人事評価システムの自動更新を止める期限は会社ごとに違う|数え方は3通り、通知の手段にも指定がある

白地に濃紺の見出しで自動更新を止める期限は会社ごとに違うと書かれたアイキャッチ。数え方は3通り、手段も指定があるという副見出しと、3月31日に満了する契約の通知期限としてあしたのクラウドHRが1月31日、カオナビとHRBrainが2月28日、コチームが3月1日、One人事は申込書によると並んだ表、期限を過ぎるともう1年が確定するという赤い帯が入っている

先に押さえる5点

  • 人事評価システムの主要5サービスは、いずれも自動更新の条項を持っています。放っておけば1年ずつ伸びます。
  • 止めるための期限の数え方は3通りあります。「満了日の◯か月前」「満了の◯日前」「最終月の前月末日」。最後の型は満了月によって猶予が変わります。
  • 通知の手段も違います。電子メールが明示的に認められている会社と、「書面」「文書」としか書かれていない会社があります。
  • 規約に期限の日数が書かれていない会社があります。その場合は申込書を見ないと期限が分かりません。
  • 更新が確定したあとは、更新後の期間が始まる前でも解約できないと定める規約があります。期限を過ぎた時点で、もう1年が確定します。

「来期は使わないつもりだったのに、気づいたら1年分の請求が来た」。クラウドサービスで最も多いトラブルのひとつです。人事評価システムは年単位の契約が基本で、しかも5社の条件を比べたハブで確認したとおり、期間中の途中解約は原則できません。つまり更新を止める期限を逃すと、その1年は支払いが確定します。このページは、その期限を逃さないための実務的な手順をまとめたものです。

期限の数え方は3通りある

2026年11月5日に5社の利用規約で確認した更新条項を、数え方で分類すると次のようになります。

更新を止める期限の数え方(各社の利用規約。2026年11月5日確認)
数え方サービス規約の文言3月31日満了なら
満了日から月で数えるあしたのクラウドHR「注文書等に定める期間の満了日の2ヵ月前までに」1月31日まで
満了日から月で数えるカオナビ「サービス期間満了の1ヶ月前までに」2月28日まで
満了日から日で数えるコチーム「契約満了の30日前までに終了の申し入れをしない限り」3月1日まで
月末で区切るHRBrain「利用期間の最終月の前月末日までに」2月28日まで
規約に日数がないOne人事「申込書等その他当社所定の方法により別途定める期日までに」申込書による

出典: あしたのチーム クラウドサービス利用規約 第7条(2026年10月1日改定)/カオナビ クラウドサービス共通ご利用規約 第6条(PDF)/Co:TEAM 利用規約 第17条/HRBrain 利用規約 第8条(PDF)/One人事サービス利用規約 第8条(いずれも2026年11月5日確認)。「3月31日満了なら」の欄は規約の文言から機械的に計算した日付で、各社が示したものではない。

注意したいのが月末区切りの型です。HRBrainの「最終月の前月末日まで」は、満了日が3月31日なら2月28日までですが、満了日が3月1日でも期限は1月31日になります。満了日から逆算した日数ではないため、満了が月初の契約は猶予が実質2か月近くになり、月末の契約は1か月強になります。契約の開始日によって必要な準備期間が変わる、ということです。

通知の手段は会社ごとに指定が違う

期限内に伝えたつもりでも、手段が規約の指定と違えば要件を満たしません。

規約が指定している通知の手段(2026年11月5日確認)

あしたのクラウドHR

「書面(電子メールのような有形記録媒体を含みます。)による終了または変更の意思表示」。メールが明示的に認められている。

One人事

「書面または電磁的方法による相手方への通知」。こちらも電子的な手段が規約上認められている。

HRBrain

「書面による通知」。電子メールを含むという注記は確認できなかった。

カオナビ

「文書による相手方への通知」。同じく電子的手段についての注記は確認できなかった。

コチーム

「終了の申し入れ」。手段の指定は規約に書かれていない。

電子メールが使えると明記しているのは2社。残り3社は、担当者とのチャットやメールだけで済ませず、書面での通知を前提に動くほうが安全。

「書面」としか書かれていない規約で、メールだけで通知した場合にどう扱われるかは、規約の文面からは判断できません。争う前提で考えるのではなく、要件を満たす形で出しておくのが実務的です。

書面を郵送する場合は、いつ出したかを自社に残すことも重要です。期限の立証は通知した側の責任になります。

規約を読んでも期限が分からない場合がある

One人事の利用規約第8条は、延長しない旨の通知について「申込書等その他当社所定の方法により別途定める期日までに」としています。規約を最後まで読んでも、何日前なのかは書かれていません。期日は申込書で決まるため、契約時に受け取った書類を確認する必要があります。

もうひとつ、規約そのものが複数に分かれている場合もあります。カオナビのご利用規約のページには、「クラウドサービス共通ご利用規約(PDF)」のほかに、「カオナビ」Ver12.0までのプランを利用している顧客向けと、Ver13.0以降のプランを利用している顧客向けのリンクが分かれて置かれています。ページ冒頭には「ご契約中またはご契約予定のバージョン、プラン等が不明な場合は営業担当までお問い合わせください。」という案内があります。

カオナビ公式サイトのご利用規約ページの画面。ご利用規約という見出しの下に、ご契約中またはご契約予定のバージョン、プラン等が不明な場合は営業担当までお問い合わせくださいという案内と、クラウドサービス共通ご利用規約のPDFへのリンク、カオナビVer12.0までのプラン向けとVer13.0以降のプラン向けに分かれたリンクが並んでいる
カオナビのご利用規約ページ(2026年11月5日取得)。契約しているバージョンによって適用される規約が分かれている。出典: カオナビ「ご利用規約」

つまり「公式サイトで規約を読んだから大丈夫」とは限りません。自社が契約しているのがどのバージョン・どのプランで、それに対応する規約がどれなのかを特定したうえで、該当する条項を読む必要があります。あしたのチームも、基本規約・クラウドサービス利用規約・役務提供サービス利用規約など8本に分かれており、更新の条項があるのはクラウドサービス利用規約の第7条です。

期限を過ぎると、その時点で1年が確定する

期限を過ぎたあとに「やはり更新しない」と伝えても、取り消せないと定める規約があります。HRBrainの利用規約第8条3項は、「本サービス利用契約の更新が確定した後は、更新後の利用期間の開始前後を問わず、お客様は本サービス利用契約の解約又は更新の取消しを行うことはできないものとします」としています。

期限を過ぎてからできること、できないこと

更新の取消し

HRBrainは規約で明確に否定している。更新後の期間が始まっていなくても取り消せない。

期間中の解約

5社とも原則不可。認められる場合も、満了までの利用料を支払うのが条件(あしたのクラウドHRの利用休止を除く)。

利用の休止

あしたのクラウドHRは、やむを得ない事由があれば最大6か月の休止を請求できると規約に定めている。

次の満了日に向けた準備

更新された期間の満了日を起点に、もう一度期限を計算してカレンダーへ入れる。これは確実にできる。

期限を過ぎてからの選択肢は限られる。やるべきことは、次の満了日に向けた期限の再設定。

社内で期限を落とさないための運用

期限は担当者の記憶に預けないことが前提です。人事のシステム担当は異動もあれば退職もあります。契約した日のうちに、期限を仕組みに落とすのが唯一の対策です。

契約した日にやっておく5つ

  1. 申込書の「サービス提供開始日」を確認する。契約日でも請求開始日でもなく、ここが期間の起点になる会社が複数ある。
  2. 満了日を計算する。提供開始日の1年後。自動更新が重なっている場合は直近の更新日から1年後。
  3. 規約の数え方で期限日を出す。「満了日の◯か月前」なのか「最終月の前月末日」なのかで日付が変わる。One人事のように規約に日数がない場合は申込書から拾う。
  4. 共有カレンダーに2件登録する。期限日そのものと、その1か月前のリマインド。個人の予定表ではなく部署の共有カレンダーに入れる。
  5. 通知の宛先と手段を書き添える。誰宛てに、どの方法で出すのかを登録時のメモに残す。1年後に調べ直す時間が省ける。
5つとも契約当日に15分で終わる。これを翌年に回すと、担当者が代わった時点で期限は失われる。

通知文に書くこと

通知の文面は短くて構いません。ただしどの契約について、いつで終わらせるのかが特定できる必要があります。次の要素を入れてください。

通知文に入れる6要素

① 宛先(契約先の会社名・担当部署)
② 自社名と担当者名、連絡先
③ 対象の契約を特定する情報(契約番号、申込書の日付、サービス名)
④ 本サービス契約を更新しない旨の意思表示であることを明記する一文
⑤ 契約の満了日
⑥ 通知した日付

④は「解約します」ではなく「更新しない」という書き方にします。規約が定めているのは更新の拒絶であり、期間中の解約とは別の手続きだからです。混同した書き方をすると、期間中の解約の申し出として扱われ、別の条項(解約料など)の話になりかねません。

送ったあとは、受領の確認を取るところまでを1セットにしてください。メールなら返信を、郵送なら到着の確認を。規約によっては「到達したものとみなす」旨の条項がありますが、それは会社から顧客への通知についての定めであることが多く、顧客から会社への通知には当てはまらない場合があります。

更新を止める前に決めておく3つのこと

通知を出す前に、社内で答えを出しておくべきことがあります。通知してから慌てると、移行が間に合わずに結局同じサービスを使い続ける——という結末になりがちです。

ひとつめは、評価データをどうするか。契約が終わればデータは消えます。カオナビの利用規約第11条3項は「当社は、本サービス契約の終了に伴い、全ての保存データを削除します」と定め、終了後の保管・削除・バックアップに関して生じた損害について責任を負わないとしています。評価の履歴は人事の判断根拠であり、労務トラブルの際の記録でもあります。契約が終わる前に、自社で持ち出しておく必要があります。

持ち出しの手段は各社で違います。コチームは一律で使える機能として「CSV入力・出力」を挙げており、追加費用なしで出力できる構成です。カオナビは「評価結果・人事DBデータを一括出力」に相当する機能を人事評価の説明で挙げています。HRBrainは「データの集計・出力」を主な機能に含めています。どの形式で、どこまで出せるのかは、通知を出す前に実際に試しておくのが確実です。

ふたつめは、次の評価期をどう運用するか。契約が切れる日と、評価期の区切りは一致しないことがあります。期の途中でシステムが使えなくなると、目標設定だけ旧システム、評価は新システム、という分断が起きます。満了日と評価期のカレンダーを並べて、どちらを基準に切り替えるかを先に決めてください。

みっつめは、代替手段のあてがあるか。乗り換え先が決まっていない状態で更新だけ止めると、評価運用が紙とExcelに戻ります。新しいシステムの導入にも時間がかかります。One人事は「最短1か月でご利用いただけます」とFAQで回答していますが、これは最短の場合です。初期設定、データ移行、評価者への説明まで含めると、通知の期限より前に乗り換え先の検討を終えておく必要があります。

更新しない以外の選択肢

「このまま続けるか、やめるか」の二択だと思われがちですが、規約を読むと中間の選択肢が用意されていることがあります。

規約に書かれている中間の選択肢(2026年11月5日確認)

利用を一時休止する

あしたのクラウドHRは、やむを得ない事由で利用できない状況が生じた場合に一時休止を請求でき、会社が認めれば最大6か月、その間の利用料は生じないと定めている。残存期間は休止の後から再開する。

プランを変更する

コチームはFAQで契約期間中のプラン変更を可能としている。一方カオナビは規約で契約プランの変更を途中解約に含め、原則不可としている。

契約を長くする

One人事は「複数年契約にも対応可能です」とFAQで回答している。長期の条件で単価が下がる場合があるが、解約時の違約金に差額が加算される会社もある。

機能を増やす

カオナビは期中のアップグレードやオプション追加を認めているが、契約内容変更後のサービス期間は変更前から変わらず、変更日は起算日にならないと規約が明記している。

縮小方向の変更を認めない会社と、認める会社がある。更新の判断材料として、自社の契約にどの選択肢があるかを確認しておく。

注意したいのは、これらの選択肢にも期限があることです。あしたのクラウドHRの利用休止は、休止期間の満了までに通知することで解除か再開かを選ぶ仕組みで、放置すれば自動的に再開の扱いになり得ます。更新の期限とは別に、選択肢ごとの期限を把握しておく必要があります。

やってしまいがちな3つの間違い

間違い1|担当営業に口頭で伝えて済ませる。規約が「書面」「文書」と指定している場合、会話や電話は要件を満たしません。担当者が社内で共有してくれる前提に立たないでください。

間違い2|契約日から1年後を満了日だと思い込む。カオナビとOne人事の規約は、サービス期間の起点を「申込書に記載されたサービス提供開始日」としています。契約書に押印した日とは別です。

間違い3|トライアル中だから関係ないと考える。コチームの利用規約第17条は、利用期間が1か月のトライアル申し込みについて、終了の申し入れを14日前までに行えばよいと定めています。裏を返せば、14日前までに申し入れなければ自動的に1年継続するということです。トライアルを始めた日に、14日前の期限をカレンダーへ入れておく必要があります。トライアルの扱いは無料トライアルで確かめることをまとめた記事でも扱っています。

間違い4|「更新しない」と伝えれば即日で使えなくなると思う。更新の拒絶は、満了日をもって契約を終わらせる手続きです。満了日までは通常どおり利用できます。逆にいえば、満了日までの利用料は発生します。通知を出したあとも、データの持ち出しや次のシステムへの移行作業に使える期間が残っているということです。この期間を使い切らずに放置すると、満了日にデータへ触れなくなります。

このページの作り方と出典

記載した条項は、2026年11月5日に各社の利用規約(PDFを含む)で確認したものだけです。日付の計算例は規約の文言から機械的に算出したもので、各社が示した日付ではありません。規約は改定されます。カオナビの共通規約は2026/10/20版、あしたのチームのクラウドサービス利用規約は2026年10月1日改定でした。実際の手続きの前には、自社が契約しているバージョンの規約と申込書を必ず確認してください。

各サービスの契約条件はHRBrain、カオナビ、あしたのクラウドHR、One人事、コチームの各詳細に、見積りの取り方は見積りを比べる手順にまとめています。

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