採用管理システムの見積もりを取ると、各社から返ってくる金額の形がそろいません。月額で返ってくる会社、年額で返ってくる会社、「予算上限を決めてください」と返ってくる会社があります。これは各社が気まぐれに違う言い方をしているのではなく、何に対して課金するかの設計が根本から違うからです。公式サイトに公開されている条件から、料金の型を4つに分けて、自社の年間コストを出せる場合と出せない場合を仕分けます。
この記事の要点
- 採用管理システムの料金は、候補者数課金・プラン制・従量課金・無料+露出課金の4つの型に分かれます。
- 型が違うと、費用が増える引き金が変わります。応募が増えて上がるのか、蓄積が増えて上がるのか、露出を買って上がるのかです。
- 「初期費用0円」は型を問わずほぼ全社が掲げており、比較軸になりません。
- 年間コストを自分で計算できるのは、帯ごとの金額を公開している製品だけです。
- 金額が非公開の製品でも、上限値・契約期間・解約条件は比較できます。
料金の型は4つに分かれる
採用管理システムの料金ページを並べると、金額の見せ方は違っても、課金の根拠は4つに集約されます。何が増えたときに費用が上がるのかを基準に分けたのが次の表です。
| 型 | 費用が上がる引き金 | 金額の公開 | 該当するサービスの例 |
|---|---|---|---|
| 候補者数課金 | その月に新しく登録した候補者の数 | 帯ごとの月額まで公開されることがある | ジョブカン採用管理 |
| プラン制(上限区分) | 登録データの累計、または年間の応募数が上限に近づくこと | 上限値は公開、金額は非公開が多い | HRMOS採用、HERP Hire |
| 無料+露出課金 | 求人広告がクリックされた回数 | 最低予算は公開、単価は非公開 | Airワーク 採用管理 |
| 完全無料+有料プラン | 基本機能では上がらない。露出を増やす別プランを契約したとき | 無料の範囲は公開、有料プランは非公開 | engage |
この分類で重要なのは、型が同じなら比較できるという点です。候補者数課金の製品どうしなら帯の切り方で比べられますし、プラン制どうしなら上限値で比べられます。型が違う製品を金額だけで並べると、何を買っているのかが変わってしまいます。
型① 候補者数で月額が決まる
その月に新規登録した候補者の数で月額が決まる型です。採用を止めている月は費用が下がり、応募が集中した月は上がります。利用するユーザーの数は料金に含まれないことが多く、面接官に広くアカウントを配っても金額は動きません。
この型の利点は、採用計画から年間の上限を自分で計算できることです。たとえばジョブカン採用管理は、〜50名/月の帯でLITEが8,500円・STANDARDが30,000円、51〜150名で両方とも30,000円、151〜300名で70,000円、301〜1,000名で120,000円(いずれも税抜)と公開しています。毎月50名の応募を見込むなら、LITEで年102,000円という計算がその場で立ちます。
| 毎月の新規候補者数 | 当てはまる帯 | LITEの月額 | LITEの年額 |
|---|---|---|---|
| 毎月30名以内 | 無料プランの範囲 | 0円 | 0円 |
| 毎月50名 | 〜50名/月 | 8,500円 | 102,000円 |
| 毎月120名 | 51〜150名/月 | 30,000円 | 360,000円 |
| 毎月250名 | 151〜300名/月 | 70,000円 | 840,000円 |
| 繁忙期だけ250名、他は50名 | 月ごとに帯が変わる | 月により変動 | 帯の内訳が必要 |
最後の行が、この型の弱点です。月ごとに帯が変わるため、応募が特定の時期へ集中する企業では年額が読みにくくなります。計算するには、過去1年の月別の応募数が必要です。年間の合計だけでは足りません。
型② プラン制で、上限値がプランを分ける

プラン制は、金額ではなく上限値でプランを分ける型です。HRMOS採用はLite・Standard・Enterpriseの3区分で、登録応募者の上限数(累計)が5,000人/10,000人/上限なし、求人媒体からの自動取込応募者上限が1,200名/3,600名/6,000名と公開されています。HERP Hireも、フリープランの上限が年間応募数300件であることを公開しています。
見落としやすいのが、上限の数え方です。HRMOS採用の登録応募者の上限には「(累計)」という括弧書きが付いており、年間でも月間でもなく総数で数えます。年1,000件の応募を受ける企業なら、Liteの5,000人には5年前後で到達する計算です。一方、HERP Hireのフリープランは年間の件数なので、毎年リセットされます。
図2 同じ「上限」でも、数え方で意味が変わる
月あたりで数える
その月だけ超えなければよい。繁忙期に一時的に上の帯へ入り、落ち着けば戻ります。
例:ジョブカン採用管理の無料プランは新規候補者登録30名/月。
年あたりで数える
年間の合計で判定します。応募の時期がかたよっても上限に当たりにくい形です。
例:HERP Hireのフリープランは年間応募数300件。
累計で数える
運用年数が長いほど必ず上限に近づきます。契約を続けるほどプラン変更の圧力がかかります。
例:HRMOS採用の登録応募者の上限数(累計)。
比較表に「上限5,000件」とだけ書いてあるとき、それが月なのか年なのか累計なのかで、意味はまったく違います。自社の運用年数と応募総数の掛け算で、何年目に当たるかを出しておくと判断がぶれません。
型③ 管理は無料で、露出にだけ課金する
応募者の管理機能そのものには課金せず、求人の露出を増やす部分だけを有料にする型です。Airワーク 採用管理がこの形で、基本機能は0円、有料オプションはIndeed PLUS経由の求人掲載で、求人票がクリックされた分だけ費用が発生するクリック課金です。3,000円から始められ、予算上限を自分で設定できます。
この型では、年間コストという考え方自体が合いません。クリック単価は変動するため決まった金額はない、と公式のよくある質問に明記されています。費用は「いくらかかるか」ではなく「いくらまで出すか」で決まります。予算上限を設定し、採用が決まった時点で止めれば、そこまでの金額しか発生しません。
ただし、無料の範囲では効果の指標を確認できない点に注意が必要です。Airワーク 採用管理の機能一覧では「掲載中求人の効果確認」が「Indeed PLUSで利用」に分類されています。表示回数やクリック率は有料オプション側の機能なので、無料だけで運用すると、応募数という結果の数字だけで判断することになります。
型④ 基本機能が完全に無料
管理機能も露出も無料で提供し、さらに露出を増やしたい企業にだけ有料プランを案内する型です。engageの費用ページには、初期費用0円・月額費用0円・採用成功報酬0円の3つが並び、よくある質問にも「初期費用・維持費用・採用課金も一切ございません」と書かれています。求人掲載に期間・件数の制限がないことも明記されています。
この型を検討するときに確認したいのは、無料の範囲ではなく無料の外側です。engageでは、露出を大幅に増やせる有料プラン「エンゲージプレミアム」が案内されていますが、金額は公開されておらず、管理画面からの問い合わせが前提です。無料で始めて、応募が足りなければ有料を検討する、という順序になります。
「初期費用0円」は比較軸にならない
料金ページでもっともよく見かける文言が「初期費用0円」です。今回確認した範囲では、ジョブカン採用管理、HRMOS採用、Airワーク 採用管理、engageのいずれも初期費用がかからないと明示しており、型を問わず横並びでした。つまり、この行で差は付きません。
初期費用の代わりに見るべきなのは、契約期間と解約の条件です。HRMOS採用は初期導入費0円である一方、契約期間は12カ月と公開されています。HERP Hireの乗り換えユーザー限定プランは、無料期間が付く代わりに「無料期間+有料期間12カ月以上」で構成され、契約締結時点で有料期間の支払義務が発生し、無料期間中の解約はできません。入口が無料であることと、出口が自由であることは別の話です。
| サービス | 初期費用 | 契約期間 | 解約の記載 |
|---|---|---|---|
| ジョブカン採用管理 | 0円 | 記載なし | 解約希望月の前月までに解約申し込み書。解約月は日割りなし |
| HRMOS採用 | 0円 | 12カ月 | 公開されていない |
| HERP Hire(乗り換え限定プラン) | 公開されていない | 無料期間+有料期間12カ月以上 | 無料期間中の解約はできない |
| Airワーク 採用管理 | なし | 記載なし | 有料オプションは停止した時点までの料金のみ |
| engage | 0円 | 記載なし | 基本機能は無料のため費用の発生なし |
税の表記と支払い方法も型ごとに違う
金額を比べるときに見落とされやすいのが、表示が税抜か税込かという点です。ジョブカン採用管理が公開している帯ごとの月額は税抜表記で、付帯費用として消費税と振込手数料(振込で支払う場合に限る)が特定商取引法に基づく表記に挙げられています。社内の予算に載せるときは、税込に直してから比べないと1割ずれます。
支払い方法も、型によって選択肢の幅が変わります。ジョブカン採用管理は銀行振込とクレジットカードが記載され、銀行振込は利用・販売の翌月末まで、クレジットカードの決済日は毎月1日とされています。一方、基本無料+露出課金のAirワーク 採用管理は請求書払いのみで、カード決済の選択肢はありません。Airワーク 採用管理は3,000円から出稿できる一方、決済の手段は請求書払いだけに限られています。
経費処理の方法が社内で固まっている場合、この1行で候補が絞られることがあります。カード決済で統一している企業にとっては、請求書払いしか選べない製品は毎月の処理が増えます。逆に、稟議と請求書の運用が定着している企業なら、カード決済のほうが例外処理になります。金額が同じでも、社内の手間は同じになりません。
見積もりを取る前にそろえる3つの数字
図3 どの型の製品でも必ず聞かれる数字
- 年間の応募総数(月別の内訳つき) 採用人数ではなく応募数が課金の基準です。候補者数課金の製品では月別の内訳がないと年額を出せません。
- 既存データの件数 他システムから移行する候補者データの件数です。累計で数えるプラン制の製品では、移行した瞬間に上限の一部を消費します。
- 採用に関わる人数 人事の担当者だけでなく、評価を入力する面接官や部門長の数です。ユーザー課金の有無で効き方が変わります。
この3つは、料金表のダウンロードフォームでも聞かれます。HRMOS採用のフォームは年間採用人数を0〜10人から1001人以上までの7段階、従業員規模を1〜9名から3,000名〜までの7段階で選ばせる形です。選択肢の刻み方自体が、料金が採用人数と企業規模の両方に連動しうることを示しています。
金額が非公開のとき、何を根拠に比較するか
採用管理システムは見積もり制の製品が多く、金額の横並び比較が成立しにくい分野です。それでも、公開されている条件だけで比較できる軸はあります。
図4 金額がなくても比べられる3つの軸
上限値
登録できる応募者数、自動取込の件数、無料で使える範囲。プラン区分の境目がそのまま出ています。
契約の拘束
契約期間、更新の方法、解約の申し出期限、ダウングレードの可否。出口の自由度が違います。
含まれる範囲
AI機能やダッシュボードが標準かオプションか。同じ「使える」でも、月額に乗るかどうかが変わります。
最後の「含まれる範囲」は、見積もりの金額そのものより差が出ることがあります。HERP Hireでは、AIによる自動化とダッシュボードによる可視化のどちらにも「プランによってはオプション(追加費用)での提供となります」という注記が付いています。HRMOS採用でも、課題分析レポート・経営レポート・コンサルティング・初期設定代行・採用HP作成代行などがオプションとして列挙されています。見積もりを比べるときは、同じ機能構成になっているかを項目名で突き合わせる必要があります。
5サービスの料金の公開状況と上限の数え方を1枚の表で見比べたい場合は、採用管理システム比較5選にまとめています。
あわせて読む
料金の型を見分けたあと、実際に動かすときに引っかかる論点は次の記事で扱っています。
| 記事 | 扱っている内容 |
|---|---|
| 採用管理システムの乗り換え手順 | 残っている契約を無料期間へ振り替える条件と必要書類 |
よくある質問
- 採用管理システムの料金はどうやって決まるのですか。
- 製品によって課金の根拠が違います。その月の新規候補者数で決まるもの、プランごとの上限値で区分されるもの、求人広告のクリック数で決まるもの、基本機能に課金しないものがあります。まず型を見分けてから金額を比べると、噛み合わない比較を避けられます。
- 年間の費用を事前に計算できますか。
- 帯ごとの金額を公開している製品なら計算できます。ジョブカン採用管理は候補者数の帯ごとの月額を公開しているため、月別の応募見込みがあれば年額を出せます。金額が非公開の製品では、見積もりを取るまで計算できません。
- 「初期費用0円」はどのくらい重要ですか。
- 比較軸としてはほとんど機能しません。今回確認した製品はいずれも初期費用がかからないと明示していました。代わりに契約期間と解約の条件を見てください。
- 上限が「累計」と書かれているのはどういう意味ですか。
- 年や月ではなく、そのアカウントに登録された総数で数えるという意味です。運用年数が長くなるほど総数が増えるため、契約を続けるほど上限に近づきます。HRMOS採用の登録応募者の上限数がこの数え方です。
- クリック課金の製品は、いくらかかるか分からないのですか。
- 上限は自分で決められます。Airワーク 採用管理では予算上限を設定でき、想定以上の費用は発生しないと説明されています。クリック単価は変動制で公開されていないため、「3,000円で何件のクリックが得られるか」は事前には分かりません。
- 無料の製品でも年間コストはゼロですか。
- 基本機能の範囲で運用するなら、engageやAirワーク 採用管理は費用が発生しません。ただし露出を増やす有料プランや有料オプションを使えば費用が出ます。また、無料の範囲で効果指標を確認できない製品もあります。
- 見積もりを取るときに何を準備すればよいですか。
- 年間の応募総数(できれば月別)、他システムから移行する候補者データの件数、採用に関わる人数の3つです。料金表のダウンロードフォームでも、年間採用人数と従業員規模の入力を求められます。
- 第三者の集計サイトに出ている金額は使えますか。
- 出典をたどれない場合は、社内の予算資料に載せる前に提供元へ確認してください。今回調べた範囲では、公式サイトの料金ページで金額を確認できた製品は限られていました。
この記事が参照した一次情報
- ジョブカン採用管理 公式サイト(候補者数の帯ごとの月額、解約の手続き)
https://ats.jobcan.ne.jp/ - HRMOS採用「料金プラン」(初期導入費、契約期間、上限値、料金表ダウンロードの入力項目)
https://hrmos.co/ats/price/ - Airワーク 採用管理「料金について」(基本機能0円、有料オプションの最低額、クリック課金、クリック単価)
https://airregi.jp/work/recruitment/price - engage「費用」(初期費用・月額費用・採用成功報酬、掲載の制限)
https://en-gage.net/expense/ - HERP Hire「ATS乗り換えをご検討の方へ」「よくある質問」(フリープランの上限、契約期間の構成)
https://lp.herp.cloud/ats_replace
料金の型の分類は、各社の公式サイトに公開されている課金の根拠にもとづいて作成しました。表2の年額は、ジョブカン採用管理が公開している帯ごとの月額(税抜)を12倍した単純計算で、キャンペーンやオプションは含みません。金額が公開されていない製品については推定せず、公開されている上限値と契約条件だけを扱っています。

