マネーフォワード クラウド契約の料金は、他の電子契約サービスと同じ土俵で比べられません。契約書の送信料と保管料が0円である一方、フル機能の法人向け料金は公開されておらず、初期費用と利用者数に応じた基本料金の見積もりを取る必要があるためです。公開価格で使える範囲と、見積もりが必要な範囲を先に切り分けます。
公開されている月額2,480円〜という価格は、マネーフォワード クラウドの法人向けプラン(ひとり法人プラン)の基本料金です。この基本料金の範囲で使えるのは契約書の送信・締結のみで、社内申請ワークフロー、契約書の一元管理、AI-OCRによる契約情報の自動入力、契約期間のアラート通知といった機能は、初期費用+利用者数に応じた基本料金+オプションという別建ての見積もりになります。契約件数による従量課金と上限設定はありません。
料金はマネーフォワード クラウド契約の法人向け料金ページと、マネーフォワード クラウドの料金ページ。契約条件はマネーフォワード クラウド利用規約で確認しています。表示価格はすべて税抜です。
公開価格で使える範囲は「送信・締結のみ」
マネーフォワード クラウド契約は株式会社マネーフォワードが提供する電子契約・契約書管理システムです。製品ページには2つの入口が示されています。契約業務全体を効率化したい方向けの「フル機能」(料金はお問い合わせ価格)と、まずは電子契約をはじめたい方向けの法人向け2,480円/月〜(個人向けは900円/月〜)です。
この2,480円という数字の位置づけが重要です。法人向け料金ページのよくあるご質問には「『ひとり法人プラン』『スモールビジネスプラン』『ビジネスプラン』では、契約書の送信・締結のみがご利用いただけます」と明記されており、社内申請ワークフローなどその他の機能を利用する場合は担当者へ問い合わせるよう案内されています。つまり2,480円は電子契約の専用料金ではなく、マネーフォワード クラウドの法人向けプランの基本料金で、その特典として送信・締結機能が使える構成です。
- 提供会社
- 株式会社マネーフォワード
- ひとり法人プラン
- 年払い2,480円/月(一括29,760円/年)、月払い3,980円/月
- スモールビジネスプラン
- 年払い4,480円/月(一括53,760円/年)、月払い5,980円/月
- ビジネスプラン
- 年払い6,480円/月(一括77,760円/年)、月払い7,980円/月
- フル機能の法人向け料金
- 初期費用(初月のみ)+利用者数に応じた基本料金+オプション。金額は問い合わせ
- 契約書の送信料
- 0円
- 契約書の保管料
- 0円
- 件数の上限
- 送信件数・保管件数による課金や上限設定はないと明記
- 試用
- クレジットカード不要で1ヶ月お試し
送信料・保管料が0円であることの意味
公式ページは「契約書の送信料・保管料が0円で契約件数が多い企業も安心」「契約書の送信件数・保管件数による課金や上限設定はありません」と表示しています。法人向け料金ページのよくあるご質問でも「電子契約の送信件数による課金や制限はありません。マネーフォワード クラウド契約の利用者数に応じて料金が発生します」と回答されています。
課金の軸が件数ではなく利用者数である、という点が他社との構造的な違いです。送信通数が増えても請求額は動かず、代わりに使う人が増えると増えます。これは、契約件数が多く担当者が少ない組織で有利に働きます。逆に、契約件数は少ないが多数の部署から参照したい組織では、利用者数の課金が効いてきます。
| サービス | 費用が増える主な要因 | 送信の課金 | 公開価格の範囲 |
|---|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド契約 | 利用者数 | 送信料・保管料0円。件数課金と上限設定なし | 送信・締結のみ(法人向けプランの基本料金内)。フル機能は問い合わせ |
| クラウドサイン | 送信通数 | 1通220円(税込242円) | LightとCorporateの月額固定費用。BusinessとEnterpriseは問い合わせ |
| 電子印鑑GMOサイン | 送信通数と署名方式 | 契約印タイプ100円/実印タイプ300円(税別) | ライトとスタンダードの月額。ビジネスとエンタープライズは問い合わせ |
| freeeサイン | 無料枠を超えた通数 | 無料枠50通・100通。超過は電子サイン100円・電子署名200円 | StarterとStandard。Advance&Enterpriseは問い合わせ |
| Docusign eSignature | エンベロープ数とユーザー数 | エンベロープ単位の上限管理。Standard以上は1ユーザーあたり年間100通 | Personal/Standard/Business Pro |
この表を作ると、比較のためにそろえるべき数字が見えてきます。件数課金のサービスを検討するなら月間送信通数、マネーフォワード クラウド契約を検討するなら実際にログインする人数です。両方を並べる場合、この2つを同時に見積もらないと総額が比べられません。
フル機能側の料金は3つの積み上げになっている
法人向け料金ページは、ご利用料金の構成を3つのブロックで示しています。初期費用(初月のみ、サービス導入に伴って発生)、基本料金(サービス利用者数に応じて発生)、オプション(法務相談案件管理などのオプション機能)です。それぞれの金額は掲示されておらず、状況に応じて最適な料金プランを提案する、という案内になっています。

見積もりを取る側としては、この3ブロックに対応する情報を先に用意しておくと話が早く進みます。初期費用については導入時に必要な設定支援の範囲、基本料金については役割ごとの人数(作成する人、承認する人、閲覧だけの人)、オプションについては法務相談案件管理、IPアドレス制限、リース自動識別のうち必要なものです。公式ページは、担当者からメールまたは電話で連絡し、システム利用者数や管理要件に応じた概算見積を提示するとしています。
フル機能で何ができるかを、公開情報の範囲で確認する
製品ページに掲載されているフル機能の内訳は、作成・締結、保管、オプションの3群です。作成・締結には契約書フォーマットのテンプレート化、社内申請ワークフローの設定、契約書の送信・締結が含まれます。保管には契約書の一元管理(紙や他社の電子契約サービスで締結した契約書を含む)、AI-OCRによる契約情報の自動入力、契約期間のアラート通知、締結済み契約書の検索・ダウンロードが並びます。オプションは法務相談案件管理、IPアドレス制限、リース自動識別です。
一方、法人向けプランの基本料金の範囲では、作成・締結として契約書フォーマットのテンプレート化と契約書の送信・締結、保管として締結済み契約書の検索・ダウンロードが挙げられています。差分は、社内申請ワークフロー、他社締結分を含む一元管理、AI-OCR、契約期間のアラート通知です。
締結だけを電子化し、承認は既存のワークフローや稟議システムで回している組織。
押印申請から締結までを1つの流れにしたい、紙や他社締結分も同じ場所で探したい組織。
法務相談の受付と進捗を管理したい、IPアドレスでアクセスを絞りたい、リース契約を自動識別したい組織。
作成者・承認者・閲覧者の人数、取り込む過去文書の件数、必要な連携先。
新リース会計基準への対応が独立した機能になっている
製品ページは、2027年4月1日以後開始する事業年度の期首から新リース会計基準が強制適用されることを挙げ、AIでリース契約を自動識別して対応を支援すると説明しています。識別結果は経理部門と連携する管理表として活用できるとされています。リース自動識別はオプション機能として掲載されています。
リース契約の識別は、契約書の管理という文脈だけの話ではありません。会計側で開示や計上の対象になるかどうかを判定する作業であり、契約書の保管場所と会計処理をつなぐ位置にあります。会計ソフトを同じ提供元でそろえている組織では、この連携が選定理由になり得ます。逆に、リース取引がほとんどない組織にとっては、この機能の有無は判断材料になりません。オプションである以上、費用も別建てになります。
12サービスを基本料金内で使える構成をどう評価するか
マネーフォワード クラウドの料金ページは、12サービスを初期費用0円・月々2,480円〜利用できると表示しています。基本料金には会計や請求書を含む複数のサービスが含まれ、そのうえで利用するユーザー数に応じた従量課金が加わる構成です。料金ページの利用例では、ビジネスプラン6,480円/月(年払い)で会計・請求書が3名まで、経費が5名まで利用でき、クラウド経費を5名で使うと従量課金2,500円/月が加わって合計8,980円/月になる、という計算が示されています。
電子契約だけを比較している場面では、この構成は評価しづらくなります。会計や請求書を別の提供元で使っている組織にとって、12サービスの束は選定上の加点になりません。一方、すでにマネーフォワード クラウドで会計や請求書を運用している組織なら、契約書の送信・締結が追加費用なしで使える、という読み方になります。同じ2,480円という数字が、既存構成によってまったく違う意味を持ちます。
料金ページには、対象プランを年払いで契約した法人に最大85,536円分のAmazonギフトカードを進呈する期間限定キャンペーン(2026年10月31日まで)が掲載され、実質価格が併記されています。この実質価格は還元分を差し引いた参考値であり、翌年以降の更新時には適用されません。他社と比べるときは、標準価格(年払い2,480円/4,480円/6,480円)を基準に置いてください。
年払いと月払いの差は、どのプランでも年間18,000円
3つのプランはいずれも、年払いにすると月払いより年間18,000円安くなると表示されています。ひとり法人プランは年払い2,480円/月に対し月払い3,980円/月、スモールビジネスプランは4,480円/月に対し5,980円/月、ビジネスプランは6,480円/月に対し7,980円/月です。差額は月あたり1,500円で固定されており、年間で18,000円になります。
| プラン | 想定利用者数 | 年払い(月額換算) | 年払いの一括支払額 | 月払い | 年間の差額 |
|---|---|---|---|---|---|
| ひとり法人プラン | 目安:経営者1名 | 2,480円/月 | 29,760円/年 | 3,980円/月 | 18,000円 |
| スモールビジネスプラン | 目安:利用者3名以下 | 4,480円/月 | 53,760円/年 | 5,980円/月 | 18,000円 |
| ビジネスプラン | 目安:利用者4名以上 | 6,480円/月 | 77,760円/年 | 7,980円/月 | 18,000円 |
| マネーフォワード クラウド ERP | 目安:従業員51名以上 | 利用人数と必要な機能を確認したうえで案内される(見積もり) | |||
この設計は、プランが上がるほど割引率が下がることを意味します。ひとり法人プランでは月払い比で約38%の差ですが、ビジネスプランでは約19%です。上位プランを選ぶ場合、年払いの割引を理由に1年分を前払いする判断は、下位プランほどの効果を生みません。
もう一点、プランの名称が示す利用者数は目安であり、実際の課金はサービスごとの利用人数に応じた従量課金が加わる構成です。料金ページの利用例では、ビジネスプランで会計・請求書が3名まで、経費が5名まで基本料金に含まれ、それを超える利用者について追加料金が発生する形が示されています。電子契約の観点では、契約書を送信・締結する人が何人になるかを先に数えてください。
契約と解約の条件は共通の利用規約で決まる
マネーフォワード クラウドの利用規約は、サービス利用契約が有効期間終了日までに解約をしない限り、終了時に従前と同一内容で自動更新すると定めています。そのうえで「途中解約した場合でも、当該契約の残期間に対応する利用料金は発生するものとし、当社は日割計算等による精算及び返金は行いません」と明記しています(第5条第5項)。同条第6項では、規約に別途定める場合を除き、支払われた利用料金の返金には一切応じないことを承諾する旨が定められています。
退会についても同様で、第14条第3項は、契約の途中で退会した場合でも残期間に対応する利用料金が発生し、日割計算等による精算および返金を行わないとしています。年払いを選んだ場合、この条項は1年分が拘束されることを意味します。年間18,000円の割引と、途中解約時に残期間が返らないことを合わせて判断してください。
退会後にデータを引き渡さない条項がある
利用規約第14条第7項は「本サービス退会後、当社は、契約者が当社に対し提供した契約者のデータ等その他一切の情報を引渡さないものとし、契約者はこれを異議なく承諾するものとします」と定めています。同条第5項では、退会後も同社がユーザーアカウントおよび提供されたデータ等その他一切の情報を保有もしくは削除できるとされ、第6項では再登録しても退会前のデータが引き継がれないことを承諾するとされています。
締結済みの契約書は、契約期間や法定保存期間にわたって参照できる必要があります。退会後の引き渡しが規約で否定されている以上、出力は契約が有効なあいだに完了させる設計にしてください。製品ページのセキュリティの説明には、遠隔地を含めたバックアップの実施やCSVエクスポートによって利用者自身でのバックアップに対応していること、有事の際やシステム監査においてシステムの監査情報を取得可能であることが記載されています。CSVエクスポートで何をどこまで取り出せるかは、試用期間中に実際に出力して確認する項目です。
稼働率については、第19条第2項が、1か月間の使用不能時間が3.6時間(1か月の時間の0.5%に相当する時間)を超えた場合に契約者が申請でき、適正と認められれば翌月分の月額固定課金料金を減額すると定めています。年間契約の場合は年間利用料金を月割計算した1か月あたりの利用料金を月額固定課金料金として計算するとされています。ただし同項は、クーポン、プロダクト・キー、チケットの購入によってサービスを利用している場合を減額の対象から除いています。
強み・弱み
- 契約件数が増えても送信料・保管料が0円で、件数による上限設定もない
- すでにマネーフォワード クラウドを使っていれば、送信・締結を追加費用なしで始められる
- 紙や他社サービスで締結した契約書もフル機能側で一元管理できる
- 新リース会計基準への対応がオプションとして用意されている
- フル機能側の料金が公開されておらず、見積もりを取るまで総額を比べられない
- 公開価格の範囲では社内申請ワークフローや一元管理が使えない
- 途中解約でも残期間の料金が発生し、日割精算と返金が行われない
- 退会後にデータを引き渡さない条項があり、出力は契約期間内に済ませる必要がある
向いている利用者・向いていない利用者
向いているのは、契約件数が多く、送信のたびの課金を避けたい組織です。とくに、月間の契約件数が数百件を超えると、件数課金のサービスとの差が明確になります。すでにマネーフォワード クラウドで会計・請求書・経費を運用している組織も、既存の基本料金の範囲で送信・締結を始められるため、初期の導入判断が軽くなります。
向いていないのは、比較の段階で総額を数字で並べたい組織です。フル機能側は問い合わせが前提であり、他社の公開価格と同じ精度では並べられません。稟議に金額の比較表を出す必要がある場合、見積もりの取得を比較のスケジュールへ最初から組み込んでください。また、社内申請ワークフローが必須で、かつ低価格帯で収めたい組織にとっては、公開価格の範囲では要件を満たせません。
公表されている導入事例の読み方
製品ページには導入事例が掲載されています。三菱ガス化学トレーディング株式会社(法人301〜500名、製造・商社/卸売)の事例では、契約書のチェックと押印申請が別々のフローで進み締結まで約1週間を要していた状態から、業務フローがシステムに一本化されて承認が最短1日未満に短縮されたと記載されています。株式会社プログリット(法人51〜300名)の事例では、Salesforce連携により月77時間の工数削減と固定費抑制を実現したとされています。
これらは提供元が公表している事例であり、当編集部で数値を検証したものではありません。導入前後で担当者数や契約件数、他システムの変更が重なっていれば、差分のすべてを製品の効果と読むことはできません。事例から読み取るべきなのは削減時間の大きさではなく、「押印申請と契約チェックが別フローだった」「契約情報が分散していた」という導入前の状態が自社と重なるかどうかです。
よくある質問
2,480円で電子契約のすべての機能が使えますか
使えません。法人向け料金ページのよくあるご質問に「『ひとり法人プラン』『スモールビジネスプラン』『ビジネスプラン』では、契約書の送信・締結のみがご利用いただけます」と記載されています。社内申請ワークフローなどは問い合わせが必要です。
契約件数が増えると料金は上がりますか
上がりません。公式ページは、契約書の送信件数・保管件数による課金や上限設定はないと明記しています。料金は利用者数に応じて発生します。
フル機能の料金はどこで確認できますか
公開されていません。法人向け料金ページは、初期費用(初月のみ)、基本料金(利用者数に応じて)、オプションの3構成であることのみを示し、金額は問い合わせ扱いとしています。
年払いにするといくら安くなりますか
ひとり法人プラン、スモールビジネスプラン、ビジネスプランのいずれも、年払いにすると年間18,000円お得と表示されています。月額の差は3プランとも1,500円です。
解約したあとに契約書を取り出せますか
利用規約第14条第7項は、退会後に契約者のデータ等その他一切の情報を引渡さないと定めています。CSVエクスポートによる利用者自身でのバックアップに対応している旨がセキュリティの説明にあるため、契約期間中に出力してください。
公式一次情報
- マネーフォワード クラウド契約 法人向け料金(初期費用・基本料金・オプションの3構成、送信料と保管料が0円であること、件数課金と上限設定がないこと、法人向けプランで使える機能の範囲)
- マネーフォワード クラウド契約 製品ページ(フル機能と法人向けプランの機能内訳、法人向け2,480円/月〜・個人向け900円/月〜の表示、新リース会計基準への対応、セキュリティとバックアップの説明)
- マネーフォワード クラウド 料金・プラン(ひとり法人・スモールビジネス・ビジネス各プランの年払いと月払い、年間18,000円の差額、従量課金の例、キャンペーンの条件)
- マネーフォワード クラウド利用規約(第5条第5項・第6項 自動更新と返金、第14条 契約者の退会、第19条第2項 使用不能時間と減額)

