Garoon(ガルーン)は、サイボウズ株式会社が中堅・大規模組織向けに提供するグループウェアです。クラウド版の価格は1,000ユーザーまで一律で1ユーザーあたり月額900円(税抜)。コース分けがなく、契約すれば全機能を使えます。最低利用人数は10人です。
同じサイボウズのサイボウズ Officeが月600円であることから、Garoonは「高いほう」として紹介されがちです。しかし両者は価格帯ではなく、想定する組織の規模と管理の細かさで分かれています。この記事では、公式の価格ページ、機能ページ、運用サポートページ、製品間の比較ページ、ライセンス案内を2026年9月16日に確認し、900円に何が含まれるのか、どこまでの規模を想定しているのかを整理しました。
- 提供会社
- サイボウズ株式会社(東京証券取引所プライム市場・コード4776)
- 受付状況
- クラウド版は新規受付中。パッケージ版は2027年10月より順次ライセンスの販売終了、2033年1月末でサポート終了と告知済み
- 月額料金
- 900円/1ユーザー(〜1,000ユーザー・税抜)。1,001ユーザー以上は問い合わせ
- 年額料金
- 10,800円/1ユーザー(税抜)
- 初期費用
- 0円
- 契約単位
- 10人から。1ユーザー単位で契約できる
- 契約期間
- 1か月から
- ディスク容量
- 5GB×ユーザー数
- 対応言語
- 日本語・英語・簡体字・繁体字の4言語+タイムゾーン
- 無料お試し
- 30日間
価格は1,000ユーザーまで一律
Garoonの価格表は2行しかありません。1,000ユーザーまでが月額900円、1,001ユーザー以上は問い合わせです。ボリュームディスカウントの段階が公開されていないかわりに、10人でも1,000人でも単価が変わらないという分かりやすさがあります。
| ご契約人数 | 月額(1ユーザー) | 年額(1ユーザー) |
|---|---|---|
| 〜1,000ユーザー | 900円(税抜) | 10,800円(税抜) |
| 1,001ユーザー〜 | 問い合わせ | |
年額10,800円は、月額900円の12か月分と同額です。つまり年額にしても割引はありません。サイボウズの他製品と同じく、年額を選ぶ利点は支払い回数がまとまることだけで、そのかわり後述する解約とユーザー数削減の自由度を失います。
特別価格のライセンスは2種類が案内されています。官公庁・公共団体・学校法人向けの「アカデミック/ガバメントライセンス」と、特定非営利活動法人や特定の条件を満たした任意団体向けの「チーム応援ライセンス」です。適用条件と金額は当記事では確認していないため、該当する組織はサイボウズの案内ページで直接ご確認ください。
価格に含まれるもの、別料金になるもの
900円に何が含まれるのかは、有料オプションの裏返しで見ると輪郭がはっきりします。公式ページに単価が掲載されているオプションは次の3つです。
| オプション | 月額 | 年額 | 内容と契約の条件 |
|---|---|---|---|
| セキュアアクセス | 250円/1ユーザー | 3,000円/1ユーザー | クライアント証明書をインストールした端末だけにアクセスを制限する。Garoonとユーザー数をそろえる必要はなく、外出する人の分だけ契約できる |
| ディスク増設 | 1,000円/10GB | 12,000円/10GB | 標準の5GB×ユーザー数で足りない場合に10GB単位で追加 |
| 連携コネクタ | 0円/3,000ステップまで | ― | Garoonのスケジュール情報とkintone、Microsoft 365の主要サービスをノーコードで連携。3,001ステップ以上は有料 |
セキュアアクセスの「ユーザー数をそろえなくてよい」という条件は、実務では効きます。全社100人のうち社外から接続するのが20人なら、20人分の5,000円で済みます。全社分を一律で買わせる設計ではありません。
ディスク増設は10GBで月1,000円です。標準が5GB×ユーザー数なので、50人なら250GBが最初から付きます。250GBを使い切ってから10GB単位で足す場面は限られており、実質的には容量で追加請求が出にくい構成です。
標準で使える機能の範囲
Garoonの機能は公式の「ユーザー機能」ページに一覧で掲載されています。コース分けがないため、この一覧に載っているものは900円の契約ですべて使えます。

分類ごとに整理すると、予定管理がスケジュール・施設予約・マルチレポート、社内イントラと全社連絡がポータル・掲示板・ファイル管理・リンク集、申請がワークフロー、コミュニケーションがメッセージ・スペース・メール、グローバルが多言語とタイムゾーン、モバイルがモバイルアプリです。その他の機能として全文検索、アドレス帳、タイムカード、在席管理、ToDoリスト、メモ、お気に入り、デスクトップリマインダー、電話メモが並びます。
この一覧で目を引くのは「全文検索」と「在席管理」です。サイボウズ Officeの機能一覧には全文検索の項目がなく、Garoon側の機能として独立して掲載されています。蓄積した情報量が増えるほど効いてくる機能なので、数百人規模を想定した製品であることが機能構成にも表れています。
メッセージ・掲示板・スペースの使い分け
Garoonにはコミュニケーション機能が3つあり、導入時にどれをどう使うかで迷いやすいところです。サイボウズは3つの違いを解説する専用ページを公開しており、そこでの説明を表に整理しました。
メッセージ
公式が「その辺で立ち話/秘密の相談」とたとえる機能。宛先に指定した人だけが閲覧できます。人事情報の内々の相談、産休・育休の相談、送別会の打ち合わせなど、個人情報やプライバシーに関わるやりとりが想定用途です。
掲示板
公式のたとえは「まさに紙の掲示板」。デフォルトでは全ユーザーが閲覧でき、カテゴリ別のアクセス権設定と予約投稿ができます。健康診断の日程、セキュリティアップデートの通達、社長からの発信が例示されています。
スペース
たとえは「会議室でディスカッション」。1つのグループの中に複数のスレッドを立てられ、共有ToDo機能でタスク管理もできます。部署内の連絡や、部署を横断するプロジェクトのやりとりが想定用途です。
3つの機能は画面構成がよく似ており、一番上に本文欄、その下にコメント欄が続く構成だと公式は説明しています。似ているからこそ、運用ルールを決めずに使い始めると同じ話題が3か所に散ります。導入時に「個人宛はメッセージ、全社通達は掲示板、プロジェクトはスペース」と決めておくのが、この製品を使ううえでの最初の設計になります。
サイボウズ Officeとの違い
同じ会社の2製品なので、どちらを選ぶかで迷う場面は多くあります。サイボウズは比較ページで「基本的な機能はほぼ同じですが、ご利用人数や使用可能な言語、連携性などに違いがあります」と説明しています。
価格差の300円は、この4項目分と読むのが実態に近くなります。海外拠点がなく、部署が少なく、ポータルが1つで足りるなら、差額を払う理由は薄くなります。逆に部門ごとに見せる情報を変えたい、アクセスログを監査に出したい、という要件が1つでもあるなら、600円の製品では要件を満たせません。
kintoneとの違いと、併用という選択
Garoonとkintoneは、同じサイボウズの製品でありながら性格が異なります。同社の比較ページは、両者を機能も特性も全く異なるサービスだと説明しています。
| 比較軸 | Garoon | kintone |
|---|---|---|
| 用途 | 全社での情報共有。スケジュール共有、全社通達、全社員共通の申請業務やファイル共有 | 特定業務のシステム化や効率化。案件管理、企業間のやりとり、日報、受発注管理、売上管理 |
| 特徴 | スケジュール、ポータル、掲示板など共通して使う機能があらかじめそろっており、すぐ運用開始できる | それぞれの組織に合わせた業務システムを追加・作成して運用開始する |
| 利用範囲 | 全社員がアカウントを持つ前提 | 一部の部署、一部の業務から小さく始められる。全社の基盤としても使える |
| 最低利用人数 | 10人 | 10人(ライト・スタンダード) |
| 価格 | 月額900円〜/1ユーザー | 月額1,800円〜/1ユーザー(スタンダードコース) |
興味深いのは、サイボウズが両者を競合として扱っていないことです。公式には「2024年 サイボウズユーザーアンケートより、クラウド版 Garoonをご利用のお客様の約51%がkintoneも導入」という数字が示されています。ユーザー管理は共通の管理画面で一元化でき、Garoonとkintoneのユーザー数をそろえる必要もありません。営業部門だけkintoneを使い、全社はGaroonという構成が取れます。
多言語とタイムゾーンの扱い
4言語対応は、画面の翻訳があるという以上の意味を持ちます。公式には「ユーザー自身が、個人設定で言語やタイムゾーンに合わせて変更することが可能です」と書かれています。管理者が一括で設定するのではなく、利用者ごとに切り替わる設計です。
グループウェアとして見たとき、この4言語は国内向け製品のなかでは広いほうです。ただし同じサイボウズのkintoneは日本語・英語・簡体字・繁体字・スペイン語・タイ語・ポルトガル語(ブラジル)の7言語に対応しており、言語の数そのものはkintoneが上回ります。Garoonを選ぶ理由は言語数ではなく、スケジュールや掲示板といったグループウェアの標準機能が最初からそろっていることのほうです。海外拠点がある組織では、スケジュールの時刻表示がタイムゾーンで自動的に変わるかどうかが実務の分かれ目になります。この点が標準機能に含まれているため、拠点をまたぐ会議設定で時差の計算を人手で行う必要がなくなります。ただし、対応する言語の範囲は日・英・簡・繁の4つで、それ以外の言語については公式ページに記載を確認できませんでした。
言語の切り替えが個人設定である点は、導入の手間にも影響します。管理者が全ユーザーの言語を把握して設定する必要がなく、入社した本人が自分の画面で切り替えれば済みます。拠点ごとに管理者を置かずに運用できるため、海外法人を持つ組織では管理コストの差として表れます。なお、掲示板やメッセージに書かれた本文そのものが翻訳されるわけではありません。翻訳されるのはメニューやボタンなどの画面表示で、社内で発信する文面は発信者が用意する前提です。この区別は公式ページの説明からは読み取りにくいため、多言語対応を要件にしている場合は無料お試しの段階で実際の画面を確認しておくことをおすすめします。
サポートの範囲と受付時間
運用サポートページによると、利用中のサポートは追加料金なしで使えます。窓口は3種類です。
| 窓口 | 受付時間 | 条件 |
|---|---|---|
| 電話サポート | 月〜金(年末年始・祝日を除く)10:00〜12:00/13:00〜17:30 | 日本語のみ対応。英語サポートはメールで受付 |
| メールサポート | 月〜金(年末年始・祝日を除く)10:00〜12:00/13:00〜17:30 | 英語サポートはこの窓口 |
| チャットサポート | 月〜金(年末年始・祝日を除く)10:00〜12:00/13:00〜17:30 | クラウド版利用者向け。日本語のみ対応 |
| cybozu.com 時間外障害窓口 | サポート時間外 | βサービス。クラウド版利用者向けで、事前の申し込みが必要 |
注意しておきたいのは、利用中向けのサポートメニューを使えるのがシステム管理者に限られる点です。公式の注記に「ご利用中の方向けのサポートメニューは、Garoonのシステム管理者の方がご利用いただけます」とあります。現場の一般ユーザーが直接サポートへ問い合わせる運用は想定されていないため、社内で一次窓口を用意する前提になります。
サイボウズのカスタマーセンターは、HDI-Japan(ヘルプデスク協会)主催のHDI格付けベンチマーク「モニタリング」で最高評価の3つ星を獲得したと公式に記載されています。
他製品と比べた強み
| 強み | 比較対象との差 |
|---|---|
| コース分けがない | サイボウズ Office、desknet’s NEO、kintoneはいずれも複数コース。Garoonは900円で全機能が使えるため、後から機能不足でアップグレードする事態が起きにくい |
| 4言語+タイムゾーン | サイボウズ Officeは日本語のみ。desknet’s NEOとJ-MOTTOは多言語対応の記載を公式ページで確認できなかった。なお同じサイボウズのkintoneは7言語に対応しており、言語数だけならkintoneのほうが多い |
| ポータルを複数作れる | サイボウズ Officeはトップページが1つ。部署ごとに違う入口を用意できるのはGaroon |
| アクセスログの取得 | J-MOTTOは操作ログ機能が非提供と明記。監査要件がある組織ではこの差が決定的になる |
| 管理権限の移譲 | システム管理者から各部門の担当者へ権限を渡せる。部署数が多い組織で管理者1人に負荷が集中しない |
| セキュアアクセスの部分契約 | 必要な人数分だけ契約できる。全社一律で買う必要がない |
他製品と比べた弱み
| 弱み | 具体的な内容 |
|---|---|
| 最低10人 | 5人・6人の組織は契約できない。サイボウズ Officeとdesknet’s NEOは5ユーザーから |
| 単価が高い | 月900円はサイボウズ Officeスタンダードの1.5倍、desknet’s NEOライトの1.5倍。100人なら月90,000円で、J-MOTTOの16,000円とは5倍以上の差 |
| 安いコースがない | 機能を絞って単価を下げる選択肢がない。使わない機能の分も払う構成になる |
| 年額に割引がない | 年額10,800円は月額900円×12か月と同額。年額を選ぶと途中解約とユーザー数削減ができなくなる分だけ不利 |
| 1,001ユーザー以上は非公開 | 大規模での単価が価格ページからは分からず、見積もりを取るまで比較できない |
| ビジネスチャットは含まない | desknet’s NEOのプレミアム・チャットプラスはChatLuckを含む。Garoonはメッセージとスペースで代替する設計 |
向く組織と、向かない組織
| 条件 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 社員100人以上、複数部署 | 向く | 10人〜数万人を想定範囲として公式が案内している |
| 海外拠点・外国籍の社員がいる | 向く | 4言語とタイムゾーンに標準対応 |
| アクセスログを監査に提出する | 向く | アクセスログの取得が公式に機能として案内されている |
| 部署ごとにポータルを分けたい | 向く | ポータルを複数作成でき、テンプレートも提供されている |
| 社員10人未満 | 向かない | 最低利用人数が10人で契約できない |
| 費用を最優先したい | 向かない | 5製品のなかで従量型としては上位の単価 |
| 業務アプリを自分で作りたい | 要検討 | Garoon単体では想定されていない。kintone併用が公式の案内 |
契約・変更・解約の条件
契約の条件は、サイボウズのクラウド製品に共通の規定に従います。数えるのはログインする人で、同時に接続している人数でも端末の台数でもありません。1つのアカウントを複数人で回して使うこともできません。
| 手続き | 月額契約 | 年額契約 |
|---|---|---|
| サービス期間 | 発注日の翌月1日から1か月間。発注月は無償 | 発注日の翌月1日から1年間。発注月は無償。複数年契約は不可 |
| 更新 | 解約申し込みがなければ自動更新 | 終了日で自動解約。継続には更新手続きが必要 |
| 人数を増やす | 任意のタイミングで可能。翌月分から反映 | 期間途中も可能。残月数×月額料金×追加人数が必要 |
| 人数を減らす | 新規発注月と追加月を除き可能。翌月1日から反映 | 不可。契約更新時のみ |
| 途中解約 | 申し込み手続きで可能 | 不可 |
| 支払い方法 | クレジットカード払い、またはマネーフォワード 掛け払い(請求書払い/口座振替)。パートナー経由の場合はパートナーへ確認 | |
パッケージ版は販売終了とサポート終了が決まっている
自社サーバーで運用するパッケージ版については、サイボウズが期限を公表しています。公式の比較ページに「パッケージ版 Garoonは、2027年10月より順次ライセンスの販売を終了し、2033年1月末をもってサポート終了いたします」と告知されています。
すでにパッケージ版を運用している組織にとっては、2033年1月末が移行の最終期限になります。逆算すると、検証と移行作業に1年、予算の確保に1年を見ても、2030年前後には計画を立てておく必要があります。クラウド版への移行については、パッケージ版のサービスライセンス有効期限をクラウド版へ引き継ぐことはできないと案内されており、両者は別契約です。
よくある質問
10人未満でも契約できますか
できません。公式の価格ページに「利用人数10人〜」と明記されています。9人以下の組織でGaroonを使いたい場合は、10人分として月9,000円を払う形になります。5ユーザーから契約できるサイボウズ Officeやdesknet’s NEOのほうが、人数が少ない段階では無駄が出ません。
kintoneと契約人数をそろえる必要はありますか
ありません。公式に「Garoonとkintoneのユーザー数を合わせる必要はなく、必要なユーザー数のみ契約できます」と記載されています。全社100人でGaroon、営業部20人でkintoneという契約が可能です。
ディスク容量が足りなくなったらどうしますか
ディスク増設オプションを月額1,000円/10GBで追加できます。標準が5GB×ユーザー数なので、50人契約なら250GBが最初から利用できます。
時間外の障害対応はありますか
「cybozu.com 時間外障害窓口」がβサービスとして案内されています。クラウド版利用者向けで、事前の申し込みが必要です。通常のサポート時間は平日の10:00〜12:00と13:00〜17:30です。
全文検索はどこまで対象になりますか
公式のユーザー機能一覧には「全文検索」が独立した機能として掲載されていますが、検索の対象範囲や、添付ファイルの中身まで検索できるかどうかについては、当記事では公式ページから確認できませんでした。蓄積した文書を検索することを主な目的にしている場合は、無料お試しの環境に実データを入れて挙動を確かめてください。
英語でサポートを受けられますか
メールのみ対応です。公式の注記に「電話サポートは日本語のみの対応となります。英語サポートはメールで承ります」「チャットサポートは日本語のみの対応となります」と記載されています。
まとめ
Garoon クラウド版は、1,000ユーザーまで一律900円・コース分けなし・全機能利用可という、見積もりの読み違いが起きにくい料金体系の製品です。4言語とタイムゾーン、複数ポータル、アクセスログ、管理権限の移譲といった機能は、組織が大きくなるほど効いてきます。
一方で、最低10人・単価が5製品のなかで上位・年額に割引なしという条件は変わりません。20人前後で全員が同じ情報を見れば足りる組織では、機能を使い切らないまま単価だけ払うことになります。パッケージ版を使っている場合は、2033年1月末というサポート終了期限から逆算した移行計画が必要です。
他の4製品を含めた料金の全体像はクラウド型グループウェア比較にまとめました。少人数向けの選択肢はサイボウズ Office クラウド版の料金と条件、プラン選択で単価を調整したい場合はdesknet’s NEO クラウド版の料金と条件、費用を最優先する場合はJ-MOTTOグループウェアの料金と条件、業務アプリ側はkintoneの料金と条件をご覧ください。
検討の段取りはグループウェアの選び方、契約後の設定手順はグループウェアの導入と初期設定、既存環境からの移行と解約はグループウェアの乗り換えと解約にまとめています。

