RPAツールの見積もりを同じ条件でそろえる|先に決める数字は端末数・開発者数・同時実行の本数の3つ【2026年】

RPAツールの見積もりの条件をそろえるイメージ。台数・人数・同時実行の本数は別々に数えるという副題と、3行の見積書を表すクリップボード、3つの丸い印が並んでいる

RPAツールの相見積もりが読み比べられない状態になるのは、各社が違う単位で金額を出してくるからです。片方が「パソコン2台で月5万円」、もう片方が「同時稼働1台で年120万円」、さらに別の1社が「1ボット月22,488円」と答えてくると、安い順に並べること自体ができません。

対処は単純で、依頼する前にこちらが単位を決めて、同じ数字を全社に渡すことです。必要な数字は3つだけ。ツールを入れる端末の数、シナリオを作る人の数、同時に動かしたい本数です。この3つを添えれば、どの課金方式の製品からも比較できる形で金額が返ってきます。

この記事の要点

  1. 課金の単位は大きく3通りある。端末の数で決まる製品、使う人の数で決まる製品、同時に動くロボットの数で決まる製品
  2. 依頼する前に「端末数」「開発者数」「同時実行の本数」を決めておくと、どの方式の製品でも見積もりが返ってくる
  3. 初期費用の有無、最低契約期間、解約の刻みは金額と別に聞く。年額だけで比べると総額がずれる
  4. 税の表記が税込・税別・税抜で混ざるため、受け取った後に片方へそろえる
  5. 無料で試せる範囲は製品ごとに違う。期限なしで使い続けられるものと、1か月で終わるものがある

比べられなくなる原因は、数え方の違い

金額そのものより先に、何を1つと数えて課金するかが製品で分かれます。RPAツール比較7製品で確認した範囲では、公式サイトに書かれている課金の単位は次のように割れていました。

公式ページに書かれている課金の単位(2026年11月4日時点で確認できた内容)
課金の単位該当する製品・プラン公式ページの表記
端末(パソコン)の数アシロボ、マクロマンアシロボは1契約でパソコン2台、マクロマンのスタンダードは利用PC台数20台まで
使う人の数Power Automate Premium1ユーザー月額相当2,248円(年払い、税別)
同時に動くロボットの数BizRobo!、Power Automate ProcessBizRobo!は同時稼働ロボット数と開発シート数でプランが分かれる。Processは1ボット月額相当22,488円
ライセンス本数(端末固定)WinActor ノードロックライセンスインストールする端末数ぶんのライセンスが必要
ライセンス本数(端末非固定)WinActor フローティング/AI連携、ロボパットAIWinActorは同時利用する端末数ぶん。ロボパットAIは台数無制限のフローティング

この表の意味するところは、同じ「1つぶん」でも中身が違うということです。端末の数で数える製品に「5人で使いたい」と伝えても金額は決まりませんし、ボット単位の製品に「パソコン10台」と伝えても必要な本数は決まりません。こちらが伝えるべき数字を変えないと、各社は自分の都合のよい最小構成で返してきます。

先に決める3つの数字

① 端末の数

何台に入れるか

ツールをインストールするパソコンの台数です。人が使う端末と、ロボット専用に用意する端末を分けて数えます。端末課金の製品はここで金額が決まります。

② 作る人の数

何人がシナリオを書くか

シナリオを作成・編集する担当者の数です。実行するだけの人は含めません。開発シート数やフル機能版の本数がここに対応します。

③ 同時実行の本数

何本を並列で動かすか

同じ時間帯に並行して走らせたいシナリオの本数です。ボット数や同時稼働ロボット数がここに対応します。1本ずつ順番でよいなら1です。

見積もり依頼の前に決めておく3つの数字

③の数え方でつまずく会社が多いところです。「夜間に10本動かしたい」というとき、10本を順番に流して朝までに終わるなら同時実行は1本です。1本あたりの所要時間を足し上げて、動かせる時間帯に収まるかを先に試算してください。収まるなら、並列を増やすための費用は要りません。

この試算を省くと、ボット課金の製品で過剰に契約することになります。Power Automate の Process は1ボットあたり年269,856円(税別)なので、必要のない2本ぶんを契約すると年539,712円の差が出ます。逆に、順番待ちができない締め切りがあるなら、並列に対応していない製品は選択肢から外れます。

無料で試せる範囲は製品ごとに違う

アシロボの価格ページの無料体験版の公式キャプチャ画面。製品版と同様の機能が1カ月間無料で使えること、シナリオ本数と行数がともに無制限で契約後の引き継ぎも可能なこと、1アカウント2ライセンスを発行すること、自動的に製品版へ移行しないこと、原則1社1回であることが並んでいる
出典:ディヴォートソリューション「アシロボ 無料体験版と価格」(2026年11月4日に表示を確認)

試用の条件も、金額と同じくらい比較に効きます。公式ページで確認できた範囲では、期限なしで基本機能を使い続けられるのはマクロマンのフリープランだけでした。アシロボは1か月の体験版で、作ったシナリオを製品版へ引き継げると明記されています。BizRobo! は1か月のトライアルで、申し込みから利用開始まで5ステップ。Power Automate は30日間の試用版ですが、標準コネクタのみでクレジットカードの登録が必要です。

試用で確かめるべきなのは、操作感よりも自社の業務が本当に自動化できるかです。そのためには、試用期間のうちに実業務を1本作り切る必要があります。シナリオを引き継げる製品なら、その1本がそのまま本番の資産になります。引き継げない場合は、試用で作ったものは捨てる前提で期間を使うことになります。

初期費用と契約期間を金額と分けて聞く

年額や月額だけを見比べると、初期費用と最低契約期間が抜けます。公式ページで確認できた条件は製品ごとにばらばらでした。

初期費用と契約の刻み(2026年11月4日時点で各社公式ページから確認できた内容)
製品初期費用最低契約期間解約の扱い
アシロボ20万円(税別)。1法人1回限り初回6ヶ月日割り計算なし。契約終了日は解約申込月の翌月末日
マクロマンスタンダード10万円/プレミアム20万円(税抜)。初回契約時のみ公式ページで確認できなかったフリープランへ戻す条件は価格ページで確認できなかった
BizRobo!「別途かかる」とのみ記載。金額なし年額契約公式の料金欄では確認できなかった
WinActor販売代理店による年間ライセンス販売代理店との契約条件による
Power Automate記載なし年払いの価格表示契約条件は別ページへ誘導
ロボパットAI公開されていない契約は1か月単位月ごとの切り替えが可能と記載

初期費用が「かかる」とだけ書かれていて金額が無い製品があります。見積もりを依頼するときは、年額・初期費用・最低契約期間の3つを分けて書いてもらうよう頼んでください。1つの数字にまとめられると、2年目以降の金額が読めません。初年度と次年度以降を分けた表を出してもらうのが確実です。

同じ3つの数字で、各製品がいくらになるか

数字を固定すると、公開価格だけでもある程度の見当がつきます。ここでは「端末2台、シナリオを作る人1人、同時実行1本」という最小構成で、公式ページに金額が載っている製品だけを並べます。金額が公開されていない部分は空欄にしています。

端末2台・開発者1人・同時実行1本で1年使った場合(公開価格のみ、2026年11月4日時点)
製品・プラン初年度2年目以降この構成で足りるか
マクロマン フリー0円0円足りる。ただし計画実行は使えない
Power Automate Premium ×126,976円(税別)26,976円(税別)アテンド型のみ。無人実行は不可
マクロマン スタンダード700,000円(税抜)600,000円(税抜)足りる。20台まで同じ金額
アシロボ800,000円(税別)600,000円(税別)足りる。1契約に2台が含まれる
BizRobo! mini900,000円+初期費用(税別)900,000円(税別)足りる。同時実行1台
WinActor NL フル機能版 ×11,098,680円(税込)1,098,680円(税込)2台目には実行版を足す必要がある

WinActorは2台目に実行版(年300,080円、税込)を足す構成が想定されます。税の表記は製品ごとに異なります。

この並びで分かるのは、端末課金の製品は2台目が無料だが、ライセンス本数で数える製品は2台目に費用がかかるという差です。アシロボは1契約にパソコン2台が含まれ、マクロマンのスタンダードは20台まで同じ金額です。一方でWinActorのノードロックライセンスは、インストールする端末数ぶんのライセンスが必要だと明記されています。

逆に、端末が1台で済むなら端末課金の利点は消えます。Power Automate Premium の年26,976円(税別)は、1人の担当者が自分の業務を自動化する範囲なら最も安い選択肢です。台数が増えるほど端末課金が有利になり、台数が少ないほどユーザー課金が有利になるという関係を、自社の数字に当てはめて確かめてください。

税の表記をそろえてから並べる

見落としやすいのが税の扱いです。今回調べた範囲では、WinActorが税込表示、BizRobo!とアシロボとPower Automateが税別表示、マクロマンが税抜表示でした。表記が3通りに分かれているため、受け取った金額をそのまま縦に並べると、税込のものだけが割高に見えます。

並べる前に、どちらかへ統一してください。税別の金額に1.1を掛けて税込にそろえるか、税込の金額を1.1で割って税別にそろえるかのどちらかです。年額が100万円規模になると、この差は10万円前後になります。稟議の金額が税込ベースなら、最初から税込でそろえたほうが後の手間が減ります。

依頼するときに渡す内容

  1. 3つの数字を書く端末数、シナリオを作る人の数、同時に動かしたい本数。それぞれ「現在」と「1年後の見込み」を併記します。
  2. 動かす時間帯を書く人が使っている時間帯だけか、夜間や休日にも動かすか。無人実行が要るかどうかで必要なライセンスが変わります。
  3. 対象の業務と使うシステムを挙げるExcel、社内の基幹システム、Webサイトなど。仮想デスクトップやシンクライアントを使っているなら必ず書きます。
  4. 金額の内訳を指定する初年度の総額、2年目以降の年額、初期費用、管理製品や追加オプションの費用を分けて出してもらいます。
  5. 税の表記を指定する「税込で」または「税別で」と書いておくと、受け取った後にそろえる手間が減ります。
  6. 契約条件を聞く最低契約期間、解約の申し込み期限、日割りの有無、途中で台数や本数を増やせるか。
相見積もりの依頼に入れておく項目

仮想デスクトップの利用を書いておくのは重要です。マクロマンは仮想デスクトップ環境を動作対象外と公式に明記しており、アシロボはシンクライアントやリモートデスクトップについて利用環境に依存するため保証していないと書いています。ここを伝えずに見積もりだけ取ると、導入直前で動かないことが分かる事態になりかねません。

管理製品や追加費用が別に乗る構成

本体のライセンス料だけで済まない構成があります。代表的なのがWinActorのフローティングライセンスで、公式ページには「ライセンス管理製品(FLA・WMC・WDなど)が必須」と明記されています。FLAの場合はWinActor FLとセットで申し込み、同一契約期間で注文する必要があるとされており、管理製品を載せるサーバーも自社で用意することになります。

サーバーの要件も公開されています。FLA Ver.2 の対応OSは Windows Server 2016・2019・2022・2025、推奨CPUはx64の3.0GHz以上、メモリ2.0GB以上、ハードディスクの空き容量3.0GB以上です。ライセンス料の見積もりを取る段階で、サーバー費用と構築の工数も別に見積もる必要があります。

Power Automate の Hosted Process のように、仮想マシンの費用がライセンスに含まれる形もあります。1ボットあたり月32,233円(税別)で、仮想マシンなしの Process との差は月9,745円です。自社でロボット専用の端末を用意する費用と、この差額を比べる形になります。

そのほか、業務の洗い出しやシナリオ作成を外部に任せる場合の費用も別枠です。アシロボはオフィシャルパートナーによる導入コンサルティングとシナリオ入力代行があると案内しており、マクロマンはスタンダード以上に最大10時間のベーススクリプト作成または2時間の初回オンラインレクチャーが含まれると比較表に書かれています。どこまで自社で作り、どこから外に頼むのかを決めてから見積もりを取ってください。

受け取ったあとに確認すること

  • 単位がそろっているかこちらが渡した3つの数字に対して、何本・何ライセンス・何ユーザーで組まれているかを確認します。
  • 管理製品の費用が入っているかWinActorのフローティングライセンスのように、管理製品が必須の構成があります。本体だけの金額で届いていないかを見ます。
  • 2年目以降の金額が分かるか初期費用込みの初年度だけが書かれていることがあります。
  • 無人実行が含まれているかアテンド型だけのライセンスで見積もられていないかを確認します。
  • 比較サイトの金額と違っていても驚かない公式ページに金額が無い製品では、比較サイトの数字と見積もりが一致しないことがあります。根拠にするのは見積書のほうです。
  • 「標準価格」が実売とは限らないメーカー希望小売価格を公開している製品でも、実際の購入は販売代理店経由で金額が変わることがあります。
見積もりを受け取ったあとの確認項目

試用から契約までの進め方

マクロマンの料金ページのご利用開始までの流れの公式キャプチャ画面。ステップ1がダウンロード、ステップ2が試す、ステップ3が利用台数・プランを相談、ステップ4がご契約・ライセンス発行と並び、無料プランのまま使い続けても自動で有料プランへ移行することはないという注記と、PC交換・廃棄・担当者変更などで利用端末が変更になる場合はライセンスの返却・変更を連絡するという注記が付いている
出典:コクー株式会社「マクロマンの料金・プラン比較」ご利用開始までの流れ(2026年11月4日に表示を確認)

無料で始められる製品がある場合は、見積もりを取るより先に動かしてみるほうが早いことがあります。マクロマンの流れでは、ダウンロードして試し、複数台で使うことになった段階で利用台数とプランを相談し、契約してライセンスを発行する、という順番が示されています。先に業務が自動化できるかを確かめてから台数の話に入る形です。

端末の入れ替えについての注記も添えられています。パソコンの交換・廃棄や担当者の変更で利用端末が変わる場合は、ライセンスの返却・変更を連絡する必要があるとされています。契約後の運用で発生する手続きなので、見積もりの段階で窓口を確認しておくと後が楽になります。

よくある質問

同時実行の本数は、どう数えればよいですか。

同じ時間帯に並行して走らせたいシナリオの本数です。10本を順番に流して時間内に終わるなら1本で足ります。1本あたりの所要時間を足し上げて、動かせる時間帯に収まるかを先に試算してください。

金額を公開していない製品は、見積もりを取る価値がありませんか。

金額の公開と製品の良し悪しは別です。ロボパットAIのように、金額は非公開でも契約が1か月単位であることや台数無制限のフローティングであることを公開している製品があります。条件が自社の使い方に合うなら、見積もりを取る価値はあります。

比較サイトに出ている金額を根拠にしてよいですか。

一次情報として扱わないほうが安全です。公式ページに金額が載っていない製品について、比較サイトの数字が実際と合っているかは確認できません。判断に使うなら、提供会社のページか見積書を根拠にしてください。

無料プランのある製品を選べば費用はかかりませんか。

使える機能の範囲によります。マクロマンのフリープランは基本機能を無料で使い続けられますが、スケジュールに合わせて自動実行する計画実行は上位機能にあたり、有償プランになります。無人実行が目的なら無料の範囲では完結しません。

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出典

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