問い合わせ管理システム比較5選|料金の型・最低利用人数・チャネルを現行サービスの公開情報で並べ直す【2026年】

問い合わせ管理システム5サービスの比較、金額を公開しているのは3社、最低利用人数は2〜5人であることを示したアイキャッチ

問い合わせ管理システム(メール共有システム)は、同じ「共有の受信箱」を売っていても、料金の決め方がサービスごとに違います。1ユーザーいくらで積み上げる型、プランに人数を内包する型、ユーザー数と保存通数の両方で動く型。単価だけを並べると順位が入れ替わるため、比較は課金の型から始める必要があります。ここでは、現行の5サービスについて、各社の公式サイトに表示されている料金・契約条件・機能を同じ物差しで並べます。

この記事で分かること

金額をサイトで確認できるのは5社中3社。メールワイズ(600円・1,800円)、yaritori(1,980円〜)、Re:lation(15,000円〜)です。

最低利用人数はyaritoriが2人、メールワイズが5人。Re:lationは登録ユーザ数がプランに内包され、フリーとスターターは1名です。

LINE公式アカウントやECモールの問い合わせまで扱えるのはRe:lationと楽楽自動応対。Zendeskはメッセージング・チャット・電話をSuiteで持ちます。

無料トライアルは7日間(yaritori)から30日間(メールワイズ)まで4倍の開きがあります。

問い合わせ管理システムとは何をするものか

問い合わせ管理システムは、info@ や support@ のような代表アドレスに届くメールを、複数人で分担して処理するための道具です。個人のメールソフトで代表アドレスを共有すると、3つの問題が同時に起きます。誰が対応中なのか分からない、返したかどうか分からない、同じ相手に2人が返してしまう。この3つを画面の上で解決するのが共通の役割です。

各社の説明にも同じ構図が出ます。yaritoriは二重返信防止について「メールの返信中は、他の人が操作できないようにロックがかかります。『同じメールに二度返信してしまう』といった問題がなくなります。」と書き、Re:lationは「対応中のメールはロックがかかって編集不可に」としています。楽楽自動応対は「メールの応対ステータスに応じて『新着』→『返信中』→『対応完了』と自動でタブを移動」すると説明します。

言い換えると、この分野の製品が売っているのは機能というより「状態の管理」です。1通ごとに担当者と処理状況を持たせ、誰が何を持っているかを全員が見られるようにする。そこから先、AIで返信案を作るのか、LINEやECモールまで窓口を広げるのか、電話まで取り込むのかで、製品の性格が分かれます。

代表アドレスとメーリングリストは別のもの

導入の前に整理しておきたいのが、代表メールアドレスとメーリングリストの違いです。yaritoriのよくあるご質問には、この点が明確に書かれています。「代表メールアドレス:企業や組織が代表して連絡を受けるためのメールアドレス」「メーリングリスト:一度に複数人へ同じメールを送信できる仕組みのこと」。

そのうえで、判断の軸も示されています。「メールアドレスとメーリングリストの大きな違いとして、返信がどのアドレスから実行できるかが非常に重要な軸になります。そのため、代表アドレスにて受信したメールを代表アドレスから返信する必要があるかで判断ができます。」

代表アドレスから返信する必要がある場合、従来は「新規でメールアカウントを作成する」方法が一般的で、IDとパスワードを利用者間で共有することになります。yaritoriはこれについて「リスクとしてはID・パスワードの頻繁な更新を行わない場合には、セキュリティのリスクがあるという点になります。」と書いています。共有アカウントのパスワード運用をやめたい、という動機で導入されるケースが多いのは、この構造が理由です。

比較の対象と、掲載・除外の基準

この記事で扱うのは、問い合わせ用の共有メールアドレスを複数人で運用するためのサービスです。2026年10月1日時点で日本語のサービスサイトがあり、新規の申し込みを受け付けている5サービスを取り上げました。

図1 掲載基準と除外基準

掲載した条件

日本語の公式サイトがあり、新規申し込みを受け付けている

料金または契約条件の少なくとも一方を公式サイトで公開している

共有受信箱・担当者の割り当て・対応状況の管理を主要機能として掲げている

除外した条件

個人向けのメールソフト、グループウェアに付属するメール機能のみのもの

メール配信・メールマーケティングを主目的とするサービス

公式サイトで料金も契約条件も確認できないもの

順番の決め方

掲載順は公式サイトで確認できる情報量の多い順で、広告や報酬で並べ替えていません。

数値はすべて各社の公式ページに表示されていたもので、2026年10月1日に確認しました。

比較1 料金と契約条件

まず、金額と契約の刻みを並べます。単位が違うため、そのままでは足し引きできません。単位ごと読んでください。

表1 5サービスの料金と契約条件(各社公式サイトの表示。2026年10月1日確認)
サービス公表されている金額初期費用最低利用人数最低契約期間
メールワイズ(サイボウズ)月額600円/1ユーザー(年額7,200円)
プレミアム 月額1,800円/1ユーザー(年額21,600円)※税抜
0円5人1か月〜
yaritori1,980円〜/1ユーザー月額0円2人なし
Re:lation(インゲージ)月額費用15,000円〜(機能一覧ページ)記載を確認できずプランに内包(フリー・スターター1名/ビジネス5名/プロ10名)記載を確認できず
ZendeskSupport Team 19ドル/Suite Team 55ドル/Suite Professional 115ドル(1エージェント月額・年払い)記載を確認できず記載を確認できず月払い・年払い・複数年から選択
楽楽自動応対(旧メールディーラー)公開なし記載を確認できず記載を確認できず記載を確認できず

「記載を確認できず」は、そのような条件がないという意味ではありません。今回参照した公式ページにその記述が見当たらなかった、というだけです。問い合わせ時の確認項目として使ってください。

比較2 金額の公開状況と、料金の決まり方

比較表が埋まるかどうかは、各社が何を公開しているかで決まります。ここを先に押さえると、見積もりを取る順番が決まります。

表2 金額の公開状況と料金の決まり方(各社公式サイトの表示)
サービスサイトで総額を出せるか料金の決まり方として書かれていること
メールワイズ出せるユーザー単価。コースはメールアドレス数(10個まで/11個以上)で分かれる
yaritori下限だけ分かるユーザー単価。メールアドレス・基本機能の使用数で料金プランが異なる
Re:lation下限だけ分かる月額費用はユーザ数やストレージによって変わる
Zendesk基本料金は分かるが総額は出ないライセンス数が基本。これに従量課金型の機能とアドオンが加わる
楽楽自動応対出せない利用ユーザー数や保存通数に応じて変動

「1ユーザーいくら」で比べられるのは2社だけ

メールワイズとyaritoriはユーザー単価型です。Re:lationは登録ユーザ数をプランに内包し、Zendeskはライセンス数に従量課金とアドオンが乗り、楽楽自動応対は保存通数も効きます。

単価の数字だけを横に並べると、この構造の違いが消えます。人数が少ないうちはyaritori(2人から)、人数が増えるとメールワイズ(600円)、窓口や人が多いとプラン内包型のRe:lationが有利になりうる、という関係です。

メールワイズの費用ページで、初期費用0円・契約期間1ヶ月〜・利用人数5人〜が並んでいる画面キャプチャ
メールワイズ「費用」。ユーザー単価と契約の刻みがページ上で完結しており、総額をその場で計算できる数少ない例。

比較3 機能の有無

次に、問い合わせ管理で判断が分かれる機能を並べます。○は公式サイトで機能として掲げられていたもの、△は上位プランやオプションで使えるもの、-は今回参照したページで確認できなかったものです。

表3 主要機能の対応状況(各社公式サイトの表示)
機能メールワイズyaritoriRe:lationZendesk楽楽自動応対
担当者・処理状況の管理○○○○○
二重返信防止(編集ロック)-○○-○
テンプレート○○-○○
LINE公式アカウント-○△(ビジネス以上)-○
ECモールの問い合わせ--△(ビジネス以上)-○
チャット・メッセージング-○(社内チャット)△(Re:Chat/ビジネス以上)△(Suite以上)-
電話(テレフォニー)---△(Suite以上)-
AIによる返信案の生成-○(yaritori AI)○(AIエージェント)○(AIエージェント/従量課金)○(自動生成)
シングルサインオン--△(ビジネス以上)-○
IPアドレス制限○(標準搭載)○△(ビジネス以上)-○
多要素認証-○(SMS)△(ビジネス以上)-○(2段階認証)
送信前の承認・確認-○(下書きの共有)○(送信前確認・警告)-○(申請・承認)

この表で「-」が付いていても、その機能が存在しないとは限りません。各社のサイトで機能一覧として公開されている範囲での比較です。要件に必須の機能がある場合は、その1点を問い合わせで確かめてください。

Re:lationの料金プランのページで、フリー・スターター・ビジネス・プロの各プランとストレージ・登録ユーザ数が並んでいる画面キャプチャ
Re:lation「料金プラン」。機能ごとに対応プランが明示されており、どの機能がどの価格帯かを機能一覧側で確認できる。

比較4 無料トライアルと試せる範囲

試用期間の長さは、社内で評価を回せるかどうかに直結します。

表4 無料トライアルの条件(各社公式サイトの表示)
サービス期間試せる範囲として書かれていること
メールワイズ30日間「全ての機能を無料でお試しいただけます」
Zendesk14日間デフォルトはSuite Professionalの全機能。Copilotは含まれ、他のアドオンは問い合わせ。AI機能は評価目的のアクセス
Re:lation10日間導入前に実際の操作感を試せる。フリープラン(ストレージ100MB・登録ユーザ数1名)も用意
yaritori7日間本番環境で試せる。トライアル中に登録したデータや設定は原則本契約時に引き継げる
楽楽自動応対記載を確認できず(無料トライアルの導線あり)「実際に画面や機能を試したい方におすすめ」

7日間と30日間では、社内の関係者に触ってもらえる範囲が変わります。窓口の担当者だけでなく、情報システムや法務の確認が要る会社は、期間の長さを条件に入れてください。

AI機能は「付いているか」より「どう課金されるか」

5サービスのうち4つがAIによる返信案の生成を掲げています。ただし、課金の扱いがそろっていません。ここを読み違えると、見積もりの前提が崩れます。

表5 AI機能の位置づけと課金(各社公式サイトの表示)
サービスAI機能として書かれていること課金の扱い
ZendeskAIエージェントがすべてのSuiteおよびSupportプランに含まれる自動解決の件数にもとづく従量課金。エスカレーションされず解決した問い合わせにのみ課金
Re:lationアセットデータベース/AI社員/AIチャットボット/AIエージェント/FAQの5構成AIエージェントはビジネスプラン以上の記載。個別の課金の記載は確認できず
yaritoriyaritori AIが返信文の作成、テンプレートの選択、クレームメール検出、翻訳・丁寧語への変換を行う個別の課金の記載は確認できず
楽楽自動応対自動生成/カスタム生成/クレーム検知の3つ料金自体が非公開
メールワイズAI機能の記載を確認できず—

Zendeskの「自動解決」は測定の単位です。公式は「自動解決ごとの課金となるため、エスカレーションされることなく、AIエージェントだけで無事に解決した顧客からの問い合わせに対してのみ、料金が発生する仕組みとなっています。」と説明しています。人へ引き継がれた分は課金されないため、AIが効くほど費用も増える設計になります。

Re:lationはAIの前提としてナレッジの整備を求めています。「これまで個人の経験や勘に頼っていた対応のコツを、人の手で精査して『確かな情報』のみをアセットデータベースに登録・蓄積」する、という説明です。導入してすぐにAIが効くのではなく、登録作業が先に来ます。運用の工数を見積もりに入れておく必要があります。

5サービスの要点と、詳しく見るページ

ここから、各サービスの強みと弱みを短くまとめます。数値の根拠と条件の細部は、それぞれの詳細ページにまとめました。

メールワイズ(サイボウズ)

月額600円/1ユーザー(プレミアム1,800円)・5ユーザーから・契約1か月〜・初期費用0円

他社と比べた強み

  • 単価が5社で最も低く、総額をサイト上で計算できる
  • 契約期間が1か月からで、月額なら期中に人数を減らせる
  • IPアドレス制限とBasic認証が無料で標準搭載
  • 無料お試しが30日間と最も長い

他社と比べた弱み

  • 5ユーザーからの下限があり、2〜3人では割高になる
  • 年額にしても単価が下がらない(年額=月額×12)
  • LINEやECモールなど、メール以外のチャネルの記載を確認できなかった
  • 窓口を11個以上持つと3倍のプレミアムになる

メールワイズ クラウド版の料金と条件を詳しく見る

yaritori

1,980円〜/1ユーザー月額・2人から・最低契約期間なし・初期費用0円

他社と比べた強み

  • 最低利用人数が2人で、5社中もっとも低い
  • 最低契約期間がなく、短く試して抜けられる
  • 二重返信防止が編集ロックで実装されている
  • LINE公式アカウント・Slack・Chatwork・Salesforceとの連携が機能一覧にある

他社と比べた弱み

  • プランごとの金額表が非公開で、総額は資料請求が要る
  • 年払いの割引率も公開されていない
  • 解約しても発生済みの請求は返金されない
  • 無料トライアルが7日間と5社でもっとも短い

yaritoriの料金と契約条件を詳しく見る

Re:lation(インゲージ)

月額費用15,000円〜・フリー/スターター/ビジネス/プロ/エンタープライズの5段階

他社と比べた強み

  • 登録ユーザ数がプランに内包され、上限までは人が増えても月額が変わらない
  • LINE・Webチャット・SMS・楽天・Yahoo!ショッピングまで窓口が広い
  • 機能ごとの対応プランが公開されており、要件から逆算できる
  • 無料のフリープランがあり、操作感を先に確かめられる

他社と比べた弱み

  • プランごとの金額が非公開で、下限の15,000円しか分からない
  • フリーとスターターは登録ユーザ数1名。共有運用はビジネス以上
  • スマホアプリ・SMS送信・キャリアメールアドレスはオプション
  • 少人数で安く始めたい場合、下限15,000円が壁になる

Re:lationの料金とプランを詳しく見る

Zendesk

Support Team 19ドル/Suite Team 55ドル/Suite Professional 115ドル(1エージェント月額・年払い)

他社と比べた強み

  • メール・メッセージング・チャット・ヘルプセンター・音声を1つのSuiteで持てる
  • メール中心のSupportから段階的にSuiteへ上げられる
  • AIエージェントが全SuiteおよびSupportプランに含まれる
  • 起業間もない企業向けに6か月・最大50名のスタートアップ支援プログラムがある

他社と比べた弱み

  • 対応通貨に日本円がなく、円換算額が為替で動く
  • ライセンス数だけで総額が決まらない(従量課金とアドオン)
  • AIエージェントは自動解決の件数に応じた従量課金
  • エンタープライズはオンラインで購入できない

Zendeskの料金プランを詳しく見る

楽楽自動応対(旧メールディーラー・ラクス)

料金は非公開/利用ユーザー数と保存通数で変動・導入実績9,000社以上(2025年12月末時点)

他社と比べた強み

  • 導入実績とシェアの出典が具体的に明記されている
  • AI機能に「クレーム検知」があり、優先度の判断も支援する
  • LINE公式アカウント連携とECモール対応を機能として掲げている
  • 送信内容チェック(申請・承認)で、送信前の上長確認を運用に組める

他社と比べた弱み

  • 金額がサイト上でまったく確認できない
  • プラン構成が非公開で、機能とプランの対応も分からない
  • 保存通数が課金に効くため、人数だけでは見積もれない
  • 製品名が変わっており、旧名の情報と突き合わせる手間がある

メールディーラー(楽楽自動応対)の名称変更と料金の決まり方を詳しく見る

yaritoriの料金ページで、初期費用0円・最低契約期間なし・最低利用人数2人からが表示されている画面キャプチャ
yaritori「料金プラン」。金額は下限のみだが、初期費用・最低契約期間・最低利用人数という3つの契約条件は明示されている。

自社に合うものをどう選ぶか

順番を決めておくと、候補が自然に絞れます。

図2 5つの質問で候補を絞る

  1. 担当は何人か 2〜3人ならyaritori(2人から)。5人以上ならメールワイズの単価が効きます。10人前後でプラン内包型が有利になることがあります。
  2. 窓口はメールだけか LINEやECモールが入るならRe:lationか楽楽自動応対。チャットや電話まで持つならZendeskのSuiteです。
  3. セキュリティの要件はあるか シングルサインオンやIPアドレス制限が必須なら、Re:lationはビジネス以上が前提になります。メールワイズはIPアドレス制限が標準搭載です。
  4. 総額を先に固定したいか 固定したいならユーザー単価型。Zendeskは従量課金とアドオン、楽楽自動応対は保存通数があるため、見積もりが要ります。
  5. 社内評価に何日必要か 情報システムや法務の確認が入るなら、30日間のメールワイズか14日間のZendeskが回しやすくなります。

用途別の目安

表6 用途から見た候補(各社の公表条件にもとづく整理)
状況先に見る候補理由
担当2〜3人で始めたいyaritori最低利用人数2人・最低契約期間なし・初期費用0円
担当5〜20人でコストを抑えたいメールワイズ1ユーザー600円(税抜)で、総額をサイト上で計算できる
ネットショップの問い合わせをまとめたいRe:lation/楽楽自動応対楽天・Yahoo!ショッピング対応やECモール対応が機能として掲げられている
チャットや電話まで1製品で持ちたいZendeskSuiteにメッセージング・ライブチャット・テレフォニーが含まれる
送信前の上長承認を必須にしたい楽楽自動応対/Re:lation/yaritori申請・承認、送信前確認・警告、下書きの共有がそれぞれ公表されている
社内規程でSSOとIP制限が必須Re:lation(ビジネス以上)/楽楽自動応対両機能が機能一覧に掲げられている
Zendeskの料金プランのページで、4つのプランと料金が並んでいる画面キャプチャ
Zendesk「料金プラン」。日本語ページでも金額はドル建てで、対応通貨は米ドル・ユーロ・英ポンド・ブラジルレアルと案内されている。

既存のメール環境とどうつながるか

この分野の製品は、メールサーバーを置き換えるものではありません。いま使っているメール環境の上に、共有の画面をかぶせる形が基本です。ドメインを移す必要がないため、導入時に社内へ与える影響は小さくなります。

yaritoriは、既存のメールサーバー(メールサービス)と連携して送受信を行う仕組みだと説明しています。利用者はサービス側にログインして、同じ受信箱を分担する形です。設定方法は3通りで、GmailやOutlookならアカウント情報の入力だけで同期でき、受信はメールサーバーからの転送設定、送信は外部配信サービスを介したSMTP連携でも対応できるとされています。

メールワイズはクラウド版について「専門知識がなくてもインターネットにつながる環境があればすぐに利用開始可能です」とし、バージョンアップやサーバー管理は提供側が行うとしています。どちらも、自社でサーバーを用意する前提ではありません。

つながり方が分かると、乗り換えの難易度も見えます。メール本体は自社側に残るため、製品を替えても過去のメールが消えるわけではありません。移行で失われるのは、担当者や対応状況といった製品側の記録です。

導入時に決めることは3つに集約される

製品を選んだあと、設定でつまずく箇所はどの製品でもほぼ同じです。各社の機能名から逆算すると、決めるべきことは3つに整理できます。

図4 導入前に決めておく3つの設計

  1. 受信箱をいくつに分けるか Re:lationは「部門・部署や製品毎など、業務に合わせて受信箱を作成可能」、メールワイズはコースによってメールアドレスの登録可能数(10個まで/11個以上)が変わります。窓口の数はコース選択に直結するため、最初に数えます。
  2. 誰に何を見せるか yaritoriは「管理者」「メンバー」「閲覧者」の3区分で、チームごとに管理するメールアドレスとアクセスできるメンバーを設定できます。Re:lationはユーザ権限設定が全プラン、プロには閲覧ユーザー5名が含まれます。外部スタッフや時短勤務の人をどう扱うかを先に決めます。
  3. テンプレートを誰が作るか テンプレートはほぼ全製品にありますが、中身は自社で用意します。楽楽自動応対は「よく使う案内文をテンプレートとして登録しておけば、チーム全員がいつでも使用可能」としており、AIの返信案もこの蓄積が前提になります。

この3つは製品を決める前でも整理できます。むしろ先に整理しておくと、見積もりの条件がそろい、トライアルで確認すべき点もはっきりします。

出口の条件は、入るときにしか決められない

比較の段階では見落とされがちですが、やめるときに何が残るかは契約前に確認しておく項目です。この分野の製品は、メール本体を自社のメールサーバーに残したまま、その上に共有の画面をかぶせる構造のものが多く、消えるのは「運用の記録」のほうです。

yaritoriは解約時の扱いを明記しています。送受信メールは利用者側のメールサーバー(Gsuiteなど)に保存されている一方、サービス上にだけ存在するデータ、つまり製品側で付加したチャットや対応状況は引き継げないとしています。送信メールについては、使っているサーバーの仕様によっては残らない場合があるとしたうえで、一括ダウンロードして保存する方法が案内されています。

返金の扱いも会社によって違う

yaritoriは「解約の場合、既に発生している請求分の返金はいたしかねます。」としています。請求は前払いで、2か月目以降は毎月1日時点のユーザー数とプランで確定するため、月末に人を減らしてもその月の請求は戻りません。

メールワイズは月額サービスなら翌月1日からユーザー数の減少が反映されますが、年額サービスでは契約の更新タイミングでのみ減らせます。同じ「月額と年額」でも、動かせる範囲が違います。

料金表に載らない費用

月額以外にかかりうるものも、事前に洗い出しておくと総額の見通しが立ちます。各社の公表内容から拾えるのは次の3種類です。

表7 月額以外に発生しうる費用(各社公式サイトの表示)
種類該当する例
容量の追加メールワイズのディスク増設(月額1,000円/10GB、年額12,000円/10GB)。ストレージは5GB×ユーザー数のため、添付が重い窓口では追加が要ることがある
機能の追加メールワイズのセキュアアクセス(月額250円/1ユーザー、年額3,000円/1ユーザー)。Re:lationのスマホアプリ・SMS送信・キャリアメールアドレスはオプション扱い
従量課金Zendeskは規定の利用枠を超えた分(アプリビルダー、アクションビルダー、音声など)とAIエージェントの自動解決。楽楽自動応対は保存通数が月額に効く

ユーザー単価型でも、容量とオプションで月額は動きます。10ユーザーでメールワイズのスタンダードを使い、全員にセキュアアクセスを付けると、600円+250円で1ユーザーあたり850円。単価だけを比較表に載せると、この差が見えません。

見積もりを取る前に決めておく6項目

金額が非公開のサービスが混ざる以上、問い合わせは避けられません。先に次の6項目を決めておくと、1回のやり取りで見積もりが出ます。

図3 問い合わせの前に決めておくこと

人と窓口

返信する人数、閲覧だけの人数、窓口のメールアドレス数

量

月あたりの受信通数、保存しておきたい期間(楽楽自動応対は保存通数が課金に効きます)

チャネルと要件

LINE・チャット・電話・ECモールの有無、SSOやIP制限の要否、送信前承認の要否

比較するときに間違えやすいところ

1 「◯◯円〜」の単位をそろえる

メールワイズの600円とyaritoriの1,980円は1ユーザーあたり、Re:lationの15,000円はプランの月額、Zendeskの19ドルは1エージェントあたりです。単位が違う数字を横に並べると、順位が逆になります。

2 最低人数を忘れない

2人で使う場合、メールワイズは5ユーザー分(600円×5=3,000円)が必要で、yaritoriは1,980円×2=3,960円。単価では3倍以上の差があるのに、実際の支払額は近づきます。

3 税表示と通貨をそろえる

メールワイズとRe:lationは税抜表示、Zendeskはドル建てです。円で予算を組むなら、為替と消費税の前提を先に決めてから並べてください。

よくある質問

いちばん安いのはどれですか。

1ユーザーあたりの単価ではメールワイズの月額600円(税抜)が最も低い表示です。ただし5ユーザーからという下限があるため、2〜3人で使う場合は最低利用人数2人のyaritori(1,980円〜)のほうが支払額が近くなることがあります。人数を先に決めてから比べてください。

金額が公開されていないサービスはどう比べますか。

料金の決まり方は公開されています。Re:lationはユーザ数とストレージ、Zendeskはライセンス数に従量課金とアドオン、楽楽自動応対は利用ユーザー数と保存通数です。自社の人数・通数・要件を整理してから、同じ条件で見積もりを依頼してください。

LINEからの問い合わせも扱えますか。

Re:lationはLINE公式アカウント連携をビジネスプラン以上で、楽楽自動応対はシステム連携の機能として、yaritoriはマルチチャネルの機能として掲げています。

楽天やYahoo!ショッピングの問い合わせはどうですか。

Re:lationが楽天あんしんメルアド・R-Messe・Yahoo!ショッピング対応をビジネス以上で持ち、楽楽自動応対は「ECモール対応」を機能として掲げています。対応範囲の詳細は各社への確認が必要です。

二重返信はどのサービスでも防げますか。

yaritori、Re:lation、楽楽自動応対は、公式サイトの機能一覧に二重返信防止が明記されています。yaritoriとRe:lationは編集ロックの方式です。

無料で試せますか。

メールワイズが30日間、Zendeskが14日間、Re:lationが10日間、yaritoriが7日間の無料トライアルを案内しています。楽楽自動応対にも無料トライアルの導線がありますが、期間の記載は今回参照したページで確認できませんでした。

メールディーラーは今も使えますか。

使えます。ただし「メールディーラー」は「楽楽自動応対」に名称が変わっています。公式サイトのトップに旧名と新名を並べた表示が出ています。

この記事の更新方針

掲載している数値は、各社の公式ページに表示されていた内容をそのまま引いています。加工や換算はしていません。ドル建ての表示はドルのまま、税抜の表示は税抜のままにしてあります。

各社が金額や条件を改定した場合、この記事の数値は古くなります。稟議や見積もりに使う前に、必ず各社の公式ページで当日の表示を確認してください。とくに、金額を公開していないサービス(楽楽自動応対)と、下限だけを公開しているサービス(yaritori、Re:lation)は、実際の見積もりがこの記事の数値と一致しません。

「記載を確認できず」と書いた欄は、そのサービスにその条件や機能がないという意味ではありません。今回参照したページにその記述が見当たらなかった、というだけです。要件に関わる項目は、各社へ直接お問い合わせください。

まとめ

問い合わせ管理システムの比較は、単価ではなく課金の型から始めます。ユーザー単価型はメールワイズ(600円・1,800円)とyaritori(1,980円〜)、プラン内包型はRe:lation(15,000円〜)、ライセンス+従量課金型はZendesk(19ドル・55ドル・115ドル)、人数と保存通数の組み合わせが楽楽自動応対です。

人数が少ないほど最低利用人数が効きます。yaritoriは2人から、メールワイズは5人から。窓口をメール以外へ広げるなら、LINEやECモールを機能として掲げているRe:lationと楽楽自動応対、チャットや電話まで持つならZendeskのSuiteが候補に入ります。

無料トライアルは7日間から30日間まで開きがあります。社内の確認に時間がかかる会社は、期間そのものを条件に入れてください。金額・条件は改定されることがあるため、申し込みの前に各社の公式ページで最新の表示をご確認ください。

絞り込んだあとに読むもの

料金の型で候補が2〜3社まで絞れたら、次は条件の細部です。このクラスターでは、比較の途中で判断が止まりやすい3つの論点を別記事にまとめています。

ひとつ目はセキュリティ要件です。シングルサインオン・IPアドレス制限・多要素認証は、どのサービスでも上位プランに寄せられる傾向があり、要件を後から足すとプランの選び直しになります。先に決めておく順番を共有メールのセキュリティ要件で整理しました。

ふたつ目は無料トライアルです。期間は7日間から30日間まで開きがあり、そのとき適用されるプランもサービスごとに違います。限られた日数で何から確かめるかは問い合わせ管理システムの無料トライアルにまとめています。

みっつ目は、導入したあとに対応の状態をどう数字にするかです。集計やレポートの機能はプランで切られることが多く、無料プランでは使えない例もあります。測れる軸と条件は問い合わせ対応の品質は何で測るかで比べています。

各サービスの条件は、詳細ページで数値と注記まで確認できます

メールワイズの詳細を見る

比較方法と参照した一次情報

掲載した数値は、すべて各社の公式サイトに表示されていた内容です。2026年10月1日に確認しました。金額・条件は改定されることがあります。広告や報酬によって掲載順や評価を変えていません。

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