boardは、ヴェルク株式会社が提供するクラウドの見積・請求・販売管理サービスです。請求書だけを作るツールではなく、見積から受注、発注、請求、売上見込までを1本の流れで扱う設計になっています。料金は4プランに分かれ、月額はアカウント全体の金額です。ここでは公式サイトと公式ヘルプに記載された内容だけを使い、料金の構造、人数の数え方、他製品と比べた強みと弱みを整理します。いずれも2026年9月5日時点の公表内容で、金額は特記のない限り税抜です。
先に要点
- 月額はPersonal 1,200円/Basic 2,400円/Standard 4,900円/Premium 7,900円。すべて初期費用0円、無料お試し30日間。
- 月額はユーザー1名分ではなくアカウント全体の金額。発行件数では料金が増えません。
- 利用可能人数には、ログインしない「担当者として選択できる人」も含まれます。ここがプラン選定で最も間違えやすい箇所です。
- Personalは対象が「個人(法人不可)」と明記されているため、法人はBasic以上が出発点になります。
- 郵送代行は1通195円(税込・切手代込)。有料アドオンは月額500〜800円で複数用意されています。
boardはどんなサービスか
公式サイトでは「在庫を持たないビジネスに最適な見積書・請求書作成、販売管理クラウド」と説明されています。作成できる書類は、見積書、発注書、発注請書、納品書、検収書、請求書、領収書、見積依頼書、支払通知書です。書類の作成に加えて、営業管理、支払管理、売上見込の把握、キャッシュフロー予測、案件単位の損益管理、未請求・未払いアラートといった機能が挙げられています。
この構成が意味するのは、請求書が「入力して作るもの」ではなく「案件の締めとして自然に出てくるもの」になるということです。見積を登録した時点で案件が立ち、受注・発注・納品を経て請求に至ります。請求書作成ソフトを単体で導入した場合、案件情報は別の場所にあるため、請求のたびに転記が発生します。boardはその転記をなくす方向の設計です。
対象として挙げられているのは、フリーランス・個人事業主、小規模企業(数人〜数十人)、中規模企業(100人以上)です。公式サイトには「有料導入6,000社突破」「有料継続率99.5%」という記載があります。これらは提供会社が自社サイトで公表している数値であり、BIZEEが独自に検証したものではありません。
料金プランと初期費用

| 項目 | Personal | Basic | Standard | Premium |
|---|---|---|---|---|
| 月額(税抜) | 1,200円 | 2,400円 | 4,900円 | 7,900円 |
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 利用可能人数 | 1名のみ | 3名まで | 15名まで | 50名まで |
| 対象 | 個人(法人不可) | 法人(個人も可) | 法人(個人も可) | 法人(個人も可) |
| メール送信元 | 固定 | 変更可 | 変更可 | 変更可 |
| 外部ファイル保管 | × | 1GB | 5GB | 10GB |
| 捺印申請 | × | ○ | ○ | ○ |
| 通知機能 | 一部のみ | ○ | ○ | ○ |
| データロック | × | ○ | ○ | ○ |
| 登録データ量 | 制限なし | |||
| サポート | Web | |||
| 無料お試し | 30日間 | |||
51名以上で使う場合は、1ユーザーあたり月額300円(税抜)で追加できると案内されています。Premiumの50名を超えても、プランを乗り換えるのではなく人数を足していく形です。

「利用可能人数」の数え方に注意する

公式ヘルプでは、カウント対象を2つに分けて説明しています。ひとつは「boardを利用する人」。これは実際にboardを利用する人数であり、同時アクセス数ではありません。3名が別々の時間帯に1人ずつ利用するとしても、ユーザーアカウントは3名分必要になります。同一のユーザーアカウントを複数人で共有して使うことは禁止されていると明記されています。
もうひとつが「案件・発注の担当者として選択できる人」です。boardにログインしない方でも、案件・発注の担当者として設定し、書類上に担当者として表示する場合は、ユーザー登録が必要になり人数のカウントに入ります。
プランごとに変わる機能
金額差の中身を見ると、人数以外に3つの軸があります。
第一に、メール送信元の変更可否です。Personalは固定で、Basic以上は変更できます。請求書を自社ドメインのアドレスから送りたい場合、Personalでは要件を満たせません。取引先の受信側で迷惑メール判定を避けたい、あるいは返信を経理の共有アドレスで受けたい、という運用ではここが効きます。
第二に、外部ファイル保管の容量です。Personalは利用できず、Basicで1GB、Standardで5GB、Premiumで10GBです。ただし「登録データ量」は全プランで制限なしと記載されています。つまり、boardに登録する案件や書類そのものの量ではなく、添付ファイルの保管容量に上限があるという構造です。契約書のPDFや仕様書を案件に紐づけて保管する運用をするなら、この容量を確認してください。
第三に、捺印申請・通知機能・データロックです。Personalは捺印申請とデータロックが利用できず、通知機能も一部のみです。データロックは、確定した書類を後から変更できないようにする機能で、内部統制の観点で必要になることがあります。この3つが必要な時点で、Basic以上が前提になります。
郵送・メール送付とその費用
公式ヘルプの料金ページでは、利用料金を「プラン別料金」「有料アドオン費用」「郵送代行費用」の3つに分けて説明しています。必ず発生するのがプラン別料金で、残りの2つは利用状況に応じて発生します。
| 費用の種類 | 発生条件 | 金額 |
|---|---|---|
| プラン別料金 | 必ず発生 | 1,200円〜7,900円/月(税抜) |
| 有料アドオン費用 | アドオンを使う場合 | 月額500〜800円(税抜) |
| 郵送代行費用 | 郵送代行を使う場合 | 1通195円(税込・切手代込) |
| ユーザー追加 | 51名以上で使う場合 | 1ユーザーあたり月額300円(税抜) |
郵送代行の195円は切手代を含んだ税込金額として案内されています。月30通を郵送するなら5,850円、月100通なら19,500円が基本料金とは別にかかる計算です。Basicプラン(月2,400円)を使っていても、郵送が100通あれば実額はその何倍にもなります。月額の比較だけで判断すると、この部分がまるごと抜け落ちます。
公式ヘルプの目次には「書類発行(メール・郵送・Peppol)」という項目があり、メール送付と郵送以外の送付経路も扱われていることがわかります。
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応
公式サイトでは、インボイス制度に対応した適格請求書・適格返還請求書を作成できると記載されています。電子帳簿保存法については、自社発行書類の同法に基づく保管が可能であること、外部ストレージ連携機能によりGoogleドライブ・Box・Dropbox・SharePointへ自動保存できることが挙げられています。
ここで押さえておきたいのは、保存先を外部ストレージに置ける設計になっている点です。サービスを解約したあとも、自社で管理しているストレージ側にファイルが残る運用が組めます。請求書は取引の証跡として後から参照する必要があるため、システムの外に控えを持てるかどうかは実務上の安心材料になります。
他製品と比較した強み
- 発行件数で料金が動かない。Misocaのように通数でプランが上がる製品と違い、月10通でも月1,000通でも月額は同じです。少人数で大量に出す会社ほど1通あたりが下がります。
- 郵送単価が明示されている。1通195円(税込・切手代込)と公表されており、紙の送付コストを事前に計算できます。マネーフォワード クラウド請求書の公式料金ページには郵送単価の記載がありません。
- 請求の前工程まで1つで扱える。見積・受注・発注・案件損益まで含むため、案件管理を別システムで持たずに済みます。請求書作成に特化した製品ではこの範囲は扱えません。
- 登録データ量が制限なし。全プランで案件・書類の登録量に上限がないと記載されています。
- 無料で使い続ける選択がない。Misocaは月10通まで無料、freee請求書にも無料プランがあります。boardは30日間の無料お試しのあと、必ず有料になります。
- 人数が増えると段が上がる。3名→15名→50名でプランが変わるため、担当者が多い組織ではコストが伸びます。freee請求書のスタンダード以上はユーザー数無制限です。
- Personalは法人が使えない。対象が「個人(法人不可)」と明記されており、法人の最低ラインは月2,400円のBasicです。
- 入金消込の自動化は範囲外の可能性。公式ヘルプの機能一覧に入金消込の自動化を示す項目は見当たりません。freee請求書のアドバンスや楽楽明細の債権管理オプションが担う領域とは設計が異なります。
整理すると、boardの位置づけは「請求書を作るツール」ではなく「案件から請求までをつなぐツール」です。同じ比較表に並んでいても、Misocaやfreee請求書とは担う範囲が違います。請求書の枚数だけで比べると、boardの価格の意味が読み取れません。
同じ価格帯の製品と12か月で比べる
月額だけを並べても実額は見えません。ここでは「経理2名が月80通を発行し、うち30通を郵送する」という条件で、boardのBasicと他社の近い価格帯を12か月の総額で比べます。数値は各社の公式料金ページに記載された単価を機械的に掛け合わせたもので、実際の請求額は契約内容やキャンペーンで変わります。
| 製品・プラン | 基本料金(年) | 郵送(30通×12か月) | 12か月の合計 | 人数の上限 |
|---|---|---|---|---|
| board Basic | 28,800円(税抜) | 70,200円(税込・切手代込) | 約99,000円 | 3名まで |
| Misoca プラン100 | 33,500円(税抜) | 75,600円(税抜) | 約109,100円 | 同時利用5名まで |
| マネーフォワード クラウド請求書 スモールビジネス(年払い) | 53,760円(税抜) | 公式料金ページに郵送単価の記載なし | 53,760円+郵送費 | 3名まで |
この条件では、郵送の比率が高いほど基本料金の差が薄まります。逆に、電子送付に全面的に切り替えられる会社なら、郵送分がまるごと消えるため基本料金の差がそのまま効いてきます。自社の取引先のうち何割が電子送付を受け入れるかを先に調べておくと、比較の精度が上がります。
なお、この試算にboardの有料アドオン(月額500〜800円)は含めていません。使うアドオンの数だけ上乗せになるため、必要な機能がアドオン扱いかどうかは無料お試しのうちに確認してください。
案件管理まで含む設計が効く場面
boardの価格を評価するときに見落とされやすいのが、請求書の外側にある業務です。請求書作成ソフトを単体で入れた場合、案件の情報は表計算ソフトや別のツールに残り、請求のたびに金額と品目を転記します。この転記は1件あたり数分でも、月80件なら数時間になり、しかも転記ミスは請求の誤りとして表に出ます。
boardは見積を起点に案件が立ち、受注・発注・納品・請求が同じ案件に紐づきます。請求書は転記して作るものではなく、案件の状態を締めた結果として出てきます。さらに案件単位の損益管理があるため、「この案件はいくら残ったのか」を請求と同じ画面で確認できます。未請求・未払いのアラートも、案件と請求がつながっているからこそ成立する機能です。
逆に言えば、すでに基幹システムや販売管理システムで案件を管理している会社にとって、この設計は重複になります。その場合は請求書の発行に特化した製品のほうが素直で、boardの価格が持つ意味も薄れます。導入検討では「案件情報が今どこにあるか」を先に確認してください。
セキュリティと権限まわりの確認点
公式ヘルプの目次には、案件管理、発注管理、書類発行、ダッシュボード、分析機能、通知、設定、セキュリティー、外部サービス連携・会計連携、APIといった項目が並んでいます。請求書は金額を扱う書類であるため、誰がどこまで見えるかは運用開始前に決めておく必要があります。
プラン別の表で確認できる範囲では、データロックがPersonalで利用できず、Basic以上で使えます。確定した書類を後から書き換えられない状態にできるかどうかは、社内統制の観点で差が出る部分です。通知機能もPersonalは一部のみで、承認や期限のアラートを運用に組み込むならBasic以上が前提になります。
また、同一のユーザーアカウントを複数人で共有して使うことは禁止と明記されています。「アカウント代を節約するために経理で1つを共有する」という運用は取れません。誰が操作したかを追える状態を保つことが前提の設計です。
向いている会社・向いていない会社
- 見積から請求までを1つの案件として管理したい
- 受託開発や制作など、案件単位で損益を見たい
- 請求件数はそこまで多くないが、関わる人数が10名前後いる
- 郵送のコストを事前に固定して見積もりたい
- 確定した書類を後から変更できないようにしたい(データロック)
- 月数通しか請求書を出さず、費用をゼロに抑えたい
- 営業50名以上が各自で書類を起票する(人数課金が効く)
- 請求書の発行だけが目的で、案件管理は別システムで完結している
- 入金消込の自動化を最優先で求めている
- 会計ソフトと同一ベンダーでそろえたい(freeeやマネーフォワードの製品が候補)
プラン変更と解約の扱い
公式ヘルプでは、プランはいつでも変更可能と案内されています。途中で変更する場合は即時に新しいプランの内容が適用されますが、変更後の料金は次回の決済時から適用され、日割りはありません。
この仕様は上げるときと下げるときで意味が変わります。人数が足りずに上のプランへ移るときは、料金が次回決済からなので当月の追加負担は発生しません。逆に、使わなくなって下げるときは、当月分は元の金額のまま請求されます。年度の切り替えや組織変更でプランを見直すなら、決済日を確認したうえでタイミングを決めてください。
導入前に試しておくこと
30日間の無料お試しで確認しておきたい項目を挙げます。カタログでは判断できず、実際に触らないと分からない部分です。
| 確認すること | 手順 | 合格の目安 |
|---|---|---|
| 人数のカウント | 実際に書類へ担当者名を載せる人を全員登録してみる | 想定したプランの上限内に収まる |
| 帳票レイアウト | 取引先1社分の請求書を作り、PDFで出力する | 先方の指定項目がすべて載る |
| メール送信元 | Basic以上で送信元アドレスを自社ドメインに変更する | 受信側で正しく表示され、返信先が意図どおり |
| 案件からの請求 | 見積を登録し、受注・請求まで進めてみる | 転記なしで請求書まで到達する |
| 外部ストレージ連携 | GoogleドライブなどへPDFが自動保存されるか確認する | 解約後も自社側に控えが残る形になる |
| データの書き出し | 請求データを一括で出力できるか試す | 会計ソフトへ取り込める形式で出せる |
会計ソフトとの接続をどう考えるか
boardは特定の会計ソフトの一部ではなく、独立したサービスです。公式ヘルプの目次には「外部サービス連携・会計連携」とAPIの項目があり、会計側とつなぐ手段が用意されていることがわかります。ただし、どの会計ソフトとどこまで自動でつながるかは製品の組み合わせによるため、導入前に自社が使っている会計ソフトの名前で確認してください。
ここはfreee請求書やマネーフォワード クラウド請求書との性格の違いが出るところです。後者は同じベンダーの会計ソフトと同一基盤で動くため、請求から仕訳までの接続が製品仕様として組み込まれています。boardは独立している分、会計ソフトの選択を縛られない代わりに、接続は自分で設計することになります。すでに使っている会計ソフトを変えたくない会社にとっては、この独立性が利点になります。
実務上の落としどころとしては、月次の締めのタイミングで請求データを書き出し、会計ソフトへ取り込む運用が現実的です。この運用が回るかどうかは、書き出せる項目と形式で決まります。無料お試しの30日間のうちに、実際のデータで一度やってみることを勧めます。
導入後に効いてくる運用ルール
システムを入れただけでは、請求業務は速くなりません。boardのように案件と請求がつながる設計では、案件をいつ立てるかというルールが結果を左右します。
典型的なつまずきは、受注が決まってから案件を登録する運用です。これだと見積の段階の情報が入らず、結局は転記が発生します。見積を出す時点で案件を立てておけば、受注時は状態を変えるだけで済み、請求書は案件の情報から自動的に組み上がります。導入時に決めるべきなのは機能の使い方ではなく、この「いつ登録するか」の一点です。
もうひとつは、担当者の登録範囲です。前述のとおり、書類に名前が載る人はユーザー登録が必要です。あとから営業メンバーを足していくと、あるタイミングでプランの上限に当たり、月額が上がります。導入時に「今後1年で書類に名前が載りうる人」を洗い出しておけば、プランの選び直しを避けられます。
最後に、郵送と電子送付の振り分けです。郵送は1通195円(税込・切手代込)が発生するため、電子送付へ切り替えられる取引先は早めに切り替えたほうが費用が下がります。取引先ごとに送付方法を台帳で管理し、四半期ごとに切り替え状況を見直す運用にしておくと、コストが自然に下がっていきます。
よくある質問
boardの月額はユーザー1人あたりの金額ですか
違います。公式ヘルプに「プラン別月額料金は、ユーザー1名分の金額ではなくアカウント全体の金額です」と明記されています。
法人でPersonalプランは使えますか
使えません。Personalの対象は「個人(法人不可)」と記載されています。法人はBasic以上になります。
ログインしない人もユーザー数に入りますか
入ります。boardにログインしない方でも、案件・発注の担当者として設定して書類上に表示する場合は、ユーザー登録が必要でカウント対象になります。
50名を超えたらどうなりますか
51名以上は、1ユーザーあたり月額300円(税抜)で追加できると案内されています。
郵送はいくらかかりますか
郵送代行費用は1通195円(税込・切手代込)です。プラン別料金とは別に発生します。
途中でプランを変えられますか
変更可能です。ただし変更後の料金は次回の決済時から適用され、日割りはないと案内されています。
無料で試せますか
全プランで30日間の無料お試しが用意されています。
出典(2026年9月5日確認)
- board「boardのご利用料金について」(プラン別料金、利用可能人数、有料アドオン、郵送代行費用、プラン変更)
- board 公式サイト(サービス概要、作成できる書類、対象、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応、導入社数の記載)
料金・機能・条件は改定されます。申し込みの前に、必ず公式サイトで最新の内容を確認してください。導入社数と継続率は提供会社が公表している数値であり、BIZEEが検証したものではありません。

