請求書発行システム比較|料金・課金の増え方・送付方法を現行5製品で検証【2026年】

請求書発行システム5製品を比較というタイトルのアイキャッチ画像。請求書の書類イラストを配置

請求書発行システムは、月1,200円から始められるものと、初期費用10万円に月25,000円を足すものが同じ名前で並んでいます。この差は機能の優劣ではなく、想定している発行件数と業務範囲の違いです。したがって「どれが一番いいか」を先に決めても選べません。先に決めるべきなのは、自社の請求業務で何が増えていくのかです。人が増えるのか、枚数が増えるのか、扱う機能が増えるのか。ここが定まれば、候補は2〜3に絞れます。

この記事では、現在利用できる5製品について、各社の公式料金ページに記載された金額と条件だけを使って比較します。いずれも2026年9月5日時点の公表内容です。金額はすべて税抜表示です。

先に結論

  • 料金の増え方は「人数で増える型」「件数で増える型」「機能で増える型」の3通り。自社の増え方に合う型を選ぶのが最短です。
  • 月10通までならMisocaの無料プランで基本利用料は0円。ただし同時利用は不可で、郵送は対象外です。
  • 担当者が多く、件数はそこまで多くないならboard。アカウント全体の月額で、1名1,200円/3名2,400円/15名4,900円/50名7,900円です。
  • 他のバックオフィス製品とそろえたいならマネーフォワード クラウド請求書。年払いで月2,480円から、4名以上は1名300円の従量です。
  • 無料から試して必要に応じて広げたいならfreee請求書。無料プランがあり、一括発行は送信料4,750円/月〜が別途かかります。
  • 発行件数が多く、郵送代行や債権管理までまとめたいなら楽楽明細。初期100,000円+月額25,000円〜です。

請求書発行システムが引き受ける業務の範囲

比較に入る前に、この分野の製品が何をするものなのかを確認しておきます。名前は「請求書発行」ですが、実際に扱う範囲は製品によってかなり違い、その違いが料金の差にそのまま出ています。

もっとも狭い範囲は「作って出す」ところまでです。取引先と品目を登録し、金額を入力すると請求書のPDFができる。これだけならExcelのテンプレートでもできますが、システムにすることで採番が自動になり、過去の請求から複製でき、消費税の端数処理が統一されます。ここを担うのがMisocaの無料プランやfreee請求書の無料プランです。

次の段は「送る」ところです。作った請求書をメールで送る、あるいは郵送を代行してもらう。一括で数百通を処理できるかどうかが、ここでの分かれ目になります。freee請求書がスタンダード以上で一括発行と郵送代行に対応し、送信料金を別建てにしているのは、この工程のコストが件数に比例するためです。

さらに広い範囲が「回収まで見る」ところです。入金があったかどうかを確認し、請求データと突き合わせ、未入金を洗い出す。この入金消込は、請求件数が増えるほど手作業では回らなくなる工程です。freee請求書のアドバンスが入金明細の自動取得と債権管理・入金消込の自動化を含み、楽楽明細が債権管理オプションを用意しているのは、ここに需要があるからです。

最後に、請求の前工程まで含める製品があります。boardは見積・受注・案件管理・発注管理を同じ画面で扱えるため、案件が動くたびに請求データが自動的にたまっていきます。請求書の作成が「入力作業」ではなく「案件の締め」として発生する構造です。

自社が今どこで詰まっているのかを先に特定してください。作るのが遅いのか、送るのが手間なのか、入金確認が追いつかないのか、案件と請求がつながっていないのか。詰まっている工程を担わない製品を入れても、体感は変わりません。

この記事の掲載基準と除外基準

比較の前提を先に開示します。掲載順は広告報酬では決めていません。

掲載した基準

  • 2026年9月5日時点で新規申し込みを受け付けている
  • 提供会社の公式サイトに料金が記載されている、または料金の決まり方が明示されている
  • 請求書の作成から送付までを1つのサービスで完結できる
  • 法人・個人事業主が単独で契約できる(会計事務所経由の限定提供でない)
除外した基準

  • 料金の記載も、料金の決まり方の記載もない
  • 受注・請求の「受け取り側」に特化していて、発行の用途に合わない
  • 提供終了・新規受付停止が告知されている
  • 会計ソフトの付属機能で、単独では契約できない

各製品の料金・条件は、それぞれの公式料金ページで確認しています。記事の末尾に出典を一覧で置いています。公式ページに記載がない項目は「記載なし」と書き、推測で埋めていません。

月額の出発点は製品ごとに大きく違う

請求書発行システム5製品の月額料金レンジを比べた図。boardは1,200円から7,900円、Misocaは0円から9,500円、freee請求書は0円から10,000円、マネーフォワードは2,480円から6,480円、楽楽明細は25,000円から
各社の公式料金ページに記載された金額をもとに作成。すべて税抜。

横に並べると、価格帯が2つに分かれているのが分かります。月1万円までに収まる4製品と、初期費用を含めて桁が違う楽楽明細です。ここで「高い=良い」「安い=機能不足」と読むと判断を誤ります。楽楽明細は発行件数が多い企業を前提にしており、1通あたりで見れば逆転することがあるためです。逆に、月10通しか出さない会社が楽楽明細を選ぶ理由は基本的にありません。

5製品の料金一覧

表1:料金・初期費用・無料枠(2026年9月5日時点/税抜)
製品提供会社初期費用月額(最小〜最大)無料で使える範囲無料トライアル
boardヴェルク株式会社0円1,200円〜7,900円なし30日間
Misoca弥生株式会社0円0円〜9,500円
(年額の月換算)
無料プランで月10通まで有償プランは初年度無償キャンペーンあり
freee請求書フリー株式会社0円0円〜10,000円無料プランあり(個別発行)記載なし
マネーフォワード クラウド請求書株式会社マネーフォワード0円2,480円〜6,480円
(年払い時の月額)
なし1か月(クレジットカード登録不要)
楽楽明細株式会社ラクス100,000円〜25,000円〜なしトライアル環境あり

freee請求書の月額には注意が必要です。基本料金とは別に「送信料金」の欄があり、一括発行を使う場合は4,750円/月〜(年払い57,000円/年〜)が加算されます。無料プランとスタンダードプランの差は基本料金の1,980円だけではありません。楽楽明細も同様で、月額25,000円〜という表記の「〜」は発行件数とオプションによる変動を意味します。表の数字は出発点であって、請求額そのものではありません。

料金の「増え方」で3つに分かれる

請求書発行システムの課金モデルを3種類に分けた図。人数で増える型、件数で増える型、機能で増える型のそれぞれの計算式と該当製品
各社の公式料金ページに記載された課金単位をもとに整理。
表2:課金の単位と、増えるときに何が効くか
製品課金の単位人が増えたとき発行件数が増えたとき
boardプラン(アカウント全体の金額)1名→3名→15名→50名でプランが上がる。51名以上は1名300円料金は変わらない
マネーフォワード クラウド請求書プラン+4名以上は人数従量4名以上は1名につき300円料金は変わらない
Misoca月間の請求書作成通数同時利用の上限がプランで決まる(無料は不可、15=2名、100=5名、1000=30名)10通→15通→100通→1000通でプランが上がる
楽楽明細発行件数とオプション公式ページに人数課金の記載なし月額が変動する(発行件数が増えるほど1件あたりの単価は下がると案内)
freee請求書プラン+送信料金無料は1〜3人。スタンダード以上はユーザー無制限一括発行の送信料金が加算される

この表の使い方は単純です。自社の請求業務で今後増えるものに丸を付け、その列で不利にならない製品を残します。たとえば営業担当が20名いて各自が請求書を起票する会社なら、人数で増える型はコストが跳ねます。逆に経理2名で月800通を出す会社なら、人数課金の製品のほうが安く収まります。

「安いプランから始めて、後で上げればいい」は半分しか正しくありません。プラン変更そのものは多くの製品でできますが、boardは「途中で変更した場合、変更後の料金は次回の決済時から適用(日割りはありません)」と案内しています。Misocaの初年度無償キャンペーンは年契約が条件です。契約単位と切り替えのタイミングは、申し込み前に確認してください。

発行件数と人数で候補を絞る

月の発行件数と請求に関わる人数の組み合わせで、適した請求書発行システムを示したマトリクス図
各社の公式料金ページに記載された上限・課金単位から整理。同じマスに複数の製品が入ることもあります。

マトリクスの読み方で注意したいのは、左上(少人数・少件数)ほど選択肢が広く、右下(多人数・多件数)ほど狭くなることです。少件数なら無料や低額のプランで足りますが、件数が増えると郵送代行や入金消込といった周辺業務が効いてきて、単価だけでは選べなくなります。

送付方法とその単価

請求書発行システムの導入効果は、作成の手間より「送る手間」で決まることが多いものです。電子送付に切り替えられる取引先と、紙でないと受け取らない取引先が混在するのが実情で、後者の処理をシステム側に寄せられるかが分かれ目になります。

表3:送付方法と公式に記載されている単価
製品メール送付郵送代行FAX送信備考
board対応(メール送信元はBasic以上で変更可)1通195円(税込・切手代込)記載なしヘルプの目次に「書類発行(メール・郵送・Peppol)」の項目がある
Misoca対応210円(税抜)/通。無料プランは対象外60円(税抜)/通。無料プランは対象外決済サービスは無料プランがカード決済のみ
freee請求書対応一括のメール送付・郵送代行はスタンダード以上記載なし無料プランは個別発行のみ
マネーフォワード クラウド請求書対応公式料金ページに単価の記載なし記載なし見積書・納品書・請求書・領収書の作成とワンクリック変換を明記
楽楽明細対応郵送代行をオプションとして案内(単価の記載なし)記載なし債権管理オプションもあり

郵送代行の単価は、件数が多いほど月額への影響が大きくなります。月100通を郵送するなら、Misocaで21,000円(税抜)、boardで19,500円(税込)が基本料金とは別にかかる計算です。システムの月額だけを比べて「安い」と判断すると、実際の請求額と大きくずれます。

boardの公式ヘルプに掲載された利用料金のページ。プラン別の月額料金と利用可能人数の表が表示されている画面
出典:board「boardのご利用料金について」。プラン別月額料金は「ユーザー1名分の金額ではなくアカウント全体の金額」と注記されています。(2026年9月5日時点の公表内容)

現行5製品のサマリー

board(ヴェルク株式会社)

Personal 1,200円/Basic 2,400円/Standard 4,900円/Premium 7,900円(いずれも月額・税抜)。初期費用0円、無料お試し30日間。

見積から請求、さらに案件管理・発注管理までを1つで扱える構成です。プラン別の月額はアカウント全体の金額で、利用可能人数はPersonal 1名のみ、Basic 3名、Standard 15名、Premium 50名。51名以上は1ユーザーあたり月額300円(税抜)で追加できます。「boardを利用する人」だけでなく「案件・発注の担当者として選択できる人」もカウント対象である点は、人数を見積もるときに効いてきます。

他製品と比べた強み

  • 発行件数で料金が動かないため、少人数で大量に出す会社は1通あたりが下がる
  • Personalが月1,200円で、単独で使える価格帯としては低い
  • 郵送代行の単価(1通195円・税込・切手代込)が公式ページに明記されている
他製品と比べた弱み

  • 無料プランがない。Misocaやfreee請求書のように0円で使い続ける選択はできない
  • Personalは「個人(法人不可)」と明記されており、法人はBasic以上になる
  • 人数が増えるとプランが上がるため、営業担当が多い組織ではコストが伸びやすい

boardの料金・機能・解約条件を詳しく見る

Misoca(弥生株式会社)

無料プラン 0円(月10通)/プラン15 年8,800円+税/プラン100 年33,500円+税/プラン1000 年114,000円+税。初期費用0円。

月10通までなら基本利用料が0円で使い続けられます。有償プランは年契約で、月あたりに換算するとプラン15が733円+税、プラン100が2,791円+税、プラン1000が9,500円+税です。2027年3月31日までの申し込み分を対象に、有償プランを初年度無償とするキャンペーンが案内されています。適用には年契約と、自動更新の決済方法を口座振替またはクレジットカードで登録することが条件です。

他製品と比べた強み

  • 月10通までの無料プランが恒常的にあり、開業直後でも費用が発生しない
  • 郵送210円(税抜)/通、FAX 60円(税抜)/通と、送付単価が公式ページに明記されている
  • 初年度無償キャンペーンにより、有償プランの試用期間が実質1年になる
他製品と比べた弱み

  • 無料プランは同時利用が不可。複数人で同時に触る運用はできない
  • 有償プランでも同時利用は15=2名、100=5名、1000=30名と上限がある
  • 通数の上限を超えるとプランを上げる必要があり、繁忙月がある会社は上限に触れやすい

Misocaの料金・機能・解約条件を詳しく見る

freee請求書(フリー株式会社)

無料 0円/スタンダード 1,980円/月(年23,760円)/アドバンス 10,000円/月(年120,000円)。いずれも初期費用0円、税抜。一括発行の送信料金は4,750円/月〜(年57,000円〜)が別途。

無料プランでも請求書・見積書・納品書・発注書・領収書の個別発行と帳票の変換ができます。定期請求は1件まで、ユーザーは1〜3人です。スタンダードにすると一括発行、メール送付・郵送代行(一括)、合算請求・分割請求、定期請求の無制限が使えるようになります。アドバンスはさらに入金明細の自動取得、債権管理・入金消込の自動化、仕訳の自動作成まで含みます。

他製品と比べた強み

  • 無料プランで個別発行まで完結でき、初期投資なしで運用を試せる
  • アドバンスで入金消込と仕訳作成まで自動化でき、経理の後工程まで一本化できる
  • スタンダード以上はユーザー数の上限がなく、人が増えても基本料金は変わらない
他製品と比べた弱み

  • 一括発行を使うと送信料金4,750円/月〜が加算され、表示上の月額と実額が離れる
  • 無料プランは定期請求が1件までで、継続課金の請求には向かない
  • 公式料金ページに無料トライアルの記載がなく、有償機能の事前検証は資料請求経由になる

freee請求書の料金・機能・解約条件を詳しく見る

マネーフォワード クラウド請求書(株式会社マネーフォワード)

ひとり法人 年払い2,480円/月(一括29,760円/年)・月払い3,980円/月/スモールビジネス 年払い4,480円/月(53,760円/年)・月払い5,980円/月/ビジネス 年払い6,480円/月(77,760円/年)・月払い7,980円/月。初期費用0円、税抜。

法人向けは利用者数で3段階に分かれます。ひとり法人プランは1名まででアカウント追加不可、スモールビジネスプランは3名まででアカウント追加不可、ビジネスプランは利用人数が無制限で4名以上から1名につき300円の従量課金です。無料トライアルは1か月で、クレジットカードの登録は不要、トライアル終了後に自動課金されずデータも保持されると案内されています。

他製品と比べた強み

  • クレジットカード登録なしで1か月試せる。試用のハードルが5製品で最も低い
  • 会計・給与・経費精算など同社の他製品と同じ基盤にそろえられる
  • ビジネスプランは利用人数が無制限で、人数の上限に当たらない
他製品と比べた弱み

  • 無料プランがなく、少額利用でも月額が発生する
  • ひとり法人・スモールビジネスはアカウント追加ができず、人数超過時はプラン変更が必要
  • 公式料金ページに郵送代行の単価が記載されておらず、紙の送付コストを事前に見積もりにくい

マネーフォワード クラウド請求書の料金・機能・解約条件を詳しく見る

楽楽明細(株式会社ラクス)

初期費用100,000円(税抜)※帳票デザインのカスタマイズが必要な場合は別途。月額25,000円〜(税抜)。無料で試用できるトライアル環境あり。

月額費用は帳票発行件数やオプションに応じて変動すると案内されており、詳細な料金表は資料請求で提供される形です。債権管理オプションや郵送代行など、発行後の業務まで含めたオプションが用意されています。他の4製品が「まず作って送る」を主眼にしているのに対し、こちらは既存の基幹システムから出力した帳票データを取り込み、電子と紙に振り分けて配信する用途に軸足があります。

他製品と比べた強み

  • 発行件数が増えるほど1件あたりの単価が下がると案内されており、大量発行に向く
  • 債権管理オプションや郵送代行など、発行後の業務までオプションでまとめられる
  • 無料で試用できるトライアル環境が用意されている
他製品と比べた弱み

  • 初期費用100,000円(税抜)が必要で、小規模での導入判断はしにくい
  • 公式ページで月額の内訳が確定せず、資料請求と見積もりが前提になる
  • 帳票デザインのカスタマイズには別途費用がかかると明記されている

楽楽明細の料金・機能・解約条件を詳しく見る

用途別に見た適合

表4:会社の状況ごとの適合と、外れる理由
会社の状況合いやすい製品合いにくい製品と理由
開業直後で月数通Misoca 無料プラン、freee請求書 無料プラン楽楽明細(初期費用10万円が回収できない)
経理1〜2名で月100〜300通Misoca プラン1000、freee請求書 スタンダードboard Premium(人数が少なく、上位プランの人数枠が余る)
営業20名が各自で起票freee請求書 スタンダード以上(ユーザー無制限)、board PremiumMisoca(同時利用の上限がプランで決まる)
月1,000通超、紙の送付が多い楽楽明細Misoca 無料プラン(郵送が対象外)
入金消込まで自動化したいfreee請求書 アドバンス、楽楽明細(債権管理オプション)board Personal(対象が個人で法人不可)
他のバックオフィス製品とそろえたいマネーフォワード クラウド請求書、freee請求書—(単体で完結する製品でも運用は可能)

比較のときに見落とされやすい5点

freee請求書の公式サイトに掲載された料金プランのページ。無料・スタンダード・アドバンスの3プランの基本料金と送信料金の表が表示されている画面
出典:freee請求書「料金プラン」。基本料金とは別に「送信料金(一括発行)」の行があり、一括発行を使う場合は4,750円/月〜が加算されます。(2026年9月5日時点の公表内容)
表5:申し込み前に確認する項目
確認項目なぜ効くのか確認先
ユーザー数の数え方boardは「案件・発注の担当者として選択できる人」もカウント対象。ログインしない人も人数に入る場合がある各社のヘルプ・料金ページ
送信料金・郵送単価基本料金と別建てのことがある。件数が多いほど総額への影響が大きい料金ページの内訳
年契約かどうかMisocaの初年度無償キャンペーンは年契約が条件。月次で止められない場合があるキャンペーンの適用条件
プラン変更の反映時期boardは変更後の料金が次回の決済時から適用され、日割りはないと案内ヘルプの料金FAQ
帳票レイアウトの自由度取引先の指定様式に合わせられるか。楽楽明細はカスタマイズに別途費用トライアルで実物を出力して確認

とくに1つ目は見積もりが狂う原因になります。「請求書を作る人は2人だから3名までのプランで足りる」と考えていたのに、担当者として名前が載る営業10名分のアカウントが必要だった、というずれが起きます。人数の定義は製品ごとに違うため、料金ページの注記まで読んでください。

導入の進め方

候補を2〜3に絞ったら、次は実物で確かめます。カタログ比較で分かるのは料金と機能の有無までで、実際に使えるかどうかは帳票の見た目と送付の手触りで決まります。

表6:無料期間で確認すること
確認すること具体的な手順合格の目安
帳票の見た目実際の取引先1社分の請求書を作り、PDFで出力する先方の指定項目がすべて載り、追記なしで送れる
送付の手順社内のテスト用アドレスへメール送付する宛先・件名・本文が自社の運用に合わせられる
定期請求毎月同額の請求を1件登録し、翌月分が自動で作られるか見る金額・明細・請求日が意図どおりに生成される
権限担当者アカウントを1つ作り、見える範囲を確認する他の担当の案件が見えない設定にできる
出力請求データをCSVなどで書き出す会計ソフトへ取り込める形式で出せる

最後の「出力」は解約時にも効きます。データを取り出せない製品を選ぶと、乗り換えのときに過去の請求履歴を失います。無料期間のうちに、出せることを確認しておいてください。

制度対応は「システムを入れたら終わり」ではない

請求書発行システムを検討する動機として、インボイス制度と電子帳簿保存法への対応が挙がることがよくあります。ただし、システムを導入すれば自動的に要件を満たせるわけではありません。制度が求めているのは、記載事項がそろっていること、そして受け渡ししたデータを定められた方法で保存することです。どちらも、システムの設定と社内の運用が伴ってはじめて成立します。

具体的には、次の3つを分けて考える必要があります。第一に、発行する請求書に必要な項目が漏れなく入る設定になっているか。第二に、電子で送った請求書の控えを、自社側でどう保存するか。第三に、取引先から電子で受け取った請求書をどう保存するか。請求書発行システムが担うのは主に第一と第二で、第三は別の仕組みが必要になることがあります。「発行」と「受領」は別の業務であり、片方に対応した製品がもう片方も満たすとは限りません。

製品選びの段階では、次の観点で確認しておくと後戻りが減ります。発行した帳票の控えをシステム内に保存し続けられるのか、それとも一定期間で消えるのか。保存されているデータを検索できるのか。解約後にデータを取り出せるのか。boardは登録データ量を「制限なし」と案内し、外部ファイル保管はBasicで1GB、Standardで5GB、Premiumで10GBと段階を設けています。こうした保存側の条件は、料金表の下のほうに小さく書かれていることが多いため、見落とされがちです。

弥生のMisocaの公式サイトに掲載された料金プランのページ。初期費用0円、月10通までは基本利用料0円、従量課金の3要素が表示されている画面
出典:弥生「請求書作成ソフト『Misoca』料金プラン」。料金が「初期費用」「基本利用料」「請求書作成枚数・オプションに応じた従量課金」の3つで構成されることが図示されています。(2026年9月5日時点の公表内容)

乗り換えと解約で詰まりやすいところ

導入時に検討されるのに、解約時のことは検討されないまま契約が進むことがあります。請求書は取引の証跡であり、あとから参照する必要が生じます。乗り換えを前提に見ておくべき点を挙げます。

表7:乗り換え・解約で確認する項目
確認項目何が起きるか先に取っておく手
過去データの取り出し解約後に請求履歴を参照できなくなる可能性がある無料期間中にCSVやPDFで一括出力できるかを試す
取引先マスターの移行取引先が数百件あると再入力が現実的でないインポート機能の有無と、受け付ける形式を確認する
請求書番号の連番途中から番号がリセットされ、社内の管理台帳とずれる採番ルールを設定できるかを確認し、切替月を決める
定期請求の再設定継続課金の契約が多いほど移行の作業量が増える定期請求の登録件数を数え、移行にかかる工数を見積もる
解約のタイミング年契約だと期中解約でも料金が残ることがある契約単位(月次/年次)と、途中解約時の扱いを確認する

移行を実際に行うなら、月初でも月末でもなく、請求件数が少ない月を選ぶのが定石です。旧システムと新システムを1か月だけ並行させ、同じ請求書を両方で作って突き合わせると、設定の抜けが見つかります。並行期間の費用は二重にかかりますが、請求ミスの回復コストに比べれば小さく済みます。

クラスター内の関連ページ

年額で比べ直すと順番が変わることがある

月額の表示だけを並べると、実際の負担順とずれることがあります。年払いの割引、初年度のキャンペーン、初期費用、送付の従量分を足して、12か月の総額で並べ直してください。

たとえば、経理2名で月80通を発行し、そのうち30通を郵送する会社を想定します。Misocaのプラン100なら年33,500円(税抜)に、郵送210円×30通×12か月=75,600円(税抜)が加わり、年間およそ109,100円です。boardのBasicなら月2,400円×12か月=28,800円(税抜)に、郵送195円×30通×12か月=70,200円(税込)が加わります。基本料金だけを見るとMisocaのほうが高く見えますが、初年度無償キャンペーンが適用されれば初年度の基本料金は0円になります。条件によって順番が入れ替わるということです。

ここで重要なのは、どちらが安いかという結論ではなく、比較の単位をそろえることです。基本料金だけ、月額だけ、初年度だけ、といった切り取り方をすると、どの製品にも「安く見せる」並べ方が存在してしまいます。自社の件数と人数を入れた12か月の総額を、同じ様式で全候補について出す。これをやらずに決めた選定は、1年後にほぼ確実に見直しが必要になります。

なお、上の試算は各社の公式ページに記載された単価を機械的に掛け合わせたものです。実際の請求額は契約内容、オプション、キャンペーンの適用可否で変わります。見積もりは各社から取得してください。

もうひとつ、年払いと月払いの差も無視できません。マネーフォワード クラウド請求書のビジネスプランは、年払いで月6,480円、月払いで月7,980円です。1か月あたり1,500円、年間では18,000円の開きになります。同社の料金ページにも「月払いより18,000円お得」と表示されています。年払いは途中解約の自由度と引き換えに単価が下がる仕組みなので、導入初年度は月払いで様子を見て、運用が固まってから年払いへ切り替えるという進め方も選べます。

マネーフォワード クラウド請求書の公式サイトに掲載された法人向け料金プランのページ。ビジネスプランの年払い月6,480円と月払い月7,980円が表示されている画面
出典:マネーフォワード「クラウド請求書 中小企業向け料金プラン」。法人向けは「新設法人 1名まで」「小規模企業 3名まで」「中小企業 4名以上」の3区分で表示されます。(2026年9月5日時点の公表内容)

よくある質問

無料で使える請求書発行システムはありますか

あります。Misocaは無料プランで月10通まで基本利用料0円、freee請求書も無料プランで個別発行ができます。ただしMisocaの無料プランは同時利用が不可で郵送は対象外、freee請求書の無料プランは定期請求が1件までです。

いちばん安いのはどれですか

条件によって変わります。月10通以内ならMisocaの無料プランが0円です。人数が多く件数が少ないならboard、件数が多く人数が少ないならMisocaやfreee請求書が有利になりやすい構造です。単純な月額の比較では決まりません。

初期費用はかかりますか

board、Misoca、freee請求書、マネーフォワード クラウド請求書は初期費用0円と記載されています。楽楽明細は初期費用100,000円(税抜)で、帳票デザインのカスタマイズが必要な場合は別途費用がかかると案内されています。

郵送は代行してもらえますか

boardは1通195円(税込・切手代込)、Misocaは210円(税抜)/通と単価を公表しています。freee請求書はスタンダード以上で一括の郵送代行に対応、楽楽明細はオプションとして案内されています。マネーフォワード クラウド請求書は公式料金ページに単価の記載がありません。

試してから決められますか

boardは30日間の無料お試し、マネーフォワード クラウド請求書は1か月の無料トライアル(クレジットカード登録不要)、楽楽明細は無料のトライアル環境が案内されています。Misocaは無料プランと初年度無償キャンペーンで実質的に試せます。freee請求書は公式料金ページに無料トライアルの記載がありません。

途中でプランを変更できますか

boardは「プランはいつでも変更可能」としつつ、変更後の料金は次回の決済時から適用され日割りはないと案内しています。他の製品も変更自体は可能ですが、年契約の扱いはそれぞれ異なるため、申し込み前に確認してください。

会計ソフトとの連携は必要ですか

必須ではありません。ただし請求データを手作業で会計ソフトへ入力しているなら、そこが最も時間を使う工程になります。freee請求書のアドバンスは仕訳の自動作成まで含み、マネーフォワード クラウド請求書は同社の他製品と同じ基盤で使えます。

出典(すべて2026年9月5日確認)

料金・プラン・キャンペーンは改定されます。申し込みの前に、必ず各社の公式ページで最新の条件を確認してください。この記事は公式に公開されている情報を整理したもので、導入の可否や適合を保証するものではありません。

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