このページの要点
- 人事評価システムは金額が公開されていないため、試用が実質的に唯一の判断材料になります。
- ところが試せる条件の書き方は各社でばらばらです。期間まで明記しているのはOne人事(30日間)だけでした。
- 規約で試用の終わり方を定めているのはコチームだけです。1か月のトライアルは14日前までに終了を申し入れないと1年継続します。
- 試用中にできるのは「自社の制度が載るか」の確認までです。サポートの実力や障害時の対応は試用では分かりません。
- 試用で作ったデータは残らないことがあります。持ち出す段取りまで含めて計画してください。
資料を取り寄せても金額は書かれていない。比較記事の相場は条件が揃っていない。そうなると、自社で触って判断するしかありません。ただし限られた期間で何を確かめるかを決めずに始めると、画面を眺めただけで終わります。このページは、申し込む前に決めておくことと、期間中に必ず試す項目、そして試用では分からないことを整理したものです。
試せる条件の書き方は各社で違う
2026年11月5日に5社の公式サイトと利用規約で確認した内容です。
| サービス | 公式の文言 | 範囲 | 期間 | 申し込み方法 |
|---|---|---|---|---|
| One人事 | 「全製品で機能制限なく、30日間のご利用が可能です」 | 全製品 | 30日 | 問い合わせ |
| HRBrain | 「有料プランと同じ、すべての機能がご利用いただけます」 | 全機能 | 記載なし | 「無料で試してみる」から |
| コチーム | 「コチーム(Co:TEAM)の無料版をお試しいただけます」 | 記載なし | 記載なし | フォーム入力後、担当者から連絡 |
| あしたのクラウドHR | 「無料デモ・トライアル 画面を見て使いやすさを体験する」 | 記載なし | 記載なし | 問い合わせフォーム |
| カオナビ | 料金ページにトライアルの記載なし(「操作感もわかる機能をデモ画面で確認したい」の案内) | — | — | デモの申し込み |
出典: One人事 料金プラン(FAQ)/HRBrain 料金(FAQ)/コチーム 無料版/あしたのクラウドHR/カオナビ 料金(いずれも2026年11月5日確認)

表から分かるのは、「無料トライアルあり」と書いてあっても中身が全く違うということです。One人事だけが範囲と期間の両方を明記しています。HRBrainは範囲を明記していますが日数がありません。残る3社は、条件がフォーム送信後のやり取りで決まる形です。申し込む前に、何日間使えるのかを必ず確認してください。検証メンバーの工数を押さえる必要があるためです。
試用がそのまま契約になる条件がある
もっとも注意が必要なのがここです。コチームの利用規約第17条は、利用期間について次のように定めています。「ただし、利用企業が、契約満了の30日前までに終了の申し入れをしない限り、サービスは自動的に一年間継続します。また、トライアル申し込み(その利用期間が一ヶ月であるものに限る)の場合、上記終了の申し入れは14日前までに行えばよいものとします。」
この条項の読み方を間違えないでください。「14日前まででよい」は緩和のように見えますが、裏を返せば、14日前までに申し入れなければ自動的に1年続くということです。1か月のトライアルなら、開始から16日目には期限が過ぎています。
残る4社については、試用の終了が有料契約につながるかどうかを公式サイトでは確認できませんでした。書かれていないから自動契約にならない、とは限りません。申し込みのときに、終了の手続きが必要かどうかを文字で確認してください。
加えて、コチームの料金ページのFAQには「期間終了後のデータはどうなりますか?」という設問があり、「トライアル終了後、支払いが完了しない状態のまま30日経過しますと、情報を削除させて頂く場合があります。」と答えています。試用で作った評価シートや目標の内容は、本契約に進まなければ消える可能性があるということです。
申し込む前に決める4つ
試用を始める前に決めておく
決める1|検証する人
人事担当だけで触ると、評価者の使い勝手が分からない。人事・評価者・被評価者を1名ずつは最低限入れる。
決める2|載せる制度
いま使っている評価シートを1枚、そのまま持ち込む。架空の項目で試すと、実際の制度が載るかどうかが分からない。
決める3|期間内の予定
何日目に何を試すかを先に割り振る。30日あっても、関係者の予定が合わずに2週間溶けることがある。
決める4|終了の期限
終了を申し入れる期限をカレンダーへ登録する。コチームは1か月のトライアルで14日前まで。他社は申し込み時に確認する。
期間中に必ず試す7項目
画面を眺めるだけでは判断できません。自社の制度を実際に載せて、評価期を一周させるのが目的です。
試用中に確かめる7項目
- 評価シートが自社の形に収まるか。等級別に評価軸が違う、職種別に配点が違う、といった構造が再現できるか。カオナビは「独自の評価シートを利用している企業でも問題ありません」、あしたのクラウドHRは「いまの評価制度をそのまま再現できる」と書いている。実際に載せて確かめる。
- 承認フローが自社の順番どおりに組めるか。一次評価者・二次評価者・最終承認まで通す。フェーズごとに関わる人を変えられるかも見る。
- 項目単位の閲覧権限が設定できるか。評価コメントを本人に見せる/見せないの制御は、制度の運用に直結する。
- 評価のばらつきを後から直せるか。分布を見ながら調整する画面を、人事の権限で操作してみる。相対評価を併用しているなら、ランクの割り当てまで試す。
- 被評価者がスマートフォンで入力できるか。店舗や工場に現場がある会社では、ここが運用の成否を分ける。
- 既存データを入れられるか。CSVの形式、必須項目、文字数制限を確認する。ここで詰まると、本番の初期設定で同じ問題が起きる。
- データを出せるか。評価結果を自社の様式で書き出せるか。出せない形式があるなら、乗り換えるときにも同じ制約がかかる。
7項目のうち、6と7は乗り換えのときにも効いてきます。入れられる形式と出せる形式を試用中に把握しておくと、将来別のシステムへ移るときの手間が読めます。カオナビの利用規約第11条3項は、契約の終了に伴い全ての保存データを削除すると定めています。出せないデータは、契約が終われば失われます。
試用では分からないこと
試用で判断できる範囲には限りがあります。分からないことを分からないまま残すほうが、誤った確信を持つより安全です。
試用では確かめられない4つと、代わりに確認する方法
サポートの実力
試用中は営業担当が手厚く対応する。本番の問い合わせ窓口とは別のことが多い。回答までの目安時間や電話対応の対象を文字で確認する。HRBrainは「チャットや電話での回答までの目安:10〜15分」「※電話対応はタレントマネジメントのみ」と公式に書いている。
障害が起きたときの扱い
試用期間に障害が起きる確率は低い。規約の保証条項を読む。カオナビは「連続24時間を超えて本サービスが停止しないこと」を保証し、請求は違反発生日から60日以内と定めている。
次年度以降の金額
試用では費用が発生しない。見積りで次年度の年額まで出してもらう。カオナビの規約には料金改定があり得る旨の条項がある。
人が増えたときの負担
試用の人数は少数。人数区分の刻みと増員時の扱いを聞く。コチームは月末時点で申込時のアカウント数を超えると自動的にプランが変わり翌月に追加請求される。
デモと試用は別のもの
公式サイトには「デモ」と「トライアル」が並んで案内されていることがあります。この2つは性質が違います。
デモは、担当者が画面を見せながら説明するものです。カオナビは「操作感もわかる機能をデモ画面で確認したい」という導線を置き、One人事はオンラインデモとして「人事評価・甘辛調整・クロス分析」「ダッシュボード・分析」といった場面別のページを用意しています。短時間で全体像をつかむには有効ですが、自社のデータを入れて試すことはできません。
一方トライアルは、自社の環境で触るものです。評価シートを作り、承認フローを組み、実際に入力してみることができます。前述の7項目を確かめられるのはトライアルだけです。検討の段階に応じて、まずデモで絞り込み、2社程度に絞ってからトライアルという順番が現実的です。全社でトライアルを回すと、検証する側の工数が持ちません。
なお、資料ダウンロードはどちらとも違います。5社とも「3分でわかる」といった紹介資料を用意していますが、そこに金額が載っているかどうかは取り寄せるまで分かりません。資料請求だけで比較を終えようとしないことが、検討の時間を節約します。見積りの取り方は見積りを比べる手順にまとめています。
試用の前に、社内で合意しておくこと
試用そのものは無料でも、検証にかかる時間は人件費です。人事担当が20時間、評価者2名が各5時間を使えば、それだけで相応の原価になります。何をもって「合格」とするかを先に決めておくと、期間が終わったときに判断が割れません。
決め方は単純で構いません。前述の7項目のうち、絶対に満たす必要があるもの(必須)と、満たせれば良いもの(任意)に分けるだけです。たとえば店舗が多い会社なら「被評価者がスマートフォンで入力できる」は必須、「相対評価の自動割り当て」は任意、という具合です。必須を1つでも満たさなければ、その会社は候補から外す。この線引きを試用の前に書いておくと、担当者の好みで結論が動きません。
もうひとつ合意しておきたいのが、誰が最終的に判断するかです。人事部長なのか、情報システム部門との合議なのか、役員決裁なのか。判断者が試用に参加していないと、終わってから「画面を見ていないので分からない」と差し戻されます。判断者には、期間の後半に30分でも触ってもらうように段取りしてください。
試用中に出てきた疑問は、その場で文字にして送る
操作していると必ず疑問が出ます。「この権限設定は部署単位でもできるのか」「評価期を複数並行で回せるのか」。こうした質問を口頭ではなくメールやチャットで送り、回答を文字で受け取るようにしてください。理由は2つあります。
ひとつは、回答がそのまま検証の記録になるためです。決裁の資料に「できる」と書くとき、根拠が口頭だと後から確認できません。もうひとつは、回答の速さと具体性が、本番のサポートを推し量る材料になるためです。試用期間中の対応は営業担当が窓口になることが多く、本番の問い合わせ窓口とは別ですが、社内の情報共有がどの程度スムーズかはここに表れます。
公式サイトに書かれているサポートの条件も、同じタイミングで確認しておきます。One人事は導入前の要件整理から運用が安定するまで専任のサポート担当が支援するとしつつ、設定代行やデータ移行は有償オプションと明記しています。HRBrainも初期設定代行を有料と書いています。試用中に手伝ってもらえたことが、本番でも無料とは限りません。
試用の結果を1枚にまとめる
終わったら、次の形式で1枚にまとめてください。2社目、3社目を試すときも同じ様式を使うと、比較がそのまま成立します。
| 列 | 書く内容 |
|---|---|
| サービス名・試用期間 | いつからいつまで、何日間使ったか |
| 参加者 | 人事/評価者/被評価者それぞれの人数と、実際に触った時間 |
| 必須項目の合否 | 7項目のうち必須にしたものを○×で。×の場合は何ができなかったかを一言で |
| 任意項目の所感 | できた/できない/条件付きで可能 |
| 質問と回答 | 送った質問と、文字で返ってきた回答の要点。回答までにかかった日数も |
| データの入出力 | 取り込めた形式、書き出せた形式、詰まった箇所 |
| 終了の手続き | いつまでに何をしたか。自動契約の有無 |
| 未確認のまま残ったこと | 試用では分からなかった項目。見積りや規約で確認する項目として残す |
最後の行を必ず設ける。分からなかったことを空欄のまま残すほうが、推測で埋めるより判断の質は上がる。
試用が終わったあとにやること
終了の前後で忘れずに
終了の意思表示
続けないと決めたら、期限内に申し入れる。コチームは1か月のトライアルで14日前まで。期限は開始時に確認した日付どおりに動く。
作ったデータの持ち出し
評価シートの構造、入力した内容、権限の設定をCSVや画面の記録で残す。本契約でも同じ設計を使うなら、作り直しの手間が省ける。
検証結果の記録
7項目のどれが通り、どれが通らなかったかを1枚にまとめる。決裁の場で「なぜこの会社か」を説明する材料になる。
次の候補への申し込み
2社目のトライアルは、1社目の記録を持って同じ項目を試す。比較は同じ物差しで行う。
このページの作り方と出典
記載した条件は、2026年11月5日に各社の公式サイトと利用規約で確認したものだけです。試す7項目と終了後の手順は、確認できた条件からBIZEE編集部が組み立てたもので、特定のサービスを推奨するものではありません。試用の条件は変わります。申し込みの前に、期間・範囲・終了の手続きを各社に文字で確認してください。
- One人事「料金プラン」(FAQ・2026年11月5日確認)
- HRBrain「料金」(FAQ・2026年11月5日確認)
- コチーム「無料版を使ってみる」/「料金プランについて」/Co:TEAM 利用規約 第17条(2026年11月5日確認)
- あしたのチーム「あしたのクラウド® HR」(2026年11月5日確認)
- カオナビ「料金」/クラウドサービス共通ご利用規約(PDF)(2026年11月5日確認)
各サービスの条件は人事評価システムの比較ハブに、更新を止める手続きは自動更新を止める期限の記事にまとめています。
