バーチャルオフィスは特商法表記に使えるか|施行規則が求めるのは氏名・住所・電話番号、月550円から使えるプランもある【2026年】

バーチャルオフィスと特商法表記・郵便 2026年版。施行規則23条・550円から使えるを副題に挙げ、右側に封筒とビルのモチーフ、右上に比較表のイラストを配したアイキャッチ

ネットショップを始めるとき、特定商取引法に基づく表記に自宅の住所を載せたくないという理由でバーチャルオフィスを探す人は多いはずです。法令が求めているのは「販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号」で、住所に実体を求める文言はありません。ただし、どの住所をその欄に書けるかは契約したプランによって変わります。2026年10月17日に、e-Gov法令検索の特定商取引に関する法律と同施行規則、消費者庁の特定商取引法ガイド、5社の公式ページで確かめました。

結論(2026年10月17日時点で確認)

  • 特定商取引法第11条:通信販売の広告に表示すべき事項を5号まで列挙し、第6号で「主務省令で定める事項」を加えている
  • 同法施行規則第23条第1号:その主務省令で定める事項の筆頭が「販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号」
  • 第23条第2号:法人がインターネットで広告するときは、代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名も要る
  • 最安プランでも特商法表記だけは使える会社がある。DMMバーチャルオフィスのミニマムプラン660円は、NG例に名刺とホームページを挙げる一方で特商法表記はOK例
  • レゾナンスにはネットショップ専用の550円プランがある。ただし事業内容がネットショップ(物販)以外の人は申し込めない
  • 電話番号も表示事項。住所だけ借りても、番号をどうするかが残る

法令が求めているのは「氏名・住所・電話番号」

出発点は特定商取引法第11条です。通信販売をする場合の販売条件について広告するときは、販売価格、支払の時期および方法、引渡時期、申込みの期間に関する定めがあるときはその内容、申込みの撤回または解除に関する事項、そして第6号の「主務省令で定める事項」を表示しなければならない、と定めています。

その主務省令にあたるのが特定商取引に関する法律施行規則で、第23条が「法第十一条第六号の主務省令で定める事項」を列挙しています。第1号が「販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号」です。いわゆる特商法表記で事業者名・住所・電話番号を書くのは、この条文が根拠です。

e-Gov法令検索の公式サイトの画面。特定商取引に関する法律施行規則の第23条(通信販売についての広告)に、第1号として販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号、第2号として法人が電子情報処理組織を使用する方法により広告をする場合の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名が列挙されている
e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律施行規則」(2026年10月17日取得)。第23条第1号が氏名または名称・住所・電話番号を表示事項として定めている

消費者庁の特定商取引法ガイドも同じ内容を案内しています。通信販売の広告に表示すべき事項として「事業者の氏名(名称)、住所、電話番号」を挙げ、法人が電子情報処理組織を利用する方法で広告する場合は「当該事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名」も必要としています。外国法人または外国に住所を有する個人で国内に事務所等を有する場合には、その所在場所と電話番号も表示事項に加わります。

消費者庁の特定商取引法ガイドの公式サイトの画面。通信販売のページに、特定商取引法の規制対象となる通信販売の定義と、販売業者又は役務提供事業者が郵便等によって売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う取引という説明が表示されている
消費者庁「特定商取引法ガイド 通信販売」(2026年10月17日取得)。広告の表示事項は条文と同じ内容が案内されている

条文は住所の「実体」に触れていない

第23条第1号は住所の表示を求めるだけで、その住所に事務所の実体があることを条件づける文言を置いていません。第3号で外国法人等について「国内にその行う事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるもの」を有する場合の規定を置いていることからも、国内の事業者一般に事務所の実在を要求する構造にはなっていないと読めます。

実際、5社のうち4社は特商法表記への利用を明示的に認めています。DMMバーチャルオフィスはミニマムプランのOK例に「特商法表記」を挙げ、レゾナンスはネットショップ住所貸しプランの機能として特商法表記を掲げています。Karigoは「販売元として提供住所を使用してもいいですか?」に「可能でございます」と答えています(ただし製造元としての利用は不可)。

法令は住所の実体を要求していない。施行規則第23条第1号が求めるのは、氏名または名称・住所・電話番号の表示

制限は各社の規約の側にある。同じ「住所利用」でも、特商法表記はOKでホームページ掲載はNGというプランがある

条文で可否を判断せず、契約するプランのOK例・NG例を読む

最安プランで特商法表記だけ使えることがある

ここが実務上いちばん効くところです。バーチャルオフィスの最安プランは、住所の使い道を限定する代わりに価格を下げています。その限定の仕方が会社ごとに違うため、「特商法表記にだけ使いたい」という需要には最安プランが当たることがあります。

表1 特商法表記と住所利用の扱い(2026年10月16日〜17日に各社の公式ページで確認)
サービス・プラン月額(税込)特商法表記ホームページ・名刺への掲載
DMMバーチャルオフィス
ミニマムプラン
660円
(年間契約のみ)
OK例に「特商法表記」NG例に「ホームページ(特商法表記以外の箇所)」「名刺」
DMMバーチャルオフィス
ベーシックプラン
2,530円〜
(1年払い)
可HPや名刺などへの掲載が可
レゾナンス
ネットショップ住所貸しプラン
550円機能として掲げている事業内容がネットショップ(物販)以外は申し込み不可
レゾナンス
バーチャルオフィスコース
990円〜
(1年払い・月1転送)
可可
Karigo
ホワイトプラン
4,700円〜
(店舗により異なる)
販売元としての利用は可事前に管理者の承諾が必要。住所部分の画像化を求められる

ネットショップの返品対応と特商法表記だけが目的なら、月550円から660円の選択肢があるということです。ただし両方とも年間契約や事業内容の制限が付きます。DMMバーチャルオフィスのミニマムプランは年間契約のみで7,920円の一括前払い、レゾナンスのネットショップ住所貸しプランは物販以外の事業者が申し込めません。

ホームページへの掲載は別の条件になる

特商法表記はOKでも、サイトの会社概要ページや名刺への掲載は別扱いというケースがあります。DMMバーチャルオフィスのミニマムプランは、OK例に「特商法表記」を置きつつ、NG例に「ホームページ(特商法表記以外の箇所)」と「名刺」を挙げています。同じサイトの中でも、特商法表記のページには書けて会社概要ページには書けない、という線引きです。

Karigoはさらに踏み込んでいます。利用規約第8条に、ウェブサイトへ住所や電話番号を載せるには管理者指定の書式でURLなどを届け出て承諾を得る、という手続きが置かれています。よくある質問では、検索でヒットしないよう住所の掲載部分を画像ファイル(gif、jpg、pngなど)で表示するよう求め、Googleビジネスプロフィールやマップへの掲載は利用できないとしています。

同じ「住所を載せる」でも扱いが分かれる場面

特商法表記のページ 5社とも、対応するプランで認めている。法令上の表示義務に応じるための掲載だから
会社概要・トップページ DMMバーチャルオフィスのミニマムプランはNG例。ベーシックプランは可
名刺 DMMバーチャルオフィスのミニマムプランはNG例。Karigoの個人名利用も紙媒体への掲載は不可
荷物の送り状 DMMバーチャルオフィスはミニマムプランでも可と表示している
Googleマップ・ビジネスプロフィール Karigoは利用不可。掲載する場合は丁目・番地までにとどめるよう案内している
製造元としての表記 Karigoは不可。販売元としての利用は可

表示を省略できる場合と、省略できないもの

特定商取引法第11条には、ただし書があります。「当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、販売業者又は役務提供事業者は、主務省令で定めるところにより、これらの事項の一部を表示しないことができる」。請求があれば遅滞なく書面や電磁的記録で知らせる旨を広告に書けば、一部の事項を省略できるという仕組みです。

ただし省略できる範囲は主務省令が決めます。施行規則第25条は、法第11条ただし書の規定により第11条第1号および第23条第4号に定める購入者等の負担すべき金銭を表示しない場合の扱いを定めるなど、省略の条件を個別に規定しています。省略できるのは条文が認めた範囲に限られ、事業者の裁量で決められるものではありません。

加えて、第11条とは別に第12条が誇大広告等を禁じています。商品の性能や契約の申込みの撤回・解除に関する事項などについて「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」をしてはならない、という規定です。バーチャルオフィスの住所を使うこと自体は問題になりませんが、そこに事務所や店舗が実在するかのように書けば、別の論点が生まれます。実店舗があるかのような写真や文言を添えないことは、最低限の線引きになります。

電話番号をどうするかが残る

施行規則第23条第1号は住所と並べて電話番号も表示事項にしています。住所だけバーチャルオフィスで用意しても、番号の問題は残ります。携帯番号を載せることもできますが、固定電話番号を載せたい場合はオプションの契約が必要です。

表2 電話番号の用意のしかた(税込)
サービス固定電話番号料金
レゾナンス03・06・045・050の転送電話オプション2,200円/月。住所とセットの転送電話2点セットコースは3,190円/月(1年払い・月1転送)
ナレッジソサエティ03番号の電話転送受信のみ3,300円/月、受発信5,500円/月
Karigo店舗により03または050ブループランに転送電話が含まれる。店舗詳細ページに提供番号局番が記載されている
DMMバーチャルオフィス固定電話セットプランは2026年3月26日から新規受付を停止新しい固定電話番号サービスは準備中と告知されている
GMOオフィスサポート料金ページの基本プラン比較表に電話番号の項目はない—

Karigoは店舗によって提供される番号が変わります。2026年10月16日に確認した範囲では、東京 銀座一丁目は03と050の両方、中野と札幌は050のみでした。03番号を特商法表記に載せたいなら、店舗詳細ページで提供番号局番を確認してから店舗を選ぶことになります。

返品対応と荷物の受け取りを設計する

ネットショップで特商法表記に住所を載せると、その住所に返品が届きます。ここで効いてくるのが、各社の荷物の受け取り条件です。

返品が届いたときに関わる条件

受取の可否DMMバーチャルオフィスのミニマムプランは「返品/返送品」を受け取れる。レゾナンスのネットショップ住所貸しプランも返品対応を想定している
個数の上限Karigoは法人・屋号契約で月間最大10個、個人名契約で月間最大5個。3辺合計120cm以上は受け取れない
サイズの上限レゾナンスは140cmを超える荷物やクール便・生物が不在票対応。ナレッジソサエティは80cm×38cm×28cmを超えるものも2024年5月から窓口受取が可能になった
着払いDMMバーチャルオフィスは1か月5,000円が上限。レゾナンスは着払い費用+受取費用300円。3万円を超える代金引換は不可
保管期間レゾナンスは到着日から1か月で、延長は1通1,100円。ナレッジソサエティの保管規定外の荷物は7営業日
転送か来店かDMMバーチャルオフィスのミニマムプランは来店受取が対象外。レゾナンスの月1転送プランも来店受取不可

返品が月に何件発生するかで、選ぶべきプランは変わります。件数が少なく、サイズも小さいなら最安プランで足ります。返品が積み上がるなら、個数制限とサイズ制限に引っかからないかを先に確認しておく必要があります。

プランを決める順番

特商法表記が目的のときの選び方

1. 載せる場所を数える

特商法表記だけか、会社概要やトップページにも載せるか。後者なら最安プランは外れる

2. 事業の種類を確認する

レゾナンスのネットショップ住所貸しプランは物販以外の事業者が申し込めない

3. 電話番号の要否を決める

固定電話番号が要るならオプション料金を足す。DMMバーチャルオフィスは新規受付を停止している

4. 返品の件数と大きさを見積もる

個数制限・サイズ制限・着払いの上限に収まるかを確かめる

5. 法人登記の有無で分ける

登記も必要なら最安プランでは足りないことがある。GMOオフィスサポートの660円プランは登記不可

6. 年額で比べる

最安プランは年間契約の一括前払いが条件のことが多い。月額ではなく年額と入会金で比べる

特商法表記だけなら月550円から、登記まで含めるなら別の選択になります。用途ごとに使えるプランが違うので、5社の一覧で条件を確かめてください。

バーチャルオフィス比較5選を見る

登記の条件はバーチャルオフィスで法人登記はできるか、法人口座の準備はバーチャルオフィスで法人口座は開けるかにまとめています。各社の料金と契約条件は、DMMバーチャルオフィス、レゾナンス、Karigo、GMOオフィスサポート、ナレッジソサエティの各記事で確認できます。

よくある質問

特商法表記にバーチャルオフィスの住所を書いてよいですか。特定商取引法施行規則第23条第1号が求めているのは「販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号」の表示で、住所の実体を条件づける文言はありません。ただし、どの住所を書けるかは契約したプランの規約によります。

いちばん安く特商法表記に使えるのはどれですか。2026年10月17日時点では、レゾナンスのネットショップ住所貸しプランが月550円、DMMバーチャルオフィスのミニマムプランが月660円(年間契約のみ、7,920円の一括前払い)です。前者は事業内容がネットショップ(物販)以外の人は申し込めません。

同じ住所をホームページの会社概要にも書けますか。プランによります。DMMバーチャルオフィスのミニマムプランはNG例に「ホームページ(特商法表記以外の箇所)」を挙げています。会社概要にも書くならベーシックプラン以上が対象です。

電話番号も用意しないといけませんか。施行規則第23条第1号は電話番号も表示事項に挙げています。携帯番号でも表示はできますが、固定電話番号を載せたい場合はオプションの契約が必要です。レゾナンスは転送電話2,200円/月、ナレッジソサエティは電話転送(受信のみ)3,300円/月です。

代表者の氏名も書く必要がありますか。法人がインターネットで広告する場合は必要です。施行規則第23条第2号が「当該販売業者又は役務提供事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名」を表示事項としています。

返品はその住所で受け取れますか。プランによって個数とサイズの上限があります。Karigoは法人・屋号契約で月間最大10個、3辺合計120cm以上は不可。レゾナンスは140cmを超える荷物が不在票対応です。着払いにもDMMバーチャルオフィスの1か月5,000円といった上限があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です