先に結論:勘定奉行iクラウドの料金は、利用人数ではなく仕訳伝票明細の件数で段が変わります。年間で何明細を起こすかを先に数えれば、E・J・A・B・Sのどのシステムを見積もるべきかがほぼ決まります。そのうえで、OBCが直接販売していないこと、契約が法人単位の年間契約であることの2点を踏まえて、販売パートナーへ何を聞くかを組み立ててください。
本稿の料金・上限・条件は、OBCの公式ページ(製品トップと料金体系)に掲載されている内容に基づいています。金額はいずれも公式表示の「〜」付きの下限で、税別です。実際の契約条件は販売パートナーの見積書と注文書で確定します。

勘定奉行iクラウドは、OBCから直接は買えない
製品選定を始める前に押さえておきたいのが販売の形です。OBCは料金体系ページのよくあるご質問で、奉行製品はOBCから直接の販売を行っておらず、奉行を取り扱うパートナー会社からの販売になると明記しています。つまり、公式サイトで見た金額はそのまま請求される金額ではなく、パートナー会社の見積書が最終的な条件になります。
この構造は、freee会計やマネーフォワード クラウド会計のようにWebから直接申し込む製品とは、比較の進め方が変わることを意味します。オンラインで完結する製品なら申込画面に総額が出ますが、勘定奉行iクラウドでは、公式の料金体系ページで「どのシステムを見積もってほしいか」を自分で決めてから問い合わせる形になります。逆に言えば、導入支援や運用サポートまで含めた提案を受けやすいのはこちらです。
料金の段は「仕訳伝票明細の件数」で決まる
公式の料金体系ページは、企業規模別のタブでシステムを並べています。小規模企業向けのEシステムから、管理会計向けのSシステム、さらに勘定奉行V ERPクラウドまで、上限の明細件数が段階的に上がる構成です。ユーザー数で階段を上る製品とは考え方が違うため、まず自社の年間明細件数を数えてください。

| システム | 月額(税別) | 年額(税別) | 初期費用(税別) | 仕訳伝票明細の上限 | 公式ページでの位置づけ |
|---|---|---|---|---|---|
| Eシステム | 7,750円〜 | 93,000円〜 | 0円 | 30,000明細 | スモールスタート向け(小規模企業向け) |
| Jシステム | 11,750円〜 | 141,000円〜 | 50,000円 | 100,000明細 | 小規模企業向け |
| Aシステム | 19,500円〜 | 234,000円〜 | 50,000円 | 300,000明細 | 仕訳の自動化等で生産性を上げたい場合 |
| Bシステム | 23,500円〜 | 282,000円〜 | 60,000円 | 300,000明細 | 多角的に会計情報を分析したい場合 |
| Sシステム | 28,000円〜 | 336,000円〜 | 70,000円 | 300,000明細 | 管理会計を実施したい場合 |
| 勘定奉行V ERPクラウド | 公式ページに表示なし | 公式ページに表示なし | 公式ページに表示なし | 2,000,000明細 | 監査や内部統制に対応したプロセス管理 |
表を縦に読むと、EからJへ上がるときは明細の上限が30,000から100,000へ、JからAへ上がるときは100,000から300,000へと、いずれも3倍前後で伸びています。一方で年額は93,000円→141,000円→234,000円と、上限ほどには増えません。件数が上限に近い状態で下の段にとどまるより、1段上を見積もったほうが結果的に安定することがあるのはこのためです。
A・B・Sの3つは上限がいずれも300,000明細で同じです。この3つの差は件数ではなく機能にあります。Bシステムには予算実績対比表、経営分析、部門グループ、比較予算が加わり、Sシステムには部門別損益把握(費用の配賦)、管理会計用の伝票区分での集計、自由な科目体系と部門体系が加わると公式ページに記載されています。件数だけで選ぶと、必要な帳票が入っていない段を選んでしまいます。
初期費用は0円と5万円以上に割れる
見落とされやすいのが初期費用の段差です。Eシステムだけが0円で、JとAは50,000円、Bは60,000円、Sは70,000円と設定されています。月額の差だけを見てJから検討を始めると、初年度の支出が想定より50,000円多くなります。
ただし例外が公式ページに明記されています。現在、勘定奉行11のOMSS LLS(Long Lifecycle Support)に加入している利用者が勘定奉行クラウドへ切り替える場合には、初期費用はかからないとされています。オンプレミス版から移行する会社は、まず自社がこの条件に当たるかを確認してください。当たるなら、Jシステム以上でも初期費用の段差は消えます。
標準は利用者1ユーザーと専門家1ユーザー
E・J・A・B・Sのいずれも、公式ページの記載は「利用者1ユーザー/専門家1ユーザー」です。つまり最小構成では、社内で操作する人が1名、顧問税理士など専門家が1名という前提になります。経理担当が2名いる、営業所ごとに入力させたい、といった運用では、ここに追加が乗ります。
専門家ライセンスについては、標準で1ライセンスが付属し、さらに必要な場合は追加できると明記されています。税理士法人と会計監査で別々のアカウントが要る場合や、記帳代行と申告支援を別の事務所へ依頼している場合は、追加の要否を見積もりの段階で伝えてください。
利用者数の変更は、導入後にいつでも追加できるとされています。したがって、初年度から人数を多めに見込んで契約する必要はありません。まず現在の担当者数で始め、決算期を1回まわしてから追加するほうが、無駄な固定費を抱えにくくなります。
年間の明細件数を数える手順
「自社が年に何明細を起こすか」は、意外と社内で共有されていません。次の順で概算してください。仕訳の件数ではなく、明細の件数である点に注意します。1件の仕訳が複数の明細行を持つ場合、行数で数えます。
| 数える対象 | 概算の出し方 | 上限に効く度合い |
|---|---|---|
| 銀行口座の入出金 | 直近3か月の明細行数の平均×12 | 大きい。口座数が多いほど増える |
| 法人カードの利用明細 | 枚数×月間利用件数×12 | 大きい。カードを従業員へ配ると急増する |
| 売上・請求の計上 | 月間の請求先数×平均行数×12 | 中程度。業種で幅が出る |
| 経費精算・小口現金 | 申請件数×平均行数×12 | 中程度。精算システムとの連携方法で変わる |
| 給与・社会保険の仕訳 | 月次で固定の行数×12+賞与月 | 小さいが毎月確実に積む |
| 決算整理・振替 | 前期の決算整理仕訳の行数 | 小さい。ただし期末に集中する |
合計が30,000明細に届かないならEシステムが射程に入ります。30,000を超えるが100,000未満ならJシステム、100,000を超えるならAシステム以上です。上限に近い数字が出たときは、翌期の成長と、これから連携する予定のシステムを足してから判断してください。法人カードを従業員に配る計画がある会社は、この1点で段が変わることがあります。
上限に達したときの逃げ道も用意されています。仕訳伝票明細件数は別途、拡張パックにより明細数を追加できると公式ページに記載されています。また、標準で300,000伝票明細まで登録可能なクラウドリソースが提供され、そこにはCPU・メモリ・データ・ストレージ・ネットワークが含まれるとされています。拡張パックの価格は公開されていないため、見積もりの段階で単価と追加単位を確認しておくのが安全です。
請求書の発行枚数は年60枚が標準
E・J・A・B・Sのすべてで「請求書発行件数:60枚/1年」と記載されています。月あたり5枚の計算です。会計ソフトの付随機能としての枠であり、請求業務の主戦場として使う想定にはなっていません。
取引先が10社を超える、毎月定額の請求を出しているといった会社では、この枠は初年度の途中で尽きます。請求書の発行を勘定奉行iクラウド側でまかなう前提で見積もると、後から別のサービスを足すことになります。適格請求書の発行機能はE・Jシステムの主な機能に挙げられていますが、枚数の上限とは別の話なので、両方を確認してください。
導入から稼働までは約1か月
公式ページのよくあるご質問には、勘定奉行iクラウドは導入してから約1か月で稼働できるとあり、データ移行や運用方法により導入にかかる時間は異なるという注記が添えられています。期首から使い始めたいなら、逆算して2か月前には見積もりを取り始める必要があります。
データ移行作業や導入設定・指導は依頼でき、勘定奉行iクラウド専用の導入支援サービス(別途費用)が用意されていると記載されています。会計業務に精通したインストラクターが指導を担当するとされています。ここが「別途費用」である点は、年額だけで予算を組むと外れる部分です。
契約は法人単位の年間契約
料金体系ページには「ご契約は法人単位で年間契約となります」と注記されています。月額表示があるため月単位で止められる印象を受けますが、年間の拘束がある前提で予算を立ててください。試してから決めたい場合は、契約ではなく30日間の無料お試しを使うのが筋です。
月額表示と年額表示の関係も確認しておきます。Eシステムは月額7,750円で年額93,000円、これは7,750円×12と一致します。Jシステムは11,750円×12=141,000円、Aシステムは19,500円×12=234,000円で、いずれも一致します。年額に割引が乗っているわけではなく、年間契約の総額を12で割った表示だと読めます。
プログラム更新とバージョンアップに費用はかからない
クラウド会計ソフトを比較するとき、更新費用の扱いは総額に効きます。公式ページのよくあるご質問では、プログラム更新やバージョンアップでコストはかからないと明記され、消費税改正への継続対応や将来の環境変化への対応が利用料に含まれていると説明されています。E・Jシステムの主な機能一覧にも「プログラム自動更新」が挙がっています。
オンプレミスの勘定奉行11から移行を検討している場合、この点は比較の軸になります。保守契約と改正対応の費用を毎年見込んでいた運用から、年額に含める運用へ変わるためです。移行前後で「毎年いくら変わるか」を並べると、上位システムの年額を吸収できることもあります。
セキュリティと運用の公表内容
| 項目 | 公式ページの記載 | 見積もり時に確かめること |
|---|---|---|
| データ保護 | すべてのデータを暗号化で保護 | 暗号化の対象範囲と鍵の管理主体 |
| 監視 | 24時間365日の運用監視 | 障害発生時の通知経路と連絡先 |
| 第三者評価 | 国際認証SOC1・SOC2報告書を取得 | 報告書の入手方法と対象期間 |
| 外部評価 | ASM評価で最高グレードのA評価を取得 | 評価の対象製品と時点 |
| 政府調達 | ISMAPに登録 | 登録されているサービス名の一致 |
| バックアップ | 自動バックアップでデータ保全 | 取得間隔、保持期間、復旧の依頼手順 |
SOC1・SOC2やISMAPは、社内の情報システム部門や監査法人から問われたときに根拠として示せる項目です。ただし、公表されているのは「取得している」「登録している」という事実で、報告書そのものは公開されていません。監査対応で報告書が必要になる会社は、入手可否と手続きを販売パートナーへ先に確認してください。
デジタル化・AI導入補助金の対象
よくあるご質問には、奉行iクラウドはデジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)を利用でき、最大75%補助で導入することが可能だと記載されています。あわせて、申請する類型によって補助率や補助額は異なるという注記が付いています。
補助金を前提に上位システムを選ぶ場合は、採択の可否と入金の時期を資金計画に織り込んでください。補助は事後に交付されるのが通常で、契約と支払いは先に発生します。採択されなかった場合でもその年額を払い続けられるかを、申請前に確かめておくのが安全です。
30日間の無料お試しで確かめられること
公式サイトには30日間無料お試しが用意されています。ここで確かめる価値が高いのは、機能の有無ではなく、自社のデータと運用に合うかどうかです。次の3点は、カタログを読んでも分からず、試用でしか分かりません。
第一に、既存データの取り込みです。Excel取込、入出金明細取込、カード利用明細取込がE・Jシステムの主な機能に挙がっていますが、自社の口座やカードの明細形式で実際に読めるかは試さないと分かりません。第二に、仕訳申請・承認のフローが社内の職務分掌と合うかです。第三に、会計帳票と決算報告書の出力が、税理士や金融機関へそのまま渡せる形かどうかです。
試用のデータをそのまま本番で使えるかは、公式ページの公開情報だけでは判断できません。移行の可否と手順は、試用を申し込む段階で販売パートナーに確認してください。
解約とデータの持ち出しは公開情報だけでは決まらない
公式の料金体系ページには、解約手続きや返金条件、解約後のデータ保持期間についての一律の記載は見当たりませんでした。販売がパートナー経由である以上、この部分は注文書と規約、パートナー各社の条件で決まると考えるのが自然です。
そのため、契約前に次の4点を書面で確認してください。解約の申し出期限(年間契約のいつまでに伝えれば次年度が発生しないか)、解約後にデータを取り出せる期間、取り出せる形式(仕訳・証憑・取引先・部門・権限・監査履歴のそれぞれ)、そして取り出しに費用がかかるかどうかです。会計データは法定の保存期間があるため、解約後に読めない形式でしか出せないと、保存義務を満たせなくなります。
他の4製品と比べるときの分かれ目
BIZEEのクラウド会計ソフト比較では、freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計 Next、勘定奉行iクラウド、PCAクラウド 会計の5製品を扱っています。勘定奉行iクラウドが向くのは、次のいずれかに当てはまる会社です。
ひとつは、仕訳明細の件数が多く、ユーザー数課金だと総額が読みにくい会社です。明細件数で段が決まる料金なので、担当者を増やしても段は変わりません。もうひとつは、管理会計の帳票を会計ソフト側で完結させたい会社です。部門別損益や配賦をSシステムが標準で持つため、表計算で組み直す工数を減らせます。三つめは、勘定奉行11からの移行で、OMSS LLS加入により初期費用が不要になる会社です。
逆に、担当者が1名で明細件数も少なく、Webで完結する申し込みと月単位の解約を望むなら、直販型の製品のほうが手数は少なくなります。どちらが正しいという話ではなく、購買の形と料金の決まり方が違うだけです。
販売パートナーへ渡す質問リスト
| 質問 | 公式ページで分かる範囲 | 見積書で埋めてもらう範囲 |
|---|---|---|
| 推奨するシステム区分と理由 | 各システムの上限と主な機能 | 自社の明細件数に対する根拠 |
| 初年度と2年目以降の総額 | 月額・年額・初期費用の下限 | 追加ユーザー、拡張パック、支援費用を含めた額 |
| 拡張パックの単価と追加単位 | 拡張パックで明細数を追加できること | 1単位あたりの明細数と価格 |
| 専門家ライセンスの追加費用 | 標準1ライセンス、追加可能 | 1ライセンスあたりの価格 |
| 導入支援サービスの内容と費用 | 別途費用であること | 作業範囲、日数、担当、成果物 |
| 解約の申出期限とデータ取り出し | 公開情報では確認できず | 期限、形式、費用、保持期間 |
この表の右列がすべて埋まった見積書がそろえば、他社製品と同じ土俵で総額を比べられます。左列だけで判断すると、公式表示の下限どうしを比べることになり、実際の支払額とはずれます。
拡張機能と他の奉行製品との連携
基本システムだけで完結しない業務は、拡張機能(拡張オプション)で足す設計になっています。公式の料金体系ページには、基本システムへ必要に応じて追加できる拡張機能として案内があり、詳細は拡張機能のページで確認する形です。基本システムの年額に含まれない範囲がここに切り出されているため、見積もりでは「拡張オプションを含む構成かどうか」を明示してもらってください。
製品トップの案内には、支払管理を債務奉行クラウドとの連携で扱うこと、固定資産の取得や減価償却費の仕訳を自動連携できること、会計データを申告業務へ自動連携できることが挙げられています。奉行シリーズで揃えるほど手入力が減る一方、製品ごとに契約が増えます。会計単体の年額で比較を始めた場合、周辺業務まで含めると総額の順位が入れ替わることがあります。
外部サービスとの接続についても記載があります。よくあるご質問では、利用中のPOSレジシステムや経費精算システムなどとAPIやCSVファイルを用いた連携が可能で、API連携が可能なサービスの一覧が公開されていると案内されています。自社で使っている周辺システムがその一覧にあるかどうかは、見積もりを依頼する前に自分で確かめておくと話が早く進みます。
担当者がいない場合の選択肢としてのBPaaS
経理担当が1名しかいない、あるいは採用できていない会社では、ソフトを入れても運用が回らないことがあります。OBCはよくあるご質問で、業務のアウトソーシングには「奉行クラウドBPaaS」を利用できると案内しています。奉行クラウドと業務のアウトソーシングサービスを組み合わせ、バックオフィス業務の効率化と安定運用を支援するサービスだと説明されています。
解決を支援する課題として挙げられているのは、担当者の退職による業務停滞、人手不足、業務の属人化の3つです。料金は状況に合わせた提案となるため公開されていません。ソフトの年額だけを比べて「安いほうを入れたが誰も操作できない」という結末を避けたい会社は、ソフト単体の見積もりと、BPaaSを含む見積もりの両方を出してもらい、人件費まで含めた総額で比べてください。
まとめ
勘定奉行iクラウドは、仕訳伝票明細の件数で段が決まる会計ソフトです。Eシステムは月額7,750円・年額93,000円・初期0円で30,000明細、Jシステムは月額11,750円・年額141,000円・初期50,000円で100,000明細、A・B・Sは300,000明細で機能によって分かれます。いずれも利用者1ユーザーと専門家1ユーザーが標準で、請求書の発行は年60枚です。
販売はOBCの直販ではなくパートナー経由で、契約は法人単位の年間契約です。導入から稼働までは約1か月、導入支援は別途費用、プログラム更新とバージョンアップの費用はかかりません。解約と返金、データの取り出し条件は公開情報だけでは確定できないため、注文書と規約で必ず確認してください。年間の明細件数を数えることから始めれば、見積もり依頼の精度は大きく上がります。
クラウド会計ソフトの関連ページ
公式一次情報
料金と仕様は改定されます。申し込みの直前に、公式ページと販売パートナーの見積書で最新の条件をご確認ください。

