「無料」には、恒久無料プラン、期間限定の無料体験、初年度割引、機能限定版が混在します。事業データを入れてから有料化条件や出力制限に気付くと、移行費用が無料分を上回ることがあります。
0円という表示だけで選ばず、無料期間、機能、仕訳・利用者上限、サポート、自動課金、データ出力、体験終了後の削除を確認します。体験では本番データのコピーを最小限使い、終了前に必ずエクスポートします。
この記事は、freee会計・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計 Next・勘定奉行クラウド・PCAクラウド 会計の公開料金ページに書かれている無料の条件だけを根拠にしています。キャンペーンや無料の範囲は各社が随時変えるため、申し込む前に対象プランの公式ページで同じ項目を確認してください。
無料会計ソフト・無料体験の選び方の5ステップ
最初に棚卸しする4領域
- 実務担当
- 承認者
- 管理者
- 外部参加者・専門家
- 通常処理
- 繁忙時の最大量
- 例外と差し戻し
- 保存と出力
- 基本料金
- 追加ID・従量
- 年契約の拘束
- 解約と移行
- 認証と権限
- ログ
- 障害時代替
- 退職者停止
評価表
| 評価軸 | 確認方法 | 合格条件 | 不合格時 |
|---|---|---|---|
| 必須機能 | 実機で通常・例外操作 | 担当者が再現 | 候補から除外 |
| 上限 | 繁忙時の最大値 | 余裕を持って収まる | 上位プランを見積 |
| 権限 | 役割別アカウント | 最小権限で運用 | 統制方法を再設計 |
| 総額 | 12か月見積 | 予算内 | 範囲縮小・他社比較 |
| 終了 | 出力・解約テスト | 必要データを保持 | 代替手順を作成 |
無料プランと無料体験の違い
無料プランは期間を定めず機能や件数を制限し、無料体験は有料機能を一定期間試す形式が一般的です。割引は無料ではありません。
期限なしでも機能・件数・保存に制限
期限後の自動課金とデータ扱いを確認
判断:無料期間ではなく、12か月総額と解約後のデータ取得で比べる。
公式ページで終了日、支払方法登録、自動移行、データ保持を確認し、予定表へ判断日を登録します。
無料で不足しやすい機能
決算書、消費税、固定資産、部門、権限、証憑保存、銀行連携、サポート、出力形式が制限される場合があります。
将来必要な機能を含め、有料移行した場合の12か月総額を先に比較します。
体験データの安全な扱い
実データを使う場合は個人情報と機密情報を最小化し、権限と削除方法を確認します。公開デモへ実データを入れません。
体験終了前に仕訳、マスタ、帳票を出力し、別環境で読めるか確認します。
有料化しない場合の終了
自動課金を停止し、連携トークンを解除し、不要な利用者を停止します。データ削除時期と復旧可否を確認します。
返金が明示されない場合は返金を前提にせず、契約画面の保存とサポート回答を残します。
5製品の「無料」は、それぞれ別のものを指している
会計ソフトの記事では「無料で使える」がひとまとめに語られがちですが、公開されている料金ページを並べると、無料という言葉が指しているものは製品ごとに違います。期間を区切って有料機能を試させるもの、初期費用が0円というだけのもの、年払いの割引や還元を「実質0円」と表現しているもの。この3つを同じ列に置くと、比較そのものが成立しません。
| 製品 | 公式ページに書かれている無料の中身 | 無料で終わらない部分 |
|---|---|---|
| freee会計(法人) | 初期費用はなし。無料お試しが可能と案内 | ひとり法人2,980円/月、スターター5,480円/月〜、スタンダード8,980円/月〜、アドバンス39,780円/月〜(いずれも年払い)に加えて従量課金がある |
| マネーフォワード クラウド会計 | 初期費用0円。ビジネスプラン相当の機能を1か月無料 | 1か月後はひとり法人2,480円/月、スモールビジネス4,480円/月、ビジネス6,480円/月(いずれも年払い・税抜)。ビジネスプランは4名以上が従量課金 |
| 弥生会計 Next | 0円の無料体験プラン。ベーシックプラスプラン相当の機能を最大2か月間、1事業者につき1回まで | 決算書の作成・出力は無料体験の対象外。電話サポートと仕訳相談も対象外。有償はエントリー34,800円/年〜(税別) |
| 勘定奉行クラウド | 30日間無料で試せると案内。Eシステムは初期費用0円 | Eシステム月額7,750円〜(年額93,000円〜)。Jシステムは初期費用50,000円。契約は法人単位の年間契約 |
| PCAクラウド 会計 | 無料体験の窓口を用意 | 会計のみの利用でも月額16,200円(税抜)。内訳はソフト利用ライセンス4,200円+サーバー利用ライセンス12,000円 |
この表で一番効くのは右の列です。無料の入口だけを比べると5製品はどれも「無料で始められる」に見えますが、無料が終わったあとの下限は月額2,480円から16,200円まで6倍以上開きます。しかも勘定奉行クラウドは法人単位の年間契約、PCAクラウドはサーバー利用ライセンスが固定で乗る構造なので、月額の数字だけを並べても実際の負担は比べられません。

無料体験で使えない機能は、たいてい出口側にある
無料体験の制限は、入力の途中ではなく最後の工程に置かれていることが多く、途中まで試すと気付けません。弥生会計 Nextの注記が分かりやすい例で、無料体験プランはベーシックプラスプラン相当の機能を使えるとしながら、決算書の作成・出力だけを利用不可としています。帳簿入力も証憑の保存も試せるのに、決算書だけが出せない構造です。
サポートも同じ形で切られます。同じ注記では、無料体験中はチャットとメールによるサポートは使えるが、電話サポートと仕訳相談は使えないと分けています。仕訳の判断に迷ったときに聞ける窓口があるかどうかは、実際の導入では機能の有無と同じくらい効きます。無料の期間中に「聞けなかったから分からなかった」項目は、製品の欠点ではなく体験の範囲外として記録してください。
もう一つ、有料へ切り替えるときの従量課金に注意が要ります。弥生は、有償プランへ変更する際に変更前の利用状況によって従量課金の制限数を超える場合、契約変更月から従量課金が発生すると書いています。無料期間中にまとめて過去分を入力すると、その件数が有料初月の請求へ響く可能性があるということです。体験中に本番データをどこまで入れるかは、この点も含めて決めます。
「実質0円」と無料は別の話として扱う
マネーフォワード クラウド会計の料金ページには、法人限定キャンペーンとして最大85,536円分をAmazonギフトカードで還元するという案内があり、ビジネスプランは「税込年額85,536円 − 85,536円分 = 実質0円」と説明されています。同じページの注記に、実質0円とは当社が対象サービスの基本料金に相当する金額分のAmazonギフトカードを進呈することをいう、と定義が書かれています。
つまり、支払う金額が0円になるのではなく、支払ったうえで同額のギフトカードを受け取る仕組みです。会計処理も資金繰りも、無料とは違います。年払いの一括支払は先に出ていきますし、還元がギフトカードである以上、翌年の更新料に充てられるとは限りません。キャンペーンの適用条件も、年払いをカード決済で新規契約することとエントリーが必要で、対象期間が区切られています。
| 表示 | 実際に起きること | 12か月見積へ入れ方 |
|---|---|---|
| 無料プラン | 期間の定めなく使えるが、機能・件数・利用者数のどれかに上限がある | 上限に達したときの上位プラン料金を、到達見込みの月から入れる |
| 無料体験 | 有料機能を一定期間だけ試せる。終了後は通常料金 | 体験期間を除いた月数で通常料金を積む。体験月を平均に混ぜない |
| 年払い割引 | 月払いより単価が下がるが、支払は先に一括で出る | 割引後の年額と、途中解約時の扱いを併記する |
| 実質0円・還元 | 基本料金は支払い、相当額をギフトカード等で受け取る | 支払額はそのまま計上し、還元は別行にする。翌年は還元なしで見積もる |
上限は金額ではなく件数と人数で来る
無料の範囲を使い切るきっかけは、たいてい料金ではなく件数です。マネーフォワード クラウド会計のひとり法人プランは、利用人数1名まで、1会計年度の仕訳数500件までと公開されています。月40件強の仕訳で年間の上限に届く計算になるため、取引が少ない法人でも決算期の後半で頭打ちになることがあります。

勘定奉行クラウドは単位が違い、仕訳伝票明細件数で区切っています。Eシステムは30,000明細まで、Jシステムは100,000明細まで。どちらも請求書発行件数は60枚/1年、利用者は1ユーザーと専門家1ユーザーです。仕訳の「件数」と伝票の「明細件数」は数え方が違うので、この2製品を同じ表の同じ列に並べるときは単位をそろえないと比較になりません。なお同社は、仕訳伝票明細件数は別途の拡張パックで追加できるとも案内しています。
PCAクラウドはさらに別の考え方で、利用者ごとではなく最大同時接続人数でライセンス数を決められると説明しています。3人が使う場合でも同時に接続するのが2人までなら2ライセンスで足りる、という設計です。人数課金の製品と同時接続課金の製品を「利用者数」という一つの列で比べると、必要なライセンス数を読み違えます。
役割分担
無料の範囲で決算書の作成・出力まで通せるかを最初に試します。弥生会計 Nextの無料体験プランのように、帳簿は入力できても決算書の作成・出力だけが対象外になる例があるため、入力の使い勝手ではなく出口から確認します。
無料期間の終了日と、その後に自動で課金が始まるかを製品ごとに調べます。弥生は無料体験終了後に自動的な請求は発生しないと明記していますが、これはすべての製品に共通する仕様ではありません。
無料で使える件数の上限を数えます。マネーフォワードのひとり法人プランは1会計年度の仕訳数500件まで、勘定奉行クラウドのEシステムは仕訳伝票明細件数30,000明細までというように、上限の単位が製品ごとに違います。
無料期間が終わったあとの12か月総額で承認します。年払いの割引額やギフトカード還元は、初年度だけの条件なのか毎年続く条件なのかを分けて見積書に書かせてください。
導入後の追跡
無料期間の間に記録するのは、入力した仕訳の件数、使えなかった機能とその理由、出力できた帳票と出力できなかった帳票、サポートに聞いた質問と回答日です。無料体験は期間が短く、決算や年次更新をまたげないことがほとんどなので、体験中に確認できなかった項目は「良かった」ではなく「未検証」として残します。有料化の判断日は、無料期間の終了日ではなく、その1週間前に置いておくと、出力とデータの持ち出しに時間を取れます。
よくある質問
無料だけで法人決算できますか
今回確認した範囲では、無料で決算まで完結できると読める製品はありませんでした。弥生会計 Nextの無料体験プランは決算書の作成・出力が利用不可と明記され、マネーフォワード クラウド会計の無料期間はビジネスプラン相当の機能を1か月試せるという案内です。無料の範囲は「入力して様子を見る」ためのもので、決算・申告まで無料で回す前提では計画を立てないでください。
カード登録は必要ですか
製品ごとに違うので、申込画面で支払方法の入力欄が出るかどうかを見てください。弥生会計 Nextは無料体験終了後に自動的な請求は発生しないと公式に書いていますが、支払方法を登録させたうえで期間終了と同時に課金へ切り替わる形式のサービスもあります。登録が必要な場合は、課金開始日と停止の操作場所を体験の初日に確認しておきます。
体験データは消えますか
これも製品ごとに違います。弥生会計 Nextは、無料体験で作成したデータは有償プランの契約後も引き継がれると案内しています。一方、体験終了後の保持期間を公開していない製品もあります。引き継がれるかどうかを公式ページで確認できない場合は、期間終了前に仕訳・マスタ・帳票を出力し、別の端末で開けるところまで確かめてください。
調査方法と更新方針
公式製品ページ、料金、ヘルプ、規約を優先し、確認できない条件は推測しません。口コミ・評価を掲載する場合は利用環境と確認方法を明示し、匿名投稿だけで順位を変えません。
無料の範囲、件数と人数の上限、有料化後の料金、解約条件は月次で見直し、見直した日付を社内の比較表へ残します。
無料体験で確定させる項目と、継続無料の違い
freeeの公式料金一覧は、法人向け有料プランと無料で試せる案内を分けています。無料で開始できる表示だけを根拠に、法人決算まで無期限に無料で利用できるとは判断しません。申し込む画面で対象プラン、試用の終了条件、支払方法登録、データ保持を確認してください。
編集部の試用記録には、登録日、判断期限、必要帳票、取込・出力結果を残します。最初から大量の実データを投入せず、個人情報を除いた少量のサンプルで、仕訳入力から試算表までを一周させます。有料契約へ進まない場合に何を持ち出す必要があるかを先に決め、出力ファイルを別の端末でも読めるか確認します。無料体験の終了操作が分からなければ、推測して放置せず契約窓口へ確認します。
上記段落の一次情報:freee製品の公式料金一覧

