クラウドPBXの料金表を見ていると、「050番号は月額300円、03番号は月額1,000円」というように、番号の種類で金額が変わります。この差は事業者の値付けの都合ではなく、制度上まったく別の番号として扱われているためです。この記事では、総務省が公開している電気通信番号制度の資料と、クラウドPBX5サービスの公開料金をもとに、市外局番(03・06など)を使う条件と費用、そして2025年1月に変わった番号ポータビリティの扱いを整理します。サービスごとの料金はクラウドPBX比較5選にまとめています。
市外局番から始まる固定電話番号は制度上「0AB〜J番号」と呼ばれ、050で始まる番号は「特定IP電話番号」として別の種別に分かれています。総務省の電気通信番号計画で種別ごとに使用条件が決められています。
クラウドPBXで市外局番を使うには、①事業者から0AB〜J番号の提供を受ける、②既存の番号を番号ポータビリティで引き継ぐ、③固定電話の契約を残して転送する、のいずれかになります。費用は①と②で桁が変わります。
固定電話番号の番号ポータビリティについて、総務省は令和7年(2025年)1月末日以降、固定電話番号を使用したサービスを提供する全ての事業者に、原則として番号ポータビリティを可能とすることを求めています。ガイドラインは令和7年1月30日に策定され、翌31日から適用されています。
ただし例外が定められており、移転元と移転先の設備で収容可能な番号帯が異なる場合などは実施の例外にあたります。「制度で決まったから必ず引き継げる」とは限りません。
050番号と市外局番は、制度上べつの種別

この表が、番号の値段が違う理由そのものです。固定電話番号(0AB〜J番号)と特定IP電話番号(050番号)は、同じ「利用者設備識別番号」の中でも別の行に分かれています。総務省は「番号種別ごとに、提供役務の内容、使用条件等を記載した電気通信番号計画(告示)を作成し、公示する」としており、事業者は番号種別ごとに定められた条件に従う必要があります。
制度の枠組みも押さえておくと理解が早くなります。総務省は電気通信番号を「ITU(国際電気通信連合)が定める国際的なルールにより桁数等の制約がある有限希少な資源」と位置づけています。令和元年に施行された現行制度では、電気通信番号を使用する全ての電気通信事業者が電気通信番号使用計画を作成し、総務大臣から認定を受けることが必要になりました。認定された計画に従わない場合は適合命令、従わなければ認定の取消しという仕組みです。
クラウドPBXの事業者サイトに「総務省 電気通信番号使用計画 総基番第◯◯号」といった表記があるのは、この認定を受けていることを示すものです。たとえば BIZTEL は「総務省 電気通信番号使用計画 総基番第109号」と「届出電気通信事業者番号 A-17-8479」をサイト下部に掲示しています。ナイセンクラウドは「届出電気通信事業者 A-20-10415」、トビラフォン Cloud は「電気通信事業:C-25-01701」を公開しています。
クラウドPBXで市外局番を使う3つの方法
市外局番を使う3通りの入り方
① 事業者から0AB〜J番号の提供を受ける
クラウドPBX事業者が持つ番号を新しく払い出してもらう方法。いちばん手続きが軽い一方、番号は新しいものになります。地域によって提供の可否が分かれます。
② 番号ポータビリティで引き継ぐ
いま使っている番号を変えずに事業者だけ変える方法。手続はこれから契約する会社に申し込むだけのワンストップ方式です。
③ 固定電話の契約を残して転送する
既存の回線を解約せず、着信をクラウドPBXへ転送する方法。回線の基本料と転送料が二重にかかります。
この3つのうち、料金ページで金額を確認できるのは①と②です。③は既存回線の契約内容に依存するため、クラウドPBX側の料金表には出てきません。
5サービスで市外局番を使うときの費用
各社の公開料金から、市外局番の番号にかかる部分だけを抜き出しました。すべて2026年9月27日時点の公開値です。
| サービス | 新規に0AB〜J番号を使う | 番号ポータビリティ | 税表示 |
|---|---|---|---|
| トビラフォン Cloud | 0ABJ拡張 初期10,000円/月額1,000円(1番号)。「既存の回線契約料は不要になります」と注記 | 料金ページには記載を確認できず | 税抜 |
| BIZTEL ビジネスフォン | 03番号の追加 初期500円/月額300円(1番号)。06およびその他の地域番号は初期3,000円〜/月額1,000円〜(地域により異なる) | 番号ポータビリティ(0ABJ)初期3,000円〜/月額300円〜(1番号、地域により異なる) | 税抜 |
| ナイセンクラウド(IP電話回線) | 03番号(発信も03)初期3,000円/月額1,600円。03番号(発信は050)初期2,000円/月額1,000円 | IP電話回線の料金表には記載を確認できず | 税抜 |
| ナイセンクラウド(NTT回線) | NTT東西のひかり電話シリーズを契約。接続機器レンタル 月1,000円/拠点(2〜24ch) | 既存契約があればそのまま利用可能だがプラン変更が必要な場合あり | 税抜 |
| ナイセンクラウド(NURO回線) | 新規取得 初期1,000円/月額100円(1番号)。対象は18都府県の全部または一部 | 番号ポータビリティ 初期2,000円/1番号 | 税抜 |
| Arcstar Smart PBX | Arcstar IP Voice の番号追加料 110円/番号(0ABJ番号も利用可と注記) | 番号ポータビリティ費 4,400円(2番号)を料金例に計上 | 税込 |
| MOT/TEL | 料金プランページには番号の単価の記載を確認できず | 「市外局番の取得・継続利用」をまとめて依頼できる旨の案内あり | 税抜 |
ここで見落としやすいのが、ナイセンクラウドの「03番号(発信は050)」です。月額1,000円と安いほうを選ぶと、発信時に相手へ通知されるのは050番号になります。着信は03で受けられても、こちらからかけた相手の履歴には050が残ります。会社の代表番号として03を使いたい場合は、月額1,600円の「発信も03」を選ぶ必要があります。
もうひとつ、トビラフォン Cloud の0ABJ拡張に付いた「既存の回線契約料は不要になります」という注記も重要です。市外局番の番号を使うために従来の回線契約を残す必要がない、という意味であり、前掲の③の方法を取らなくてよいことを示しています。
番号ポータビリティの制度は2025年1月に変わった
総務省は「固定電話番号の番号ポータビリティとは、利用者が固定電話番号を変更することなく、固定電話サービスの提供を行う会社を変更できる仕組みです」と定義しています。手続については「これから契約しようとする固定電話会社に申込みを行うだけで手続が完了するワンストップ方式」と説明されています。
制度として大きく変わったのが実施の範囲です。総務省は電気通信番号計画(令和元年総務省告示第6号)に基づき、令和7年1月末日以降、固定電話番号を使用したサービスを提供する全ての事業者は、原則、固定電話番号の番号ポータビリティを可能とする必要があるとしています。「固定電話番号の番号ポータビリティの実施に関するガイドライン」は令和7年1月30日に策定され、適用の日は令和7年1月31日です。
総務省の「電話番号に関するQ&A」のQ10には、固定電話について「NTT東日本又はNTT西日本の加入電話から電話会社を他社に変更する場合は番号ポータビリティにより番号を変えずに電話会社を変更することができます。その他のサービスや電話会社でご契約の場合は、電話会社の変更により電話番号が変わることになります」と書かれています。同じQ&AのQ2には「(令和3年10月1日現在)」という注記があり、ポータビリティの専用ページに書かれた令和7年1月末日以降の扱いとは説明の時点が異なります。当サイトでは、より新しい日付が明記されているポータビリティのページの記述を採っています。
番号ポータビリティの例外にあたる場合

「原則」とされているとおり、例外が定められています。クラウドPBXへの移行で関係しうるのは、上段の2つです。
| 例外の内容 | 利用者への周知 | クラウドPBX導入時にどう効くか |
|---|---|---|
| NTT東西以外の事業者が払い出した番号、およびNTT東西がひかり電話用として払い出した番号を、NTT東西の加入電話・INSネットへ移行する場合 | 必要(○) | クラウドPBXから固定電話へ戻す向きの移行が対象。導入時ではなく解約して戻すときに関係します |
| 移転元事業者と移転先事業者の設備で収容可能な固定電話番号の番号帯が異なる場合 | 必要(○。該当が見込まれる利用者への周知が必要) | 導入時にそのまま効きます。番号帯が合わなければ引き継げません |
| 利用者が番号を意識しないサービス(公衆電話、緊急通報用電話サービス等) | — | 法人の代表番号では通常該当しません |
| 臨時電話サービス | — | イベント用などの一時的な回線が対象です |
| 一般の利用者に対して提供されないサービス(消防機関等への代理通報サービス) | — | 該当しません |
実務上いちばん効くのは2行目の「番号帯が異なる場合」です。いま使っている番号が移行先の事業者の設備で収容できるかは、番号ごとに判定されます。BIZTEL が番号ポータビリティ(0ABJ)を「初期3,000円〜/月額300円〜、地域によって料金が異なる場合があります。対応可能な地域・詳細な料金はお問い合わせください」としているのは、この判定が個別になるためです。「制度上は原則可能」と「自分の番号が引き継げる」は別の話です。
番号ポータビリティを使うときの注意点
総務省は「利用の際の注意点」として4点を挙げています。番号ポータビリティを実施すると、変更前の固定電話会社との契約は解除(解約)となり、変更後の会社と新たに契約(新規契約)することになるためです。
総務省が挙げている4つの注意点
番号ポータビリティ以外の費用が発生することがある
解約および新規契約に伴う費用等が発生する場合があると明記されています。クラウドPBX側の「番号ポータビリティ費」だけを見て見積もると足りません。
残債がある場合は精算が必要
設置済みの回線工事費を分割払いしている場合の残額や、料金の未払いがある場合が挙げられています。
インターネット回線の解約は別手続きになることがある
固定電話サービスをインターネット回線と併せて契約している場合です。電話だけ移しても回線契約は残ります。
附帯するサービスの解約に別途申込みが必要な場合がある
ナンバーディスプレイ、迷惑電話対策、留守番電話などの付加サービスが対象になりえます。
3点目は、クラウドPBXの導入でとくに起きやすい状況です。ナイセンクラウドのNTT回線構成では「フレッツ・ひかり電話シリーズ」が必須サービスとされ、NURO回線構成では「楽天ブロードバンドプレミアム NURO Bizプラン」が必要です。電話をクラウドへ移しても、インターネット回線の契約は別に残ることを前提に手続きを組む必要があります。
導入前に確認する順番
市外局番を使うクラウドPBXを選ぶ手順
いまの番号を引き継ぐかどうかを決める
引き継がないなら、事業者から新しい0AB〜J番号の提供を受けるのがいちばん軽い方法です。引き継ぐなら次へ進みます。
その番号が移行先の設備で収容できるかを事業者に確認する
番号帯が異なる場合は実施の例外にあたります。地域と番号によって判定が変わるため、見積もり依頼の時点で番号そのものを伝えて確認します。
発信時に通知される番号を確認する
着信は03で受けられても、発信は050という構成があります。ナイセンクラウドの「03番号(発信は050)」がその例です。
同時通話の本数を番号とは別に決める
番号の数と同時に話せる本数は別の変数です。トビラフォン Cloud は1回線500円、BIZTEL は1通話3,000円、Arcstar Smart PBX は10チャネル5,500円(税込)で追加します。
既存回線と付加サービスの解約手順を並べる
インターネット回線、ナンバーディスプレイ、残債の精算。総務省が挙げている4つの注意点をそのままチェックリストにします。
減らすときの費用も見ておく
トビラフォン Cloud は外線番号減少手数料5,000円/申請毎、ナイセンクラウドは番号追加の設定変更料2,000円(変更1回・最大5番号の増減)と公開しています。
よくある質問
- 050番号と03番号では何が違うのですか。
- 制度上の番号種別が違います。総務省の電気通信番号制度では、03などの市外局番から始まる番号は「固定電話番号(0AB〜J番号)」、050から始まる番号は「特定IP電話番号」として別の種別に分類されています。番号種別ごとに提供役務の内容や使用条件が電気通信番号計画で定められています。
- いま使っている03番号をクラウドPBXでそのまま使えますか。
- 番号ポータビリティが利用できれば可能です。総務省は令和7年1月末日以降、固定電話番号を使用したサービスを提供する全ての事業者に、原則として番号ポータビリティを可能とすることを求めています。ただし、移転元と移転先の設備で収容可能な番号帯が異なる場合などは実施の例外にあたるため、自分の番号について事業者に確認する必要があります。
- 番号ポータビリティの手続きはどこに申し込みますか。
- 総務省は「これから契約しようとする固定電話会社に申込みを行うだけで手続が完了するワンストップ方式」と説明しています。いまの契約先へ先に連絡する必要はありません。
- 番号ポータビリティの費用はいくらですか。
- 事業者と地域によって異なります。BIZTEL は0ABJの番号ポータビリティを初期3,000円〜・月額300円〜(1番号、税抜、地域により異なる)、ナイセンクラウドのNURO回線は初期2,000円/1番号(税抜)、Arcstar Smart PBX は料金例に番号ポータビリティ費4,400円(2番号、税込)を計上しています。これとは別に、解約および新規契約に伴う費用が発生する場合があると総務省が注意を促しています。
- 市外局番の番号にすると通話料は上がりますか。
- サービスによります。トビラフォン Cloud は050番号でも0ABJ番号でも、国内一般加入電話へ7.5円/3分、国内携帯電話へ16円/1分(税抜)と同じ単価を公開しています。ナイセンクラウドのIP電話回線では、03番号の外線同時発信数の追加が月額600円/チャネルで、050/0120/0800の180円/チャネルより高い設定です。
- どのサービスを選べばいいですか。
- 市外局番の番号にいくらかかるかは、サービスごとに単価の置き方が違います。クラウドPBX比較5選で5サービスを同じ項目に並べています。番号の単価が細かく公開されているのはトビラフォン Cloudとナイセンクラウド、番号ポータビリティの費用まで公開しているのはBIZTEL ビジネスフォンとArcstar Smart PBXです。
出典(総務省の資料と各社の料金ページ。すべて2026年9月27日に確認)
- 総務省「電気通信番号制度」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/index.html(電気通信番号は有限希少な資源である旨、令和元年施行の現行制度における電気通信番号使用計画の認定義務と適合命令・認定の取消し、電気通信番号計画(告示)の位置づけ、電気通信番号の種別の表、関係法令の一覧)
- 総務省「電気通信番号制度|固定電話の番号ポータビリティ」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/kotei_portability.html(定義、メリット、ワンストップ方式の手続、利用の際の注意点4項目、令和7年1月末日以降は原則として全事業者が番号ポータビリティを可能とする必要がある旨、実施の例外の表、ガイドラインの策定日・適用日)
- 総務省「電気通信番号制度|電話番号に関するQ&A」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/q_and_a.html(電話番号の構成、市外局番と市内局番、Q10の電話会社変更と番号の扱い、Q2の令和3年10月1日現在という注記)
- 各社の公開料金:トビラフォン Cloud 料金・通話料/BIZTEL ビジネスフォン 料金/ナイセンクラウド ご利用料金/Arcstar Smart PBX 料金/MOT/TEL 料金プラン
あわせて、番号ごとに発信の可否が分かれる話はクラウドPBXから110・118・119はかけられるか、番号を移す前に確認しておく解約の締め日はクラウドPBXの契約期間と解約で扱っています。番号の制度も各社の料金も変わります。この記事の表をそのまま使わず、番号を申し込む前に総務省のページと各社の料金ページを引き直してください。番号ポータビリティが自分の番号で利用できるかどうかは個別の判定になるため、この記事の内容は判定の結果を保証するものではありません。

