1%以上の資本関係があることが原則」とされています。1契約にまとめるとシリアル番号・製品認証キー・有効期限が統一され、製品の使い方の問い合わせは管理部門1か所からのみ受ける、という運用になります。

Microsoft Defender for Business の公式ページのプランと価格の画面。1ユーザーあたり月額相当449円、年払い、最大300ユーザー、ユーザー1人あたり最大5台のデバイスという条件が並んでいる
Microsoft Defender for Business の価格。価格には消費税が含まれていないと明記されている(2026年10月30日に表示)。

乗り換えると、前の契約の残り期間が一部戻る

すでに別のウイルス対策ソフトを使っていて、契約期間の途中で乗り換えるとき、前の契約の残りはふつう捨てることになります。ESETには、この残りを新しい契約に足す「残期間保証サービス」があります。

ESETの残期間保証サービスで足される最大期間
製品の種別 対象製品 最大保証期間
オンプレミス製品 ESET PROTECT Entry オンプレミス(企業向け・教育機関向け・官公庁向け) 12か月
クラウド製品 ESET PROTECT Complete/Advanced/Entry 3か月

オンプレミス製品とクラウド製品で4倍の差があります。ただし、企業向けのオンプレミス新規・乗換・切替は2026年11月30日で販売が終了するため、12か月のほうを使えるのは教育機関向けと官公庁向けに絞られていきます。

適用の条件も決まっています。乗り換え元が製品版(有償版)であること、日本語版であること、契約期間内であること(「無制限製品」の場合は残り契約期間を1年とみなす)の3つに加えて、乗り換え元がパッケージ製品の場合は、購入予定のESETライセンスの半数以上を所有している必要があります。公式の例では、購入予定が200ライセンスなら乗り換え元が100ライセンス以上で適用可能とされています。企業・教育機関・官公庁向けのライセンス製品を持っている場合は、ライセンス数に関係なく使えます。

対象になる他社製品の例として、公式ページには Trend Micro Apex One、Symantec Endpoint Protection、McAfee Endpoint Security が挙がっています。申し込みは「ライセンス申込書作成サイト」で「新規/乗換」の申込書を作り、乗り換え元の製品名・ライセンス数・契約期限を入力したうえで、発注書に添えて販売代理店へ出す形です。

更新のときに初年度価格が消える製品がある

見落としやすいのが2年目です。アバストの購入ページに出ている3,420円・4,345円・5,269円は、いずれも20%割引が適用された初年度の価格で、割引前の金額がそのまま更新価格になります。

アバスト ビジネス セキュリティ3プランの初年度価格と更新価格(1デバイスあたり年額、税抜)
プラン 初年度(20%割引) 更新価格 2年目の増え方
エッセンシャル ビジネス セキュリティ 3,420円 4,275円 +855円
アバスト プレミアム ビジネス セキュリティ 4,345円 5,431円 +1,086円
アルティメット ビジネス セキュリティ 5,269円 6,586円 +1,317円

80台で計算すると、エッセンシャルは初年度273,600円、2年目以降は342,000円です。3年間の合計では957,600円になり、初年度の金額を3倍した820,800円とは14万円近く離れます。比較表を作るときは、初年度ではなく2年目以降の金額で並べたほうが実態に近くなります。

プラン間の機能差も公開されています。オンライン管理プラットフォーム、エンドポイント プロテクション、ランサムウェア&データ保護、フィッシング対策の4つは3プラン共通です。Web フィルタリング、パーソナルVPN、USB プロテクションはプレミアム以上、パッチ管理はアルティメットだけに付きます。なお、パーソナルVPNとパッチ管理には「macOSでは使用できません」という注記が付いています。

アバストのスモールビジネス向けセキュリティ製品比較の公式画面。エッセンシャル、プレミアム、アルティメットの3プランについて、Webフィルタリングやパーソナルトンネル、USBプロテクション、パッチ管理の対応が丸とバツで並び、1台あたりの初年度価格3,420円・4,345円・5,269円が表示されている
アバストの3プラン比較。パッチ管理はアルティメットだけに付く(2026年10月30日に表示)。

10台までの事務所には、別の値付けがある

アバストは、1〜100台以上を対象にした3プランとは別に「アバスト スモール オフィス プロテクション」を用意しています。最大10台まで使えて年額15,070円(税抜)なので、10台ちょうどで使えば1台あたり1,507円です。エッセンシャル ビジネス セキュリティを10台ぶん買うと初年度34,200円、更新時は42,750円になるので、台数が10台に収まるならこちらのほうがかなり安く収まります。ただし11台目が出た時点でこの枠からは外れます。

似た逆転は ESET でも起きます。ESET PROTECT Entry の価格表は6ライセンスから始まり、6〜10の帯が1ライセンス5,950円、11〜25の帯が5,070円です。10ライセンスなら59,500円ですが、11ライセンスだと55,770円になり、1つ多く買ったほうが総額が3,730円下がります。帯の境目に近い台数のときは、1つ上の帯でも見積もってみる価値があります。

アバストはパッチ管理を単体でも売っていて、5台で年額8,660円、1台あたり1,732円です。全台をアルティメットに上げるのではなく、パッチ管理が要る端末にだけ足す、という組み方もできます。クラウド バックアップも100GB単位で年額12,310円から別売りになっています。

価格に含まれているものを読み違えない

ESETの購入ガイドには、ライセンス価格に何が含まれるかが書かれています。含まれるのは、プログラムなどの使用料(バージョンアップの権利を含む)と、ESET法人サポートセンターによるライセンスサポート(通常サポート)の費用です。サポートの範囲には条件があり、国内総販売代理店であるキヤノンマーケティングジャパンは「日本語OS、日本語版プログラムの組み合わせでご利用時のみサポートいたします」としています。

有効期限の数え方も独特です。開始日の設定はなく、納品メールを受け取った日から使えます。期限はライセンス登録日を基準にして、契約年数に10日間を足した日付が設定されます。納品は電子メールで、シリアル番号とユーザーズサイトのURLが届く形です。海外で使うことを前提に購入する場合は輸出にあたるため、該非判定の内容とサポート内容を理解したうえで検討するよう案内されています。

機能の範囲にも注記があります。ESET PROTECT Entry のページには「ランサムウェアからの保護機能は搭載されていますが、ランサムウェア暗号化からの修復機能は搭載されていません」と書かれています。防ぐところまでが Entry の守備範囲で、暗号化されたあとの復旧は別の手当てが必要だ、ということです。

製品ごとの要点

ここまでの内容を、製品ごとに短くまとめます。

ESET PROTECT Entry

価格表が公開されている

強みは、1ライセンスあたりの年額が帯ごとに公開されていて、販売店の見積りを自分で検算できること。弱みは、EDRが含まれず、必要なら上位製品への切り替えが要ること。購入は販売店経由で、申込書の提出が必要です。

Microsoft Defender for Business

1人5台まで449円

強みは、1ユーザーで5台まで守れることとEDRが標準で付くこと。弱みは、300ユーザーの上限があることと、サーバーが別アドオンになること。Microsoft 365 Business Premium(月額相当3,298円)にも含まれています。

アバスト ビジネス セキュリティ

オンラインで買い切れる

強みは、台数と年数を選んで公式ストアで購入まで完結すること。弱みは、初年度の割引価格と更新価格の差が大きいことと、公開されている比較表にEDRの行がないことです。

ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス

新規はパートナー経由

強みは、PC1台から購入でき、Windows・Mac・モバイル・Google Chromebook まで一元管理できること。弱みは、公式ページに金額がなく、2026年10月30日時点で公式ストアの新規販売が止まっていることです。

Kaspersky Next EDR Foundations

全製品にEDR標準

強みは、3製品すべてにEDRが載っていることと、1ユーザーでPC・サーバー1台とモバイル2台を数えられること。弱みは、金額が公開されておらず、2026年11月12日に価格改定が入ることです。

選ぶときに最初に決める3つのこと

機能表を端から比べる前に、次の3つを決めておくと候補が2つか3つに絞れます。

  1. 人数と端末台数のどちらが多いかを数える。端末台数が人数より3割以上多いなら、ユーザー課金の製品が有利になります。共用端末が多くて端末数のほうが少ないなら、台数課金が有利です。
  2. 検知された内容を読む人がいるかを決める。EDRは記録を残す機能なので、それを見る人がいないと費用だけが増えます。いないなら、EDRのない構成から始めて、担当を置けた段階で上位へ切り替えるほうが無駄がありません。
  3. サーバーを数に入れるかを先に決める。サーバーをクライアントと同じ枠で数える製品と、別アドオンになる製品があります。見積り依頼の段階で分けて伝えないと、比較できない数字が返ってきます。
この3つが決まると、候補は2〜3製品に絞れる。

よくある質問

公式サイトに出ている価格より安く買えますか。

ESETとトレンドマイクロ、カスペルスキーは販売店・パートナー経由の販売なので、実売価格は見積りによります。ESETが公開しているのは希望小売価格です。アバストとマイクロソフトは公式サイトでそのまま購入でき、アバストは初年度に20%割引が適用された金額が表示されています。

ESETの価格改定は、いま契約している分にも影響しますか。

2026年12月1日以降にキヤノンマーケティングジャパンが受注する新規・追加・更新・切替が対象です。有効期限の延長(更新)は契約期間中いつでもでき、既存契約の有効期限を含めて5年を超えない範囲なら複数年での更新もできるとされています。

Microsoft 365 を使っているなら、別にウイルス対策ソフトは要りませんか。

Microsoft 365 Business Premium には Defender for Business が含まれます。Business Standard には含まれません。Standard(月額相当2,098円)と Premium(同3,298円)の差は1,200円で、Defender for Business を単体で足すと449円なので、どちらが安いかは必要な機能の範囲によります。

1ライセンスで何台までインストールできますか。

製品によって答えが変わります。ESETはインストールする端末ごとに1ライセンスで、プラットフォームの違いは問いません。マイクロソフトは1ユーザーにつき最大5台です。カスペルスキーは1ユーザーライセンスでPC・サーバー1台とモバイル2台までです。

無料で試せますか。

アバストは最大100台まで使える30日間の無料体験版と30日間返金保証を用意しています。マイクロソフトも公式ページに「無料で試す」の導線があり、試用版の契約条件が別に示されています。

この記事の調べ方と、次に更新する条件

金額と条件は、各社の日本語公式サイトを2026年10月30日に開いて読み取りました。販売代理店や比較サイトの数値は使っていません。公式ページと検索結果の要約が食い違った場合は、公式ページの表示を採りました。

次に手を入れるのは、カスペルスキーの改定後価格が公開されたとき、ESETの12月1日以降の価格が各製品ページに反映されたとき、トレンドマイクロのダイレクトストアで新規販売が再開されたときの3つです。どれも公式ページの表示が変わることで確認できます。

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製品ごとの価格表と契約条件は、それぞれのページに分けて書いています。

選ぶ・乗り換える・更新するの3つの場面については、次のページで扱っています。

端末ではなく、社内で使っているサービス側の設定で守る話は次にまとめています。

出典

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