予約システムの料金を比べようとして、各社の月額を並べた表を作ったことがある人は多いと思います。ところが、その表はほとんど判断の役に立ちません。月額1,650円のサービスが条件によって最も高くなり、月額22,000円のサービスが最も安くなることが起きるからです。
原因は、各社が料金を連動させている対象が違うことにあります。この記事では、主要サービスの公式料金ページを2026年10月12日に読んだうえで、料金の決まり方を3つの型に分け、自社がどの型に当てはまるかを判断する手順を示します。
月額を並べた表が役に立たない理由
月額という言葉は同じでも、その金額で何ができるかの定義が各社で違います。たとえば月5,500円という同じ金額でも、あるサービスでは月200件までの予約を受け付けられ、別のサービスでは件数の上限がありません。さらに別のサービスでは、件数は無制限でも1か月より先の予約を入れられません。
この状態で月額だけを並べると、「安い順」は作れても「条件を揃えた比較」にはなりません。条件を揃えるには、各社が何を基準にプランを分けているかを先に把握する必要があります。
型① 月間予約件数に連動する
最も一般的なのがこの型です。プランごとに月間で受け付けられる予約の件数が決まっており、件数が増えると上のプランへ移るか、超過分の料金を払うことになります。
| サービス | 最安有料プランの件数と月額 | 最上位の件数と月額 | 超過したとき |
|---|---|---|---|
| RESERVA | 200件/年払3,850円 | 4,000件/年払46,200円 | 料金ページに従量課金の記載なし |
| STORES 予約 | 200件/9,790円 | 5,000件/66,000円 | 50件ごと1,078円 |
| ChoiceRESERVE | 300件/22,000円 | 10,000件/176,000円 | 100件ごと3,300円 |
この型を選ぶときに確認すべきなのは、件数そのものより「何を1件と数えるか」です。たとえばChoiceRESERVEは、キャンセルされた予約も課金の対象に含めると料金FAQに明記しています。電話で受けた予約をスタッフが管理画面へ入力した分も1件として数えられます。
この定義は社によって違う可能性がありますが、料金ページに書かれていないことが多いのが実情です。比較の過程で確認できなかった場合、見積もりの段階で書面に残して尋ねるのが確実です。
型② 件数に連動しない
予約を何件受け付けても月額が変わらない設計です。この記事で扱った範囲では、Airリザーブがこの型にあたります。公式の費用プラン別機能比較表では、月額0円のフリープランを含む4プランすべてで月間予約件数が無制限と示されています。

この型では、プランを分ける基準が機能に移ります。リソース管理や予約枠の色分け、Googleカレンダー連携、権限の細分化といった項目のどれが必要かで選ぶことになります。
件数が読めない運用や、施策の成功によって予約が増える運用では、この型のほうが予算を立てやすくなります。集客に成功するほどシステム費用が増えるという関係が生じないためです。
型③ 受付できる期間に連動する
件数でも機能でもなく、何日先までの予約を受け付けられるかでプランが決まる型です。SelectTypeがこれにあたります。
図1 3つの型の判断軸
型① 件数連動
月に何件受けるか
件数が増えると費用が増える。上限に近い運用では、超過単価と課金の単位を確認する。キャンセル分を数えるかどうかで実質的な上限が変わる。
型② 件数非連動
どの機能が必要か
件数では費用が動かず、機能の要否でプランが決まる。件数の見積もりが不要になるぶん、必要な機能の洗い出しが判断の中心になる。
型③ 受付期間連動
何日先まで受けるか
7日後・30日後・90日後・366日後といった区切りでプランが決まる。件数が多くても受付が直近だけなら安く収まり、逆に件数が少なくても1年先を受けるなら上位プランが要る。
この型の特徴は、件数と費用が無関係になることです。当日と翌日の予約しか扱わない運用であれば、月に1,000件を受け付けても無料のプランで動きます。逆に、年次の健康診断のように1年先の予約を受け付ける必要があるなら、月の予約が10件でも最上位プランが必要になります。
自社がどの型に合うかを決める3つの数字
見積もりの前に測っておく数字
- 月間の予約受付件数(平均と最大)。キャンセルを含めた受付の総数で数えます。電話やメールで受けた予約をシステムに入力している場合は、その分も足します。
- 最も先の予約がいつか。受付画面を開いたときに、何日後まで枠を出す必要があるかです。1週間、1か月、3か月、1年のどこに入るかで候補が変わります。
- 予約時に決済するかどうかと、その月額。決済するなら、手数料率が月額より大きな金額になることがあります。
この3つが分かると、型が絞られます。最大件数が平均の2倍を超えるなら型②が候補に入り、受付が1か月以内で収まるなら型③が最も安くなります。件数が安定していて受付期間も長いなら、型①の中で件数の区切りが自社に合うものを選ぶことになります。
件数別に、型ごとの年額を計算する
実際に数字を当てはめてみます。この試算で足しているのは各プランの基本料金と初期費用だけで、決済にかかる手数料や追加オプションの費用は入れていません。受付期間は30日以内という前提です。
| 月間件数 | 型③の最安 SelectType | 型② Airリザーブ | 型①の最安 |
|---|---|---|---|
| 40件 | 0円(フリー・7日先まで) | 0円(フリー) | 0円(RESERVAフリー・月50件まで) |
| 180件 | 19,800円(ベーシック) | 0円(フリー) | 0円(Airリザーブ以外は有料に移行) |
| 400件 | 19,800円(ベーシック) | 66,000円(ベーシック) | 79,200円(RESERVAシルバー年払) |
| 1,500件 | 19,800円(ベーシック) | 132,000円(スタンダード) | 277,200円(RESERVAエンタープライズ年払) |
| 6,000件 | 19,800円(ベーシック) | 132,000円(スタンダード) | 792,000円(STORES 予約エンタープライズ66,000円×12) |
受付期間が30日以内で収まる運用では、件数がいくら増えても型③の年額が変わりません。月6,000件という条件でも19,800円です。同じ条件で型①は792,000円になり、40倍の差が出ます。
ただしこの表は「受付は30日先まで」という前提で作られています。この前提が崩れると数字が入れ替わります。1年先まで受け付ける必要がある場合、SelectTypeはプレミアム(年132,000円)になり、Airリザーブのスタンダード(年132,000円)と並びます。前提を書かずに「最も安いのはこれ」と言える比較は存在しません。
超過課金の単位が結果を変える
型①を選ぶ場合、超過したときの条件がもう1段の判断材料になります。単価だけでなく、課金される単位も見る必要があります。

| 条件 | 課金の単位 | 単価 | 10件超過したときの追加費用 |
|---|---|---|---|
| STORES 予約 | 50件ごと | 1件あたり21.56円 | 1,078円 |
| ChoiceRESERVE | 100件ごと | 1件あたり33円 | 3,300円 |
1件あたりの単価は1.53倍の差ですが、10件だけ超えた月の実際の負担は3.06倍になります。課金の単位が大きいほど、わずかな超過でも1単位ぶんが丸ごと発生するためです。月末にときどき数件だけ上限を超える運用では、単価より単位のほうが効きます。
逆に、恒常的に大きく超える運用では単価の差がそのまま出ます。300件超過なら、50件ごと1,078円なら6,468円、100件ごと3,300円なら9,900円です。超過の出かたが「たまに少し」なのか「毎月大きく」なのかで、見るべき数字が変わります。
決済手数料が月額を上回る境目
予約と同時に料金を受け取る運用では、月額よりも決済手数料のほうが大きくなることがあります。手数料は決済額に比例するため、取扱高が増えるほど差が開きます。
| サービス | 公表されている率 | 月100万円のときの手数料 | その率が適用される条件 |
|---|---|---|---|
| Airリザーブ | 3.24% | 32,400円 | 費用・料金ページの他社比較表に掲示。利用には別途申請が必要 |
| STORES 予約 | 3.3%から | 33,000円から | 月3,300円のスタンダードプランに加入した場合。加入しない場合は5.2%から |
| SelectType | 4.6% | 46,000円 | プロフェッショナル以上。内訳はStripe 3.6%+SelectType 1% |
| RESERVA | 4.9% | 49,000円 | 全プラン共通。プランを上げても変わらない |
最も低い3.24%と最も高い4.9%の差は1.66ポイントで、月100万円なら16,600円の差です。これは比較した5サービスのうち4つの最安有料プランの月額を上回る金額になります。決済を伴う運用では、月額ではなく「月額+決済手数料」で比べる必要があります。
SelectTypeのように、プランが上がると手数料率が下がる設計もあります。この場合、上位プランの月額と手数料の削減額が釣り合う地点が計算できます。フリー(5.6%)とプロフェッショナル(4.6%)の差は1ポイントなので、プロフェッショナルの月額3,300円を1%で割ると33万円。月の決済額が33万円を超えるなら、上位プランのほうが総額が下がります。
STORES 予約も構造は似ていますが、プラン本体ではなく月3,300円の別サービスへの加入で率が下がる形です。フリープランの5.2%からスタンダード加入の3.3%まで1.9ポイント下がるため、分岐点は月3,300円÷1.9%で約17万4千円になります。
なお、ここに挙げた率はいずれも各社が公式サイトに掲示している数字で、「〜から」という表記のものを含みます。実際に適用される率は業種・審査・取扱高によって決まるため、決済額が大きい場合は個別に見積もりを求めるのが確実です。ChoiceRESERVEはクレジットカード決済を有償オプションとして個別に提案する形で、料金ページには率の掲示がありませんでした。
見積もりを取る前に確認する項目
図2 確認しておくと見積もりの往復が減る項目
- 件数の定義 キャンセルされた予約を数えるか。管理画面から入力した予約を数えるか。予約の枠を閉じる操作は数に入るか。
- 超過したときの挙動 追加料金で受付を続けられるのか、上限に達した時点で受付が止まるのか。上限に近づいたときの通知があるか。
- 契約の単位 1か月単位か、3か月以上か、6か月単位か、1年単位か。途中で下のプランへ移れるか。
- 決済手数料 率がプランで変わるか。Stripeなど外部の決済事業者の手数料を含んだ数字か、別立てか。少額決済の最低手数料があるか。
- オプションの範囲 多拠点管理、外部カレンダー連携、LINE連携、API連携が基本料金に含まれるか、別料金か。
- 返金の有無 途中でやめた場合、支払い済みの料金が戻るか。日割りになるか。
この6項目のうち、料金ページだけで分かるのは多くの場合2つか3つです。残りは利用規約やFAQに書かれているか、どこにも書かれていません。公式サイトに掲示がないことは機能や条件が存在しないことを意味しないため、要件に入っている項目は必ず書面で確認してください。
型が変わると「増えると損」の向きが逆になる
3つの型の違いは、料金の総額だけでなく、事業の運営判断にも影響します。予約の件数を増やす施策を打ったとき、システムの費用がどう動くかが型ごとに違うためです。
| 型とサービス | 200件のときの年額 | 600件のときの年額 | 増加額 |
|---|---|---|---|
| 型③ SelectType ベーシック | 19,800円 | 19,800円 | 0円 |
| 型② Airリザーブ ベーシック | 66,000円 | 66,000円 | 0円 |
| 型① RESERVA(ブルー→ゴールド年払) | 46,200円 | 158,400円 | 112,200円 |
| 型① STORES 予約(スモール+超過) | 117,480円 | 221,160円 | 103,680円 |
| 型① ChoiceRESERVE(Aコース+従量) | 297,000円 | 376,200円 | 79,200円 |
型①では、予約が3倍になるとシステム費用が10万円前後増えます。広告やキャンペーンで予約を増やす施策を立てるとき、その費用の中にシステムの増加分を見込む必要があります。型②と型③では増加額が0円なので、この考慮が不要です。
逆に、予約が減ったときの挙動も違います。型①では件数が下のプランの範囲に収まれば費用を下げられますが、プランを下げられる条件はサービスによって異なります。ChoiceRESERVEは下位コースへの変更に55,000円の手数料がかかり、STORES 予約は契約期間の途中で有料から無料へ戻せないと規約で定めています。上げるのは簡単でも下げるのは難しいという非対称性があるため、件数が増減する事業では、上げる前に戻すときの条件を確認しておくほうが安全です。
型②と型③では、件数が減ってもプランは変わりません。費用を下げたい場合は、必要な機能や受付期間そのものを見直すことになります。機能や受付期間は事業のやり方に直結するため、件数より動かしにくい変数です。安定している代わりに、調整の余地も小さいと言えます。
よくある質問
結局どの型が一番安いのですか
条件を指定しない限り答えは出ません。受付が1か月以内で件数が多いなら型③、件数が読めず変動が大きいなら型②、件数が安定していて必要な機能が明確なら型①の中で件数の区切りが合うものが安くなります。自社の3つの数字(件数・受付期間・決済額)を先に決めると、候補は2つか3つに絞れます。
無料プランから始めて、足りなくなったら有料にすればよいのでは
その進め方が成立するかどうかは、サービスによって違います。契約の単位が1か月のサービスであれば問題ありませんが、最短3か月や6か月単位、1年単位のサービスでは、有料に移った時点で一定期間の支払いが確定します。また、契約期間の途中で有料から無料へ戻せないと規約で定めているサービスもあります。無料プランの範囲については予約システムの無料プランはどこまで使えるかにまとめました。
料金改定があった場合はどうなりますか
この記事で読んだ範囲では、料金の変更を事前に通知し、利用者が解約を申し出なければ変更に同意したものとみなすという条項を置いているサービスが複数ありました。通知を見落とすと、気づかないうちに新しい金額で更新されることになります。契約期間と通知の関係は予約システムの契約期間と解約の締め日で扱っています。
個別のサービスの料金を詳しく知りたい
5サービスの横断比較は予約システム比較5選にあります。各サービスの料金体系と契約条件は、STORES 予約、RESERVA、Airリザーブ、SelectType、ChoiceRESERVEの各ページで扱っています。
この記事の数値の出どころ
件数の区切りと月額、超過時の予約手数料: STORES 予約「料金プラン」https://stores.jp/reserve/price/RESERVA「料金プラン」https://biz.reserva.be/price//ChoiceRESERVE「ご利用料金」https://yoyaku-package.com/price/
件数が無制限であること、機能によるプランの差: Airリザーブ「費用・料金」https://airregi.jp/reserve/cost/
予約受付期間でプランが分かれること: SelectType「ご利用料金」https://select-type.com/price.php
件数の数え方(キャンセル分と管理画面登録分を含むこと): ChoiceRESERVE「料金についてのFAQ」https://yoyaku-package.com/price/price_faq/
表の時点: 2026年10月12日。金額は各社の表示に合わせて税込で統一した。この記事の試算は基本料金と初期費用のみを積算したもので、決済手数料とオプション料金は含んでいない。

