福利厚生パッケージの見積を取ると、たいていは「個別見積」と返ってきます。そのなかでWELBOXは、人数帯ごとの月額と初期導入費用を公式サイトに掲示している数少ないサービスです。だから候補選定の早い段階で概算を作れる一方、公開されている単価をそのまま自社の請求額だと思い込むと、25名以下に効く最低費用や、補助原資の扱いで予算が動きます。この記事では、株式会社イーウェルが公開している料金ページ、サービスページ、会社概要、カフェテリアプランの案内を2026年9月12日に読み、法人が契約前に確定させる数字と条件だけを取り出しました。
先に結論
- 運用費用は1人あたり月額300円〜600円(税別)の4段階。100名未満は600円、5,000名以上で300円。
- 初期導入費用は1,000名未満が50,000円/社、1,000名以上が100,000円/社。人数規模で詳細が変わると注記されている。
- ただし25名以下は25名分の最低費用が発生する。実人数10名なら年間運用費は72,000円ではなく180,000円になる。
- 会社が上乗せする補助原資は実績精算プランなら未利用分を全額返金すると案内している。ここは他社の「取り切り」と総額が変わる。
- 公開されているのは基本会費の単価まで。解約通知期限、途中終了、返金条件は公開ページで確認できなかったため、見積と契約書で確定させる。
WELBOXとは何か——契約するのは会社、使うのは従業員
WELBOXは、株式会社イーウェルが提供する福利厚生パッケージサービスです。会社または団体が法人契約を結び、その会社に所属する従業員が、宿泊、レジャー、グルメ、育児、介護、健康・フィットネス、自己啓発、リラクゼーション、日常生活といった分野の優待メニューを会員価格で利用します。会社が個別に契約を結び直すことなく、複数分野の優待をまとめて用意できることが、パッケージ型を選ぶ理由です。
イーウェルの公式サービスページは、WELBOXを約1,000団体・500万人が利用中とし、提携施設は175万件、飲食店は全国8万軒以上と案内しています。導入団体継続率は96%と記載があります。これらはいずれも提供会社の公表値で、BIZEEが独自に検証した数字ではありません。導入判断では、こうした規模の数字よりも、自社の従業員が暮らす地域で実際に使えるメニューがあるかを確かめるほうが役に立ちます。
もうひとつ押さえておきたいのは、同じイーウェルが「カフェテリアプラン」という別方式の福利厚生サービスも提供している点です。WELBOXは会社がパッケージを契約して従業員が優待を自由に使う形、カフェテリアプランは会社がポイント(補助枠)を付与して従業員がその枠内で選ぶ形です。検討時に社名だけで話を進めると、見積が別サービスのものになっていることがあります。
提供会社は株式会社イーウェル——資本構成が2025年度に変わっている
契約相手の会社情報は、公式の会社概要ページで確認できます。数年前の記事を参照すると資本構成が古いままなので、稟議へ載せる前に現在の記載を見てください。
| 項目 | 公式ページの記載 | 契約時に意味を持つ点 |
|---|---|---|
| 社名 | 株式会社イーウェル(EWEL,Inc.) | 契約主体名。見積書・請求書の名義と一致するか確認する |
| 設立 | 2000年10月2日 | WELBOXのサービス開始は2001年度と沿革に記載 |
| 資本金 | 499,992,500円 | 2010年度に増資して現在額 |
| 従業員数 | 1,096名(2026年4月現在) | 運用代行と対応センターを自社で持つ規模 |
| 株主 | エムスリー株式会社、東急不動産株式会社、豊田通商システムズ株式会社 | 2025年度にエムスリーグループへ参画と沿革に記載 |
| 本社 | 東京都千代田区紀尾井町3-6 紀尾井町パークビル | 名古屋・大阪・広島・福岡に支店、米子・松江に運営拠点 |
| プライバシーマーク | 第10860403(11)号(初回取得2006年1月5日) | 更新回数が括弧内の数字。従業員名簿を預ける前提の確認項目 |
| ISMS(ISO27001) | IS 795358(認証登録日2024年1月18日、認証範囲は健康支援サービス) | 認証範囲が健康支援サービスであり、WELBOX全体とは書かれていない |
ISMSの認証範囲が「健康支援サービス」と明記されている点は、情報セキュリティ部門の確認事項になりやすいところです。福利厚生の会員登録で預けるデータについて、どの管理体系が適用されるかは公開ページからは読み取れません。社内規程で第三者認証の範囲を求めている会社は、この1行を持って提供会社へ質問してください。「Pマークとisms両方あり」とだけ記録すると、後の監査で範囲の説明を求められます。
公開されている料金——初期導入費用と人数帯別の月額
WELBOXの料金は、公式の「福利厚生サービス『WELBOX』の料金・費用プラン」ページに掲示されています。初期導入費用が2区分、運用費用が4区分で、いずれも税別表示です。この形で単価を公開している大手のパッケージは多くありません。

| 費用 | 区分 | 金額 | 注記 |
|---|---|---|---|
| 初期導入費用 | 1,000名未満 | 50,000円/社 | 「初期導入費用は人数規模により詳細が異なります」と注記 |
| 1,000名以上 | 100,000円/社 | ||
| 運用費用 (1人あたり月額) | 100名未満 | 600円 | 「25名以下の場合は25名様分の最低費用が発生」と注記 |
| 100名以上〜1,000名未満 | 500円 | ||
| 1,000名以上〜5,000名未満 | 400円 | ||
| 5,000名以上 | 300円 |
読み方で間違えやすいのが人数帯の境目です。100名ちょうどの会社は「100名以上〜1,000名未満」に入るため500円、99名の会社は600円になります。1名の差で1人あたり100円、年額で1名あたり1,200円動くので、翌年度の採用計画を含めた人数で試算してください。境目をまたぐ月の請求方法(月初人数か、締日人数か、期中は据え置きか)は公開ページに書かれていないため、見積時の質問項目にします。
初期導入費用に何が含まれるかも公開ページからは分かりません。「人数規模により詳細が異なります」という注記があるだけです。設定作業、初回データ登録、ID通知、社内周知用の媒体制作、説明会の実施がどこまで基本範囲かは、金額と一緒に確認します。他社と比べるときは、初期費用の金額ではなく「同じ作業がどちらの初期費用に入っているか」を突き合わせないと比較になりません。
25名以下の最低費用が効く範囲を金額で見る
公開単価をそのまま人数に掛けると、少人数の会社では実際の請求額と合いません。25名以下は25名分で請求されるため、実人数が少ないほど1人あたりの負担が重くなります。100名未満の単価600円(年額7,200円)で、実人数別の年間運用費を並べると次のようになります。

実人数10名の会社は、単価どおりに計算した72,000円ではなく180,000円を払うことになります。差は年間108,000円です。実人数25名で初めて公開単価と請求額が一致し、そこから先は1人あたり7,200円で一定になります。「人数が少ないから福利厚生の総額も小さいはずだ」という前提で予算を組むと、この区間で必ずずれます。
逆に言えば、20名前後の会社にとっては「あと数名増えても月額の総額は変わらない」区間でもあります。1年以内に25名を超える見込みがあるなら、増員分を先に見込んだ制度設計をしても追加コストは発生しません。導入時期を採用計画と合わせる判断材料になります。
他社にも似た条件があります。ベネフィット・ステーションは公式のプラン一覧に「10名以下の企業様は10名分の固定請求となります」と明記しています。ライフサポート倶楽部は料金プランの注記で「100名以上から入会可能です」としています。最低請求人数は各社で条件も金額も違うので、単価表だけを横に並べても少人数の会社の総額比較にはなりません。
年間総額の作り方——30名・300名・3,000名で試算する
比較資料に載せるべき数字は月額単価ではなく、初年度と継続年度の総額です。公開されている数字だけで組み立てると次の形になります。補助原資、オプション、媒体制作、税は別行として扱い、ここには含めていません。
| 実人数 | 適用単価 | 請求人数 | 年間運用費 | 初期導入費用 | 初年度合計 | 継続年度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 10名 | 600円 | 25名(最低費用) | 180,000円 | 50,000円 | 230,000円 | 180,000円 |
| 30名 | 600円 | 30名 | 216,000円 | 50,000円 | 266,000円 | 216,000円 |
| 99名 | 600円 | 99名 | 712,800円 | 50,000円 | 762,800円 | 712,800円 |
| 100名 | 500円 | 100名 | 600,000円 | 50,000円 | 650,000円 | 600,000円 |
| 300名 | 500円 | 300名 | 1,800,000円 | 50,000円 | 1,850,000円 | 1,800,000円 |
| 3,000名 | 400円 | 3,000名 | 14,400,000円 | 100,000円 | 14,500,000円 | 14,400,000円 |
99名と100名の行を並べると、人数が1名増えるのに年間費用が112,800円下がります。人数帯の境目付近にいる会社は、契約開始時点の人数だけでなく、期中に境目を超えたときの単価適用ルールを必ず質問してください。「契約時点の人数帯で1年間固定」と「毎月の実人数で判定」では、100名前後の会社の年額が10万円以上変わります。この点は公開ページからは判断できません。
3,000名規模では初期導入費用の重みがほぼ消え、単価100円の差が年間360万円の差になります。大企業ほど交渉すべき対象は初期費用ではなく単価とオプションの構成です。逆に30名規模では初期導入費用の50,000円が初年度総額の約19%を占めるため、初期費用に何が含まれるかの確認が実額として効きます。
補助原資は「実績精算」か「取り切り」かで意味が変わる
基本会費とは別に、会社が独自の補助金(原資)を上乗せする設計があります。「1泊あたり1,000円まで会社が補助する」といった枠を作る方式です。イーウェルは公式料金ページで、この原資について自社を「実績精算プラン」と位置づけ、従業員が実際に使った分だけを精算し、未利用分は企業へ全額返金すると説明しています。あわせて、他社の「固定・取り切りプラン」では未利用分も含めて回収されると比較しています。

この違いは、利用率が想定を下回った年に金額として現れます。1人あたり年5,000円の原資を100名分(500,000円)預け、実際の利用が60%だったとします。実績精算なら未利用の200,000円は会社に戻り、翌年度の予算として使えます。取り切りなら500,000円が費用として確定します。福利厚生の導入初年度は利用率が伸びにくいので、初年度に限れば差が出やすい項目です。
なお、ライフサポート倶楽部も公式サイトで「業界初の『補助金精算』」として、利用がなかった補助金を返金すると案内しています。つまり実績精算はWELBOXだけの仕組みではありません。表現の強さで判断せず、候補ごとに「未利用分の扱い」「返金の時期」「返金か翌期繰越か」を見積書の行として書かせてください。ここが空欄のまま契約すると、決算期をまたいだ処理で経理と揉めます。
メニューの範囲と、自社の従業員が使える場所の確かめ方
公式サービスページは、宿泊施設、育児・介護、健康・フィットネス、自己啓発・eラーニング、グルメ、リラクゼーション・美容、レジャー・エンタメ、日常生活の8分野を挙げています。加えて、週に一度のスーパーセール「すご得!」、利用額の1%が貯まるポイント「WELコイン」(2008年度開始と沿革に記載)、コンビニ端末での即時発券やコード決済のデジタルチケットが紹介されています。
ここで比較の落とし穴になるのが提携施設数です。175万件という数字は全国合計であり、自社の従業員が生活する範囲にいくつあるかは示しません。工場や郊外店舗、在宅勤務者が多い会社では、本社周辺の有名施設ではなく、実際の勤務地と居住地で検索してください。公式FAQは「全国8万軒以上の飲食店で会員特典が受けられる」「エリアごとの提携施設開拓にも力を入れている」と説明していますが、特定の市町村に何件あるかは公開されていません。デモ環境で自社の代表的な拠点を3〜4か所検索し、距離・営業時間・予約条件まで表示されるかを担当者自身が確認するのが確実です。
デモで検索してもらう条件(自社の実態に置き換える)
- 本社の最寄駅から徒歩圏の飲食・コンビニ優待
- 地方拠点の所在市町村で使える宿泊・レジャー
- 交替勤務者の休日にあたる平日の予約可否
- 育児・介護で会社が重視する支援が、閲覧だけか申込みまでできるか
- 在宅勤務者が使えるオンライン中心のメニュー
会社側の運用負担——全件データ連携・対応センター・利用実績ダッシュボード
福利厚生パッケージの隠れたコストは、人事・総務が毎月かける時間です。イーウェルは公式ページで、この工数を減らす仕組みとして3つを挙げています。
1つめは人事データの全件連携です。入社者・退職者・変更者の差分データではなく、全件データの提出をもって処理すると説明しています。差分方式は「先月と何が変わったか」を人事側で作る必要があり、変更漏れが起きるとIDが残ります。全件方式なら人事マスターの出力をそのまま渡せるため、毎月の突合作業が軽くなります。ただし全件を渡すということは、対象外の従業員情報まで送らないよう出力項目を設計する必要があるという意味でもあります。
2つめはコールセンターです。営業時間は21時までで、従業員からの利用方法やトラブルの問い合わせをWELBOX対応センターが直接引き受けると案内しています。鳥取県米子市に専用センターを置き、Webフォーム、メール、チャットボット、FAXの受付手段があるとしています。従業員からの「ログインできない」「予約方法が分からない」を人事が受けないで済むかどうかは、100名を超える会社では実務的な差になります。
3つめは利用実績ダッシュボードです。属性・事業所・カテゴリ・メニュー別の利用状況を人事担当者が自分で表示でき、データ出力にも対応すると説明しています。制度の継続稟議で「どれくらい使われたか」を示す資料が必要な会社では、提供会社に依頼して集計してもらう運用より回転が速くなります。ただし、集計の粒度を細かくしすぎると個人が特定できてしまうため、拠点別・カテゴリ別など、社内へ出す単位を先に決めておいてください。
利用率の高さを社内で示すときは、分母と期間の定義を先に固定します。「登録者数に対するログイン率」と「対象従業員数に対する実利用率」ではまったく違う数字になります。提供会社が示す他社事例の数値(切り替えで利用率が13倍になった、といった公表値)を自社の目標値としてそのまま稟議へ載せると、初年度の実績と比べたときに説明できません。
カフェテリアプランとの違い——パッケージと選択型のどちらを契約するか
同じイーウェルの「カフェテリアプラン」は、会社が従業員にポイント(補助枠)を付与し、従業員が会社ごとに設計されたメニューの範囲から選んで使う制度です。利用後に領収証等とともに補助申請し、会社は給与加算で精算すると公式ページに説明があります。WELBOXとは検討の入口も導入期間も違います。
| 比較軸 | WELBOX | カフェテリアプラン |
|---|---|---|
| 基本の考え方 | 会社がパッケージを契約し、従業員が優待メニューを使う | 会社がポイント(補助枠)を付与し、従業員が枠内で選ぶ |
| 会社が決めること | 契約人数、補助原資を上乗せするか | 付与ポイント数、対象メニューの制度設計 |
| 従業員の手続き | 会員サイト・アプリから優待価格で利用 | 利用後に領収証等を添えて補助申請 |
| 会社の精算 | 基本会費の請求。原資は実績精算プランで精算 | 企業ごとに給与加算で精算 |
| 導入期間の目安 | 公開ページに記載を確認できなかった | 公式FAQに「約6ヶ月で導入可能」と記載 |
| 月次の窓口業務 | 全件データの提出で会員登録・異動処理 | 公式FAQに「入退会データを提出いただく必要があります」と記載 |
| 組み合わせ | 公式FAQは、カフェテリアプランと「WELBOXメニュー」を併せて利用できると案内している | |
選択型は制度設計の自由度が高い代わりに、メニューの決定、申請の審査、給与加算の処理という社内工程が増えます。導入まで約6ヶ月という目安は、この設計工程を含むためです。まず福利厚生の器を用意したい会社はパッケージ、既存の社内補助制度(住宅補助、財形補助など)を外部化したい会社は選択型、という切り分けが実務に近いはずです。
他社と比較した強み・弱み
強み・弱みの要約
- 強み:人数帯別の単価と初期費用が公開されているため、問い合わせ前に概算を作れる。
- 強み:補助原資の未利用分を全額返金する実績精算プランを公式に明示している。
- 強み:全件データ連携と21時までの対応センターで、人事側の月次工数と一次対応を減らせる。
- 弱み:25名以下は25名分の最低費用が発生し、少人数ほど1人あたりの負担が重い。
- 弱み:解約通知期限、途中終了、返金条件が公開ページで確認できず、見積・契約書に依存する。
- 弱み:ISMSの認証範囲が健康支援サービスと明記されており、福利厚生本体の範囲は別途確認が要る。
公開料金という強みは、他社との比較軸としてはっきりしています。次の表は「料金情報がどこまで公開されているか」「最低請求人数の条件はあるか」の2点だけで5社を並べたものです。メニュー数や満足度の順位付けではありません。
| サービス | 運営会社 | 公開されている料金情報 | 最低請求人数などの条件 |
|---|---|---|---|
| WELBOX | 株式会社イーウェル | 初期導入費用2区分と人数帯別の月額4区分を金額で公開 | 25名以下は25名分の最低費用 |
| ベネフィット・ステーション | 株式会社ベネフィット・ワン | プラン一覧に「従業員1名につき月額1,000円〜」と表示。プラン別の金額は非公開 | 10名以下は10名分の固定請求。契約期間は1年間の自動更新 |
| 福利厚生倶楽部 | 株式会社リロクラブ | 「月額は1会員あたり数百円台から」の目安表示。初期費用は要問い合わせ | 公開ページに最低請求人数の記載を確認できなかった |
| ライフサポート倶楽部 | リソルライフサポート株式会社 | 料金プランは画像と注記で提示。契約期間は1年ごとの更新と注記 | 「100名以上から入会可能」と注記。増員時は満了まで1名あたり月額250円と注記 |
| SAISON Fukurico | 株式会社フクリコ | 利用規約の別紙に計算式を掲載。ライトプランは会員数×350円、プラチナプランは会員数×850円(いずれも税別)。入会金30,000円(税別) | 会員数は5名単位で計算し1の位を切り上げ。法人契約者は原則として役員・従業員の全員を入会させる(第4条2項) |
この表の読み方には注意が必要です。「公開されている」ことと「その金額で契約できる」ことは別です。WELBOXの公開単価も、独自補助や個別要件を含む最終請求額を決めるものではありません。逆に、金額を公開していないサービスが高いとも限りません。公開度は、比較の初期段階でどれだけ早く候補を絞れるかという運用上の差であって、価格そのものの優劣ではありません。なお、金額の掲示場所はサービスによって違います。WELBOXは料金専用ページ、SAISON Fukuricoは利用規約の別紙という形で、探す場所が変わります。サービス紹介ページだけを見て「非公開」と判断すると、公開されている条件を見落とします。
もうひとつ、公式料金ページには「業界大手各社との料金比較」として、大手A社・大手B社との初期費用・運用費用の比較表が掲載されています。ただし比較先の社名は明かされておらず、金額も「400〜1,000円前後」といった幅の表現です。提供会社が自社ページに置いた比較なので、候補の選定根拠としてそのまま使わず、自社が実際に見積を取った各社の数字で置き換えてください。
向く会社・向かない会社
公開単価で年間総額を作れるため、稟議の初期段階で候補を3社程度へ絞りやすい。25名を超えていれば最低費用の影響も受けない。
実績精算プランなら未利用分が返金されるため、利用率が読めない初年度でも原資を設定しやすい。返金時期は要確認。
全件データ連携と対応センターで、名簿の差分作成と従業員からの一次対応を社内に残さない設計にできる。
10名なら1人あたり年18,000円相当になる。最低請求人数の条件が異なる他社と、実人数ベースで総額を比べたほうがよい。
通知期限・途中終了・返金の記載が公開ページにないため、契約前の書面回答が取れないと社内の与信・法務審査が止まる。
住宅補助や財形補助のような自社制度の運用代行が主目的なら、パッケージではなく選択型(カフェテリアプラン)の検討が近い。
「WELBOXは終了する」という検索が出る理由
「WELBOX 終わる」「WELBOX 終了」という検索が一定数あります。公式サービスページのFAQは、この点に正面から回答しています。福利厚生サービスWELBOXは今後も継続して提供するとしたうえで、インターネット上の一部情報で、特定の団体向けの個別契約終了の告知がWELBOX全体のサービス終了と誤認されているケースが見受けられる、と説明しています。
実務で意味があるのは、「サービス全体の終了」と「自社が所属する団体の契約終了」はまったく別だという点です。健康保険組合や共済会を通じてWELBOXを利用している場合、その団体が契約を終えれば、従業員は使えなくなります。会社が直接契約しているのか、加入している団体経由なのかを先に確認してください。団体経由なら、更新の意思決定は自社の外側にあります。
候補選定の場面では、この種の噂を根拠に候補から外すのではなく、契約主体と契約期間を確認する質問に変換します。「自社が契約する場合の契約主体はどこか」「現在利用している制度があるなら、その契約者は誰か」「終了する場合の通知はいつ、誰に届くのか」。この3つが書面で確認できれば、検索結果の断片に振り回されずに済みます。
契約・更新・解約で公開情報から確認できないこと
ここまで見てきたとおり、WELBOXは基本会費の単価を公開しています。一方で、契約の終わり方に関する条件は公開ページで確認できませんでした。次の項目は「無料」「いつでも解約可」と推定せず、未回答のまま候補比較へ持ち込んでください。
- 契約期間と自動更新の有無公開ページに記載を確認できなかった。1年自動更新なのか、期間の定めがどうなるのかを契約書の条項で確認する。
- 更新停止の通知期限「更新日の何か月前までに書面で通知」といった期限。ここを外すと1年分の費用が確定する。
- 途中終了の可否と違約金年度の途中で終了できるか、できる場合に前払費用が戻るか。
- 未使用補助原資の返金時期実績精算で返金されるとして、いつ、どの形(返金か相殺か)で戻るか。
- 従業員IDと予約済みサービスの扱い終了日以降にログインできなくなるタイミングと、終了日をまたぐ宿泊予約の扱い。
- WELコインなど保有ポイントの扱い終了時に失効するのか、事前告知期間があるのか。
- 個人情報の削除・返却提出した従業員データの削除時期と、削除証明の発行有無。
- 人数帯をまたいだときの単価適用期中に100名・1,000名・5,000名を超えた場合、いつから新しい単価になるか。
この8項目は、そのまま質問票にできます。回答がない項目を「該当なし」や「制限なし」と書き換えないでください。候補が2社に絞れた段階で、未回答の数と内容そのものが判断材料になります。
導入の進め方——見積依頼から社内周知まで
公開単価があるサービスでも、見積依頼の書き方は他社と共通にしておきます。候補ごとに前提を変えると比較できなくなるためです。
| 項目 | 書く内容 | そろえないと起きること |
|---|---|---|
| 対象人数 | 現在の実人数と12か月後の予定人数、対象とする雇用区分 | 最低請求人数の影響が候補ごとに違う形で反映される |
| 開始希望日 | サービス開始月と、社内周知に使いたい期間 | 初年度が11か月分の会社と12か月分の会社を比べてしまう |
| 補助原資 | 上乗せするか、するなら1人あたりの上限と対象分野 | 基本会費だけの見積と、原資込みの見積が混在する |
| データ連携 | 人事システムの出力形式と、提出できる項目 | 初期費用に含まれる作業範囲が候補ごとにずれる |
| 税区分 | 提示金額を税別で統一するか税込で統一するか | 10%の差がそのまま順位を入れ替える |
| 契約期間 | 希望する期間と、更新の考え方 | 初年度割引の有無を含めた総額比較にならない |
契約後は、対象者名簿の確定から始めます。人事マスターから必要最小限の項目だけを出力し、評価情報や私用の連絡先を含めません。テスト対象者でID通知、ログイン、パスワード再設定、メニュー検索、問い合わせまでを一度通してから全社展開します。周知はサービス名の紹介で終えず、「昼食」「休日の家族外出」「資格取得」のように一度に一つの場面を扱い、利用条件と本人負担を併記してください。イーウェルは、メール配信代行、特設チラシ・パンフレットの制作、アプリのプッシュ通知を利用促進の手段として案内しています。どこまでが基本範囲で、どこからが有償かを導入時に確認しておくと、2年目以降の依頼がしやすくなります。
よくある質問
公開されている月額は税込ですか。
税別です。公式料金ページの運用費用は「1人あたり月額・税別」と明記されています。初期導入費用の表示にも税の記載があるため、社内資料へ転記するときは税別であることを併記してください。
25名以下の最低費用は、初期導入費用にも影響しますか。
公開ページの注記は運用費用の欄に付いています。初期導入費用は「1,000名未満で50,000円/社」という会社単位の金額で、人数規模により詳細が異なるとされています。少人数の場合に初期費用が変わるかどうかは公開情報からは判断できないため、見積で確認してください。
パート・アルバイトも対象にできますか。
WELBOXの公開ページには、対象にできる雇用区分の一覧を確認できませんでした。加入対象は契約条件で決まるため、自社の雇用区分(正社員、契約社員、パート、アルバイト、役員、休職者、内定者)を一覧にして、それぞれ対象になるかを書面で確認してください。公式ページには内定者にも福利厚生を提供する例が紹介されています。
家族も使えますか。
公式サービスページは、従業員本人だけでなく遠くに暮らす家族にも全国で使える福利厚生を提供するという趣旨を案内しています。ただし、親等の範囲や同居・別居の条件、個別メニューでの同行要件までは公開ページから読み取れませんでした。家族利用を制度の中心に置く場合は、「会員資格としての家族の範囲」と「各メニューの利用条件」を分けて確認してください。
スマートフォンのアプリはありますか。
あります。公式FAQは、Webサイトに加えて公式アプリを用意しており、一度ログインすればID・パスワードが保存されること、現在地周辺の提携施設を探す「マップ検索」機能があることを説明しています。
提携施設175万件という数字は、自社の近くの件数を示しますか。
示しません。全国合計の公表値です。自社の拠点や従業員の居住地でいくつ使えるかは、デモ環境で実際に検索して確認してください。
この記事の調べ方と出典
金額、条件、会社情報は、すべて2026年9月12日に株式会社イーウェルの公式サイトを表示して確認しました。年間費用の試算は、公開されている単価と「25名以下は25名分」の注記から編集部が計算したもので、実際の請求額を示すものではありません。提携施設数、利用団体数、継続率、利用率の改善事例は提供会社の公表値であり、BIZEEが検証した数字ではありません。公開ページに記載を確認できなかった項目は、推定せず「確認できなかった」と書いています。
参照した一次情報(2026年9月12日確認)
5社を同じ軸で並べた比較、掲載基準、選び方の手順は福利厚生サービス比較|現行5社の料金・家族範囲・運用と解約にまとめています。福利厚生と隣接する領域として、健康診断や就業状況のデータを会社が管理する仕組みは健康管理システムの比較記事、制度の効果を社員の声から測る方法は従業員満足度調査の比較記事で扱っています。福利厚生の利用実績と健康データは目的も同意の範囲も違うため、同じ集計へ混ぜない運用にしてください。

