電子契約の料金は月の送信件数で逆転する|5サービスの課金の型と10通・50通・100通の概算

電子契約サービス5つの課金の型を5枚のカードで並べたアイキャッチ。クラウドサイン ライトは月額11,000円に送信200円、GMOサイン ライトは月額8,800円に契約印100円・実印300円、freeeサイン Starterは年額71,760円で50通まで、Docusign Standardは月3,300円で1人あたり年間100通、マネーフォワード クラウド契約は送信料・保管料0円で件数の上限なしと示している

電子契約サービスの料金は、一見すると月額の大小で並べられそうに見えます。ところが公式の料金ページを5サービス分そろえて読むと、課金の単位そのものが4通りに分かれていることが分かります。1通ごとに課金するもの、無料枠を月額に内包するもの、ユーザー数で課金して通数に上限を置くもの、そして送信料も保管料も取らないもの。だから「どれが安いか」は、月に何通送るかを決めないと答えが出ません。2026年10月6日に各社の公式料金ページを開いて確認した内容で整理します。

サービスの全体像、署名方式、機能や解約条件まで横断して比べたい場合は、電子契約サービス5製品比較(ハブ)をご覧ください。この記事は、そのうち「料金がどこで逆転するか」だけを計算で詰めたものです。

先に結論

  • 月10通前後なら、月額の低いプランに送信料を足した額で比べる。電子印鑑GMOサインのライトプラン(月額8,800円・税込9,680円)+契約印タイプ100円/件が、公開価格では最も低い組み合わせです。
  • 月50通を超えるなら、無料枠を内包する月額が効いてくる。freeeサインのStarterプランは年額71,760円で、電子サインの無料枠が50通/月です。
  • 送信件数が読めない、あるいは大きく振れるなら、件数で課金しないサービスを見る。マネーフォワード クラウド契約は「契約書の送信件数・保管件数による課金や上限設定はありません」と明記しています。
  • Docusign eSignatureはユーザー課金で、通数の上限がユーザー数に比例します。Standardプランは1ユーザーあたり年間100通です。
  • 料金以外で分かれるのは、無料プランの有無と範囲、当事者型(実印タイプ)を選べるか、契約期間と自動更新の条件の3点です。

機能・署名方式・解約条件まで含めた横断比較は、クラスターのハブページにまとめています。

電子契約サービス5製品比較(ハブ)を見る

この試算で扱う範囲と、対象の決め方

金額を計算するには、比べる相手をそろえる必要があります。この記事では法人が契約書の送信・締結に使うことを前提に、公式サイトで料金または料金の決まり方を公開している5サービスを対象にしました。

試算の対象に入れた条件と、外したもの

  • 対象に入れた条件:日本語の公式サイトがあり、2026年10月6日時点で新規申し込みを受け付けていること。料金ページで金額または課金の仕組みを公開していること。法人向けの提供であること。
  • 外した条件:料金が完全に非公開で、仕組みすら公開されていないもの。個人向けのみの提供。受付を終了しているもの。
  • 並べる順番:課金の型で分類したうえで、同じ型の中では公開されている最低月額の低い順に並べました。広告報酬の有無や多寡で順番を決めていません。
  • 提供終了の扱い:この記事には受付を終了したサービスを含めていません。終了したものを現行の比較表に混ぜると、金額の比較が成り立たなくなるためです。

金額は公式ページの表示をそのまま引いています。税込・税抜の書き分けもサービスによって違うため、表では公式の表記に合わせて併記しました。税の表示が確認できなかった箇所は、その旨を書いています。

試算に使う5サービスの前提

まず提供会社と、料金の決まり方を一覧にします。提供会社は各サービスの公式サイト(会社情報またはフッターの表記)で確認しました。

表1:提供会社と課金の型(2026年10月6日に各公式ページで確認)
サービス提供会社課金の型無料プラン受付状況
クラウドサインBengo4.com, Inc.(公式サイトのフッター表記)月額+送信1件ごとあり(月2件・1ユーザー)受付中
電子印鑑GMOサインGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社月額+送信1件ごとあり(月5件・1ユーザー)受付中
freeeサインfreee K.K.(公式サイトのフッター表記)月額に無料枠を内包あり(1通/月)受付中
マネーフォワード クラウド契約Money Forward, Inc.(公式サイトのフッター表記)件数課金なし(本体プランに含む)料金ページでは確認できず受付中
Docusign eSignatureDocusign, Inc.(公式サイトのフッター表記)ユーザー課金+通数上限料金ページでは確認できず受付中

5サービスのうち3つに無料プランがあり、いずれも月に数通までという小さな枠です。試用には足りますが、実務で回すには有料プランが前提になります。

課金の型が4つに分かれる

料金ページの構造そのものがサービスごとに違います。金額を並べる前に、何に対してお金が発生するのかを分けておきます。

4つの課金の型

月額+送信1件ごと

クラウドサイン、電子印鑑GMOサイン。

基本料金に加えて、送信するたびに費用が積み上がります。件数が読めるほど見積もりやすい型です。

無料枠を内包する月額

freeeサイン。

プランごとに「電子サイン無料枠」が決まっており、枠の中なら追加費用が発生しません。枠を使い切るかどうかで評価が変わります。

ユーザー課金+通数上限

Docusign eSignature。

1ユーザーあたりの月額で、通数の上限もユーザー単位です。使う人数と送る通数の両方で決まります。

件数で課金しない

マネーフォワード クラウド契約。

送信料・保管料が0円で、件数の上限もありません。件数が振れても費用が動かない型です。

月額+送信1件ごと:クラウドサインと電子印鑑GMOサイン

クラウドサインの企業向けプラン(Light)は月額11,000円(税込12,100円)、年額で税込145,200円です。一般企業向けのおすすめプラン(Corporate)は月額28,000円(税込30,800円)、年額で税込369,600円。これに送信件数ごとの費用として1件200円(税込220円)が加わります。

書類の保管にも条件があります。公式ページの注記には「10,000書類まで無料、10,000書類を超えた場合は10,000書類毎にインポート書類保管費用10,000円/月(税込11,000円/月)」とあります。保管量が増えると月額が段階的に増える設計です。

クラウドサインの料金プランページの画面キャプチャ。企業向けプランが月額11,000円で税込12,100円、年額税込145,200円、一般企業向けおすすめプランが月額28,000円で税込30,800円、年額税込369,600円と並び、送信件数ごとの費用が220円税込242円と表示されている
月額と送信件数ごとの費用が別立てになっている。契約期間は当初1年間、その後1年単位の自動更新と注記がある。出典:クラウドサイン「料金プラン」(2026年10月6日確認)

電子印鑑GMOサインのライトプランは8,800円/月(税込9,680円)で、公式ページには「単月契約より年間8,400円お得!」と年契約の差額が示されています。スタンダードプランは24,000円/月(税込26,400円)で、年契約との差額は年間24,000円です。

特徴的なのは「ユーザー数・送信数無制限」と書かれている点です。ただし注記に「※1送信ごとに送信料(契約印タイプ100円/実印タイプ300円・税抜)がかかります」とあり、送信ごとの費用は別に発生します。無制限なのはユーザー数と、プランが許す送信の回数そのものであって、費用が青天井にならないという意味ではありません。

電子印鑑GMOサインの料金プランページの画面キャプチャ。ライトプランが8,800円/月で税込9,680円、単月契約より年間8,400円お得、スタンダードプランが24,000円/月で税込26,400円、年間24,000円お得と並び、ユーザー数・送信数無制限の表示と、1送信ごとに契約印タイプ100円・実印タイプ300円(税抜)の送信料がかかる注記がある
契約印タイプと実印タイプで送信料が3倍違う。ビジネス・エンタープライズは個別見積。出典:電子印鑑GMOサイン「料金プラン」(2026年10月6日確認)

無料枠を内包する月額:freeeサイン

freeeサインは、プランごとに「電子サイン無料枠」が設定されています。お試しプランが1通/月、Starterプランが50通/月、Standardプランが100通/月、上位プランが1,000通/月〜です。ユーザー数はいずれも無制限と表示されています。

年額は公式ページに金額が表示されており、Starterプランが年額71,760円、Standardプランが年額357,600円です。月額の表示はスクリプトで描画されており、今回の確認方法では数値を読み取れませんでした。年額を12で割ると、Starterが月あたり5,980円、Standardが月あたり29,800円になります。

契約期間についても注記があり、「年額一括払い、月額払いいずれも契約期間は1年の自動更新です」と書かれています。

freeeサインの料金プランページの画面キャプチャ。無料のお試しプランは電子サイン無料枠が1通/月、Starterプランは年額71,760円で電子サイン無料枠50通/月、Standardプランは年額357,600円で無料枠100通/月、内部統制機能を備えたプランは無料枠1,000通/月からと並び、年額一括払い・月額払いいずれも契約期間は1年の自動更新と注記がある
「電子サイン無料枠」の通数がプランの差になっている。ユーザー数はいずれも無制限。出典:freeeサイン「料金プラン」(2026年10月6日確認)

ユーザー課金+通数上限:Docusign eSignature

Docusign eSignatureは3つの公開プランがあります。Personalが¥1,333/月(¥16,000年間一括払い)で月間5通のエンベロープ送信、Standardが¥3,300/月(ユーザーあたり・¥39,600年間一括払い)、Business Proが¥5,300/月(ユーザーあたり・¥63,600年間一括払い)です。StandardとBusiness Proはいずれも1ユーザーあたり年間100通のエンベロープ送信と明記されています。

公式ページには「年間一括払いプランで最大44%の割引」「別途税金が発生する場合があります」との表示もあります。上限を増やしたい場合はEnhanced Plans(拡張プラン)で「ビジネスニーズに正確に合わせてエンベロープ上限数を調整可能」とされ、金額は問い合わせになります。

Docusign eSignatureの料金プランページの画面キャプチャ。Personalが月1,333円で年間一括払い16,000円・月間5通のエンベロープ送信、Standardが月3,300円ユーザーあたりで年間一括払い39,600円・1ユーザーあたり年間100通、Business Proが月5,300円ユーザーあたりで年間一括払い63,600円・1ユーザーあたり年間100通と並び、年間一括払いプランで最大44%の割引との表示がある
通数の上限がユーザー単位で設定されている。拡張プランは上限数を調整でき、金額は問い合わせ。出典:Docusign「eSignature 料金プラン」(2026年10月6日確認)

件数で課金しない:マネーフォワード クラウド契約

マネーフォワード クラウド契約は、料金ページに「契約書の送信料・保管料は0円!」と掲げ、「契約書の送信件数・保管件数による課金や上限設定はありません」と説明しています。よくある質問にも「電子契約の送信件数による課金や制限はありません」と明記されています。

では何に対して払うのか。公式ページは「マネーフォワード クラウドの法人向けプラン※をご利用される方は契約書の送信・締結機能をご利用いただけます」とし、※として「『ひとり法人プラン』『スモールビジネスプラン』『ビジネスプラン』のいずれか」を挙げています。つまり契約機能は単体販売ではなく、本体プランに付いてくる構造です。

なお、同じページには「『ひとり法人プラン』『スモールビジネスプラン』『ビジネスプラン』では、契約書の送信・締結のみがご利用いただけます」との記載もあります。送信・締結より先の機能を使うには上位の提案が必要と読めます。契約ページ単体では法人向けプランの金額が示されていないため、今回の確認では金額を特定していません。

料金の一覧

ここまでの数字を1つの表にまとめます。表記は公式ページの書き方に合わせています。

表2:公開されている料金(2026年10月6日に各公式料金ページで確認)
サービス/プラン月額年額送信ごとの費用通数の扱い
クラウドサイン Light11,000円(税込12,100円)税込145,200円1件200円(税込220円)上限の記載なし
クラウドサイン Corporate28,000円(税込30,800円)税込369,600円1件200円(税込220円)上限の記載なし
GMOサイン ライト8,800円(税込9,680円)単月契約より年間8,400円お得契約印100円/実印300円(税抜)送信数無制限の表示
GMOサイン スタンダード24,000円(税込26,400円)単月契約より年間24,000円お得契約印100円/実印300円(税抜)送信数無制限の表示
freeeサイン Starterページ上で数値を取得できず71,760円無料枠内は追加費用なし無料枠50通/月
freeeサイン Standardページ上で数値を取得できず357,600円無料枠内は追加費用なし無料枠100通/月
Docusign Standard¥3,300(ユーザーあたり)¥39,600(年間一括払い)上限内は追加費用の記載なし1ユーザーあたり年間100通
Docusign Business Pro¥5,300(ユーザーあたり)¥63,600(年間一括払い)上限内は追加費用の記載なし1ユーザーあたり年間100通
マネーフォワード クラウド契約本体プランに含む本体プランに含む0円件数の上限なし

税の表示はサービスによって違います。クラウドサインと電子印鑑GMOサインは税抜と税込を併記、Docusignは「別途税金が発生する場合があります」との注記付きで金額のみ、freeeサインは年額の表示に税の記載を確認できませんでした。総額で比べるときは、同じ基準にそろえてから足してください。

月の送信件数で、安い順が入れ替わる

課金の型が違うため、送信件数を決めないと順位が付きません。公開価格をもとに、月10通・50通・100通の3通りで概算しました。以下は当サイトが公表値から計算した概算で、各社が公表している金額ではありません。

表3:月の送信件数別の概算(税込・当サイトが公表値から計算)
サービス/プラン月10通月50通月100通
クラウドサイン Light14,300円23,100円34,100円
GMOサイン ライト(契約印タイプ)10,780円15,180円20,680円
GMOサイン ライト(実印タイプ)12,980円26,180円42,680円
freeeサイン Starter(年額の月割)5,980円5,980円枠超過(Standardへ)
freeeサイン Standard(年額の月割)29,800円29,800円29,800円
Docusign Standard年120通で上限超過最低6ユーザー相当最低12ユーザー相当

読み取れることは3つあります。

1つ目。月10通なら、GMOサインの契約印タイプが最も低く、次がfreeeサインのStarterです。freeeサインは無料枠50通に対して10通しか使わないため、枠が余ります。「安いが余らせる」状態です。

2つ目。月50通になると、freeeサインのStarterが頭一つ下がります。無料枠をちょうど使い切る水準で、送信ごとの費用が発生する2社との差が開きます。

3つ目。月100通では、GMOサインの契約印タイプが再び下に来ます。freeeサインはStarterの枠を超えてStandardになり、年額357,600円(月あたり29,800円)に跳ねるためです。無料枠を内包する型は、枠をまたぐところで段差ができます。

Docusignは通数の上限がユーザー数に比例するため、通数だけでは比較できません。Standardプランは1ユーザーあたり年間100通なので、月50通(年600通)を送るには単純計算で6ユーザー分、月100通(年1,200通)なら12ユーザー分の上限が必要になります。実際に必要なユーザー数は使う人数で決まるので、この数字は上限から逆算した最低限の目安です。

無料プランの違い

導入前に試すなら、無料プランの範囲が判断材料になります。3サービスに無料プランがありますが、範囲は同じではありません。

表4:無料プランの範囲(2026年10月6日に各公式ページで確認)
サービス名称送信件数ユーザー数制限の注記
クラウドサインFree Plan月2件まで1名まで電子署名+タイムスタンプあり
電子印鑑GMOサインお試しフリープラン月5件まで1ユーザーのみ署名依頼は契約印タイプのみ
freeeサインお試しプラン電子サイン無料枠1通/月公式ページでは数値を取得できず0円/月の表示

件数だけ見ればGMOサインの月5件が最も多いものの、署名依頼が契約印タイプに限られるという条件が付きます。当事者型(実印タイプ)の挙動を試したい場合、無料プランでは確認できません。クラウドサインは月2件と少ないかわりに、電子署名+タイムスタンプが付くと明記されています。

料金から見たサービスごとの強みと弱み

料金の観点に絞って、公式に確認できた事実から位置づけを整理します。公式ページで確認できない優位性や、「最安」「最高」といった断定は書いていません。

クラウドサイン

比べたときの強み

・企業向けプランが2段階で、年額が明記されている

・無料プランでも電子署名+タイムスタンプが付く

・申し込みから利用開始までの流れと所要日数(当日〜2営業日程度)が公開されている

比べたときの弱み

・送信1件200円(税込220円)が常に積み上がる

・書類が10,000を超えると保管費用が10,000書類ごとに月10,000円(税込11,000円)加算される

・無料プランの送信は月2件とGMOサインより少ない

電子印鑑GMOサイン

比べたときの強み

・ライトプランの月額8,800円(税込9,680円)が5サービスの公開月額で最も低い

・ユーザー数・送信数が無制限と表示されている

・契約印タイプと実印タイプを送信ごとに選べる

比べたときの弱み

・実印タイプは1送信300円(税抜)で、契約印タイプの3倍

・無料プランは契約印タイプのみ

・ビジネス・エンタープライズは個別見積で、金額が公開されていない

freeeサイン

比べたときの強み

・無料枠が50通/月(Starter)、100通/月(Standard)と明示されている

・ユーザー数が無制限

・枠の中なら送信ごとの費用が増えない

比べたときの弱み

・枠を超えると上位プランになり、年額71,760円から357,600円へ段差ができる

・月額がスクリプト描画で、今回の確認方法では数値を読み取れなかった

・契約期間は年額一括払い・月額払いのいずれも1年の自動更新

マネーフォワード クラウド契約

比べたときの強み

・送信料・保管料が0円で、件数による課金や上限がない

・送信件数が月によって振れても費用が動かない

・マネーフォワード クラウドの法人向けプランに含まれる

比べたときの弱み

・契約単体の金額が料金ページに公開されていない

・対象が「ひとり法人」「スモールビジネス」「ビジネス」の各プラン利用者に限られる

・これらのプランで使えるのは契約書の送信・締結までと明記されている

Docusign eSignature

比べたときの強み

・個人・小規模向けのPersonalが¥1,333/月(年間一括¥16,000)と低い

・年間一括払いで最大44%の割引と表示されている

・拡張プランでエンベロープ上限数を調整できる

比べたときの弱み

・StandardとBusiness Proは1ユーザーあたり年間100通の上限がある

・ユーザー課金のため、使う人数が増えると費用が比例して増える

・税込表示ではなく「別途税金が発生する場合があります」との注記

法律のうえで何が成り立っているのか

料金の前に、電子契約が紙の押印と同じ役割を果たせる根拠を押さえておきます。根拠は電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)です。

同法第2条第1項は「電子署名」を、電磁的記録に記録できる情報について行われる措置で、次の2つの要件のいずれにも該当するものと定義しています。一つは「当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること」、もう一つは「当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること」です。誰が作ったかを示すことと、後から書き換えられていないかを確かめられること。この2つが揃って初めて電子署名と呼べます。

そして第3条が、紙の押印に相当する効果を定めています。条文はこうです。「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」

括弧の中が要点です。「これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る」。鍵にあたるものを本人が適切に管理していて、本人しか署名できない状態になっていることが条件になっています。推定が働くかどうかは、この管理の実態で決まります。

条文から読み取れる3つの線引き

  • 本人性と非改ざん性はセット:第2条は2つの要件を「いずれにも該当する」と書いています。どちらか一方では電子署名に当たりません。
  • 推定であって、確定ではない:第3条は「真正に成立したものと推定する」と書いています。争いになれば、推定を覆す主張も理屈のうえではあり得ます。
  • 鍵の管理が条件に書き込まれている:第3条の括弧書きが、符号および物件の適正な管理を条件に置いています。サービスを選んだだけで条件が満たされるわけではありません。

この条文の構造が、料金表の「契約印タイプ」と「実印タイプ」の差につながります。電子印鑑GMOサインが送信ごとの費用を契約印タイプ100円、実印タイプ300円(いずれも税抜)と分けているのは、本人確認の方式が違うためです。どちらを使うかは契約の重さで決めるもので、常に安いほうを選べばよいという設計にはなっていません。

なお第2条第2項と第3項は「認証業務」と「特定認証業務」を定義しています。特定認証業務は、電子署名のうち「その方式に応じて本人だけが行うことができるものとして主務省令で定める基準に適合するもの」について行われる認証業務だと書かれています。サービスの説明に出てくる用語は、この条文の区分に対応しています。

表に載らない費用がある:オプション料金

比較表の月額は基本プランの金額です。本人確認を強めたり、相手方の属性に合わせたりするオプションは別料金になります。電子印鑑GMOサインは料金ページでオプションの金額を公開しているため、どれくらい上乗せされるのかが分かります。

公開されているのは次の4つです。対面契約&アクセスコードのSMS送信が初期費用50,000円・月額20,000円、本人確認を強化する別構成が初期費用50,000円・月額25,000円、さらに初期費用0円・月額50,000円〜の構成も掲示されています。機能単位では、SMS送信機能が初期100,000円(税込110,000円)・月額15,000円(税込16,500円)、アクセスコードのSMS送信が初期0円・月額15,000円(税込16,500円)、画像添付依頼(運転免許証様式チェック)が初期0円・月額10,000円(税込11,000円)です。

数字の大きさに注目してください。ライトプランの月額8,800円に対し、SMS送信機能のオプションは月額15,000円です。オプションのほうが基本プランより高くなります。公式ページは、これらを「署名依頼を携帯電話のSMS宛に送信する『SMS送信機能』や、なりすましを防ぐ『アクセスコードのSMS送信』など、本人確認を強化するオプション機能」と説明し、「個人との契約でのご利用もおすすめです」としています。

つまり相手方が個人で、本人確認を厚くしたい取引が多いほど、基本プランの月額だけでは足りなくなるということです。比較表の数字を見て決める前に、自社が送る契約の相手方が法人なのか個人なのかを先に確認してください。他の4サービスについては、今回確認した料金ページの範囲ではオプションの金額を特定していません。

用途から選ぶ

自社の条件からたどる

  1. 月の送信件数が10通前後で安定している→ 月額+送信料の型が読みやすい。GMOサインの契約印タイプが公開価格では低く出ます。電子印鑑GMOサインの料金詳細で内訳を確認してください。
  2. 月50通前後で安定している→ 無料枠を内包する型が効きます。freeeサインの料金詳細で枠の数え方を確認してください。
  3. 件数が月ごとに大きく振れる→ 件数で課金しない型を検討します。マネーフォワード クラウド契約の料金詳細で、含まれる機能の範囲を確認してください。
  4. 送る人が少なく、相手が海外を含む→ ユーザー課金の型が合う場合があります。Docusign eSignatureの料金詳細で上限の数え方を確認してください。
  5. 社内の運用ルールと証跡を重く見る→ プラン間の機能差を確認します。クラウドサインの料金詳細でプラン差と保管の条件を確認してください。

向く利用者と、向かない利用者

  • 向く:月の送信件数をおおよそ見積もれる会社。契約書の保管場所を1か所にまとめたい会社。相手方に押印のために出社してもらうのをやめたい会社。
  • 向かない:相手方が電子契約に応じない取引が大半を占める場合。紙の原本が法令や取引慣行で求められる契約が中心の場合。件数が年に数件で、無料プランの範囲に収まる場合。

契約期間・自動更新・解約で確認すること

月額だけ見て決めると、やめるときに差が出ます。公式ページで確認できた範囲を整理します。

申し込み前に確認する4点

  • 契約期間:クラウドサインは「契約期間は当初1年間、その後1年単位の自動更新」、freeeサインは「年額一括払い、月額払いいずれも契約期間は1年の自動更新」と明記しています。月額払いでも契約期間が1年という書き方に注意してください。
  • 年契約と単月契約の差:電子印鑑GMOサインは、ライトプランで年間8,400円、スタンダードプランで年間24,000円の差があると公開しています。
  • 保管の条件:クラウドサインは10,000書類を超えると保管費用が加算されます。解約後に書類をどう取り出すかは、各社の規約で確認が必要です。
  • 無料プランからの移行:クラウドサインは申し込み後に内容確認・審査があり、利用開始まで当日〜2営業日程度かかると公開しています。

解約時のデータの扱い、違約金の有無、途中解除の条件は、料金ページだけでは確認しきれません。各サービスの詳細ページと利用規約で確認してください。この記事では、料金ページに書かれていた範囲だけを載せています。

失敗しやすいところ

金額を見誤る3つの型

  • 月額だけで比べる:送信ごとの費用がある型では、件数が増えるほど月額の差が意味を失います。月100通ならクラウドサインLightは送信料だけで税込22,000円になり、月額を上回ります。
  • 無料枠を使い切る前提で見積もる:枠を余らせると単価が上がり、枠を超えると上位プランへの段差が出ます。枠のちょうど内側に収まる件数が、いちばん効率がよい設計です。
  • 税の基準を混ぜる:税込で書く社、税抜で書く社、注記だけの社が混在します。表を作るときは必ず基準をそろえてください。

この試算のまとめ

課金の型は4つ。月額+送信1件ごと、無料枠を内包する月額、ユーザー課金+通数上限、件数で課金しない。型が違うものを月額だけで並べても順位は出ません。

公開価格で計算すると、月10通ならGMOサインの契約印タイプ、月50通ならfreeeサインのStarter、月100通なら再びGMOサインの契約印タイプが低く出ました。送信件数を決めてから比べてください。

件数が読めないなら、マネーフォワード クラウド契約の「件数で課金しない」型が候補になります。ただし契約単体の金額は料金ページに公開されていません。

試算の方法と、更新の方針

この記事の金額は、2026年10月6日に各サービスの公式料金ページを開いて確認した表示です。確認したページは記事末尾の出典に並べています。キャプチャも同日に取得したものです。

料金は改定されます。申し込みの前には、必ず各社の公式料金ページで最新の表示を確認してください。この記事は、料金改定やプラン改廃を確認した時点で更新します。確認できなかった項目は「確認できなかった」と書き、推測で埋めていません。

掲載の順番は課金の型で分類したうえで、同じ型の中では公開されている最低月額の低い順です。広告報酬の有無や多寡で順番を決めていません。

電子契約の料金についてよくある質問

いちばん安い電子契約サービスはどれですか
送信件数によって変わります。公開価格から計算した概算では、月10通と月100通では電子印鑑GMOサインのライトプラン(契約印タイプ)、月50通ではfreeeサインのStarterプランが低く出ました。件数を決めずに順位は付けられません。
無料で使い続けられますか
3サービスに無料プランがありますが、クラウドサインは月2件・1ユーザー、電子印鑑GMOサインは月5件・1ユーザー(契約印タイプのみ)、freeeサインは電子サイン無料枠1通/月です。実務で継続して使う前提の枠ではありません。
送信料が0円のサービスはありますか
マネーフォワード クラウド契約が「契約書の送信料・保管料は0円」「送信件数・保管件数による課金や上限設定はありません」と公開しています。ただし利用にはマネーフォワード クラウドの法人向けプラン(ひとり法人プラン・スモールビジネスプラン・ビジネスプラン)のいずれかが必要です。
契約印タイプと実印タイプの違いは何ですか
電子印鑑GMOサインは、送信ごとの費用を契約印タイプ100円、実印タイプ300円(いずれも税抜)と公開しています。お試しフリープランの署名依頼は契約印タイプのみと注記されています。
月額払いなら1か月でやめられますか
サービスによります。freeeサインは「年額一括払い、月額払いいずれも契約期間は1年の自動更新です」と明記しています。クラウドサインも「契約期間は当初1年間、その後1年単位の自動更新」と注記しています。
ユーザーを増やすと費用は増えますか
型によります。Docusign eSignatureはユーザーあたりの月額で、通数の上限も1ユーザーあたり年間100通です。電子印鑑GMOサインとfreeeサインはユーザー数無制限と表示しています。
申し込んでからどれくらいで使えますか
クラウドサインは、申し込み完了後に内容確認・審査、アカウント設定を経て「当日〜2営業日程度で利用開始できます」と公開しています。他社の所要日数は、今回の確認では料金ページから確認できませんでした。

出典

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