安否確認システム比較|料金・初期費用・家族登録を現行4サービスの公開価格で検証【2026年】

安否確認システム 4サービス比較 2026年版。料金・初期費用・家族登録・自動配信という副題と、初期費用・月額・最低契約を並べた3枚の比較カード、安否回答画面のスマートフォンと警報アイコンを配した紺と青のアイキャッチ

安否確認システムは、比較が難しい部類の商材です。どの製品も「災害時に一斉送信して安否を集める」という機能は持っているのに、料金の決まり方がまったく違うため、金額だけを並べても判断できません。上限ユーザー数で決まる製品、人数帯で決まる製品、1人あたりの日額で示す製品が混在しています。このページでは、公式サイトで料金を公開している5サービスに絞り、同じ人数・同じ年数で並べ直したうえで、機能と契約条件の違いを整理します。金額の根拠はすべて各社の公開情報です。

このページの結論

  • 比較の順序は①料金の決まり方 →②初期費用 →③最低契約期間 →④家族登録 →⑤自動配信の制御 →⑥受信経路です。金額だけを先に並べると判断を誤ります。
  • 100名規模の3年総額(公開価格ベース)は、ANPIC 248,360円 < 安否確認サービス2ライト 352,800円 < Safetylink24 400,800円 < 安否コール スタンダード 540,000円です。
  • 初期費用0円で1か月から使えるのは安否確認サービス2。まず小さく試したい組織に向きます。
  • 家族登録が利用人数に含まれず追加料金なしなのはSafetylink24の通常版(1人につき最大6人)です。
  • 震度と地域を拠点ごとに設定でき、余震時の送信抑制まで持つのはANPICです。
  • セコムやALSOKなどの警備会社系は公式サイトで価格を公開していないため、このページの比較表には含めていません

安否確認システムとは何か

安否確認システムは、災害時に従業員へ一斉に連絡を送り、回答を集めて集計するためのサービスです。機能としては「一斉送信」「回答の収集」「集計」の3つが核になります。連絡網や社内チャットでも似たことはできますが、いくつかの点で設計が違います。

比べる点 安否確認システム 電話連絡網 社内チャット
起動の仕方 気象情報と連動して自動で送れる 誰かが電話をかけ始める必要がある 誰かが投稿する必要がある
担当者が被災した場合 自動配信なら影響を受けない そこで連鎖が止まる 投稿できる人が動くまで止まる
集計 回答が自動で集計される 手作業で集める スレッドを読んで数える
未回答者の把握 一覧で分かる 誰まで回ったか追いにくい 既読と回答が区別しにくい
届かなかった人の把握 送信結果を確認できる製品がある 不通として記録するのみ アプリを開かない人は分からない
平常時のコスト 月額がかかる 0円 すでに導入していれば追加なし

違いの核心は、「人が動かなくても始まるかどうか」です。大きな地震が起きた直後、担当者が自分の家族の安全を確認している最中に、会社の連絡網を回し始められるとは限りません。自動配信は、その空白の時間を埋めるための仕組みです。

逆に言えば、人数が10人程度で全員の連絡先を互いに知っているような組織では、専用システムを入れる必然性は高くありません。月額を払う価値があるかどうかは、人数と拠点の分散度で決まります

会社が安否確認をする理由

安否確認は、災害対応の第一歩であると同時に、雇用する側の責任にも関わります。労働契約法第5条は、労働者の安全への配慮として「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めています。

この条文は安否確認システムの導入を義務づけるものではありません。ただし、災害時に従業員の所在と状況を把握しようとする体制があるかどうかは、「必要な配慮」をしていたかを説明する材料になります。出社の可否を判断する、帰宅困難者への対応を決める、といった意思決定の前提でもあります。

事業継続の観点も無視できません。誰が動けるかが分からなければ、業務の再開計画は立てられません。安否確認は人の安全を確かめる行為であると同時に、事業を再開できる体制を把握する行為でもあります。多くのサービスがBCPという言葉を掲げているのは、この2つが表裏だからです。

このページの掲載基準と除外基準

比較記事の信頼性は、何を載せたかより「なぜ載せなかったか」で決まります。このページの基準を先に示します。

区分 基準 理由
掲載する 法人向けの安否確認サービスであること 個人向けの防災アプリとは要件が異なるため
掲載する 公式サイトで料金を公開していること 読者が自分で総額を計算できることを条件にしたため
掲載する 現在申し込みを受け付けていること 提供終了した製品を現行比較に混ぜないため
除外する 料金が問い合わせのみのサービス 同じ条件で並べられず、比較表の値が空欄になるため
除外する 公式サイトが応答しないサービス 提供状況を確認できないため
順位付け 行わない 要件によって最適が変わり、単一の順位が成立しないため

この基準の結果、セコム、ALSOK、エマージェンシーコールなど、名前をよく見かけるサービスがこのページの比較表に入っていません。製品として劣るという意味ではなく、公開情報だけでは同じ土俵に載せられないという理由です。これらを検討する場合は、見積もりを取ったうえで本ページの5サービスと並べてください。

比較の順序を決める6つの軸

安否確認システムの比較でつまずく原因は、ほぼ1つです。料金の決まり方が製品ごとに違うのに、提示された金額をそのまま並べてしまうこと。まず軸をそろえます。

安否確認システムを比べる6つの軸を、料金の決まり方・初期費用・最低契約期間・家族登録・自動配信の制御・受信経路に分けて並べた図
①と②を固めないと、金額の比較そのものが成立しない。

たとえば、ある製品が「1人あたり月100円」と言い、別の製品が「月5,000円から」と言っているとき、この2つは比べられません。前者は人数を掛けないと総額が出ず、後者は何人までの金額なのかが分かりません。自社の人数を1つ決めて、その人数での月額を全製品について出すのが最初の作業です。

次に初期費用です。0円の製品と数万円の製品では、1年目の総額が変わります。ただし2年目以降は消えるので、使う年数を決めてから比べる必要があります。この2つを整理して初めて、機能の差を見る意味が出てきます。

現行5サービスの概要

公式サイトで料金を公開している5サービスを、提供会社と料金の決まり方で並べます。

サービス 提供会社 料金の決まり方 初期・設定費用 最低契約期間
安否確認サービス2 トヨクモ株式会社 プラン(4種類)×上限ユーザー数 0円 月額払いなら1か月から
Safetylink24 株式会社イーネットソリューションズ 利用人数帯 48,000円/68,000円/148,000円 1年間
ANPIC 株式会社アバンセシステム 登録人数(50名単位) 25,000円〜(人数による) 公式の料金ページに記載なし
安否コール 株式会社アドテクニカ(安否コール) クラス(3種類)×人数 公式の料金ページに記載なし 年契約
オクレンジャー 株式会社パスカル プラン(2種類)×ユーザー数の年額 公開ページに記載なし(別途必要と明記) 公開ページに記載なし

提供会社名は各公式サイトの表記にもとづきます。最低契約期間の「記載なし」は、そのような条件が存在しないという意味ではなく、公式サイトの料金ページから読み取れなかったという意味です。契約前に必ず確認してください。なお、オクレンジャーは2つのプランのうちエントリープランの金額だけが掲示されており、上位のスタンダードプランは非掲示です。掲載基準は満たしますが、公開されている範囲が他の4サービスより狭い点に注意してください。

料金を同じ条件で並べ直す

100名規模を例に、3年間の総額を計算します。金額は各社の公開価格から算出したもので、いずれも税抜です。

100名規模の3年総額を、初期費用と月額36か月分に色分けして4サービスで比べた図
金額だけを並べたもの。機能差は含めていない。
サービス(100名規模) 初期・設定費用 月額 1年目 3年間の総額
ANPIC(100名) 50,000円 5,510円 116,120円 248,360円
安否確認サービス2 ライト(100ユーザー) 0円 9,800円 117,600円 352,800円
安否確認サービス2 プレミア(100ユーザー) 0円 11,800円 141,600円 424,800円
Safetylink24(1〜100人) 48,000円 9,800円 165,600円 400,800円
安否コール スタンダード(100〜1,000名) 記載なし 15,000円〜 180,000円〜 540,000円〜
オクレンジャー エントリー(100ユーザー・税込) 記載なし(別途必要) 年額のみ掲示 115,200円 345,600円

オクレンジャーの行だけは前提が違います。同社の特定商取引法に基づく表記には「該当ページで販売価格(消費税等含む)を表示」とあり、掲示額は税込です。また初期設定費が別途必要と明記されているものの、その金額は公開されていません。税抜・税込の違いと、非公開の初期費用を含めていない点を踏まえずに、この行を他社と単純に並べないでください

もう1段階、500名規模でも並べます。人数が増えると順位が変わる可能性があるためです。

サービス(500名規模) 初期・設定費用 月額 1年目 3年間の総額
ANPIC(500名) 100,000円 15,770円 289,240円 667,720円
安否確認サービス2 ライト(500ユーザー) 0円 18,800円 225,600円 676,800円
安否確認サービス2 プレミア(500ユーザー) 0円 23,800円 285,600円 856,800円
Safetylink24(401〜500人) 68,000円 21,800円 329,600円 852,800円
オクレンジャー(500ユーザー) 掲示されている金額は100ユーザーまで。500ユーザーの料金は公開されていない

100名規模ではANPICが最も低く出ますが、500名規模では安否確認サービス2のライトとほぼ並びます。初期費用が人数に比例して上がる製品は、規模が大きくなるほど価格優位が薄まるという構造です。自社の人数で計算し直さないと、この表の順位はそのまま使えません。

ここまでの金額は基本料金だけです。家族登録、マスタ連携、英語対応などを足すと総額は変わります。必要な機能を決めてから、その構成で並べ直してください。順位は簡単に入れ替わります。

安否確認サービス2(トヨクモ)

トヨクモ安否確認サービス2の料金プランページの画面キャプチャ。初期費用・解約費用は0円という説明と4つのプランの月額が並んでいる
出典:トヨクモ「安否確認サービス2」料金プラン。

他と比べた強み

料金・契約条件の軸で比較
  • 初期費用・解約費用がどちらも0円
  • 月額払いなら1か月から使え、更新手続きが不要
  • 上限ユーザー数ごとの金額が全て公開されている
  • 30日間、全機能を無料で試せる

他と比べた弱み

同じ軸での不利な点
  • 年額払いに割引がなく、月額の12か月分と同額
  • 上限ユーザー数で課金されるため、区切りの直上だと割高
  • ライトプランではファイル添付が使えない
  • 家族の安否確認はファミリー以上のプラン

50ユーザーまでの月額(税抜)は、ライト6,800円、プレミア8,800円、ファミリー10,800円、エンタープライズ14,800円です。プラン別の機能差、上限ユーザー数ごとの単価、3つの連絡機能の権限の違いは安否確認サービス2の料金と機能で詳しく扱っています。

Safetylink24

Safetylink24の料金ページの画面キャプチャ。通常版の利用人数別に設定費用と月額費用が並んだ表が表示されている
出典:Safetylink24「料金」。

他と比べた強み

料金・機能の軸で比較
  • 通常版では家族登録が利用人数に含まれず、1人につき最大6人まで無料
  • 1名につきメールアドレスを6つまで登録でき、経路を冗長化できる
  • 権限が4種類あり、閲覧のみの管理者を作れる
  • 人数帯ごとの設定費用と月額が全て公開されている

他と比べた弱み

同じ軸での不利な点
  • 設定費用があり、1年目の総額が高くなりやすい
  • 最低契約期間が1年間
  • 人数変更は追加でも削減でも5,000円/都度
  • 無料トライアルが14日間と短め

1〜100人で設定費用48,000円、月額9,800円。400人と401人の境目で設定費用が48,000円から68,000円へ上がります。人数帯の段差、4種類の権限、機能の3区分はSafetylink24の料金と機能にまとめています。

ANPIC

ANPICの料金ページの画面キャプチャ。人数ごとの初期導入費、運用費の1か月あたり、年額が並んだ表が表示されている
出典:ANPIC「料金」。

他と比べた強み

料金・機能の軸で比較
  • 1,000名までは50名単位という細かい刻みで、枠の余りが小さい
  • 100名規模の3年総額が4サービスの中で最も低い
  • 震度と地域を拠点ごとに設定できる
  • 余震時の送信抑制を設定できる
  • メール・専用アプリ・LINEの3経路で受信できる

他と比べた弱み

同じ軸での不利な点
  • 初期導入費が人数に比例し、1,000名で150,000円
  • マスタ連携と電話番号表示が有料オプションで、費用が非公開
  • サーバーが海外(Amazon EC2)にあり、国内設置要件の組織では使えない
  • 料金表は一部の人数のみ掲載

50名で初期導入費25,000円、運用費は月5,130円・年61,560円。年額は運用費の12か月分と一致します。震度設定の考え方、名簿更新の負担、オプションの扱いはANPICの料金と機能で詳しく整理しています。

安否コール

安否コールの料金ページの画面キャプチャ。スモール・スタンダード・エンタープライズの3クラスと月額が並んでいる
出典:安否コール「料金」。

他と比べた強み

機能・運用の軸で比較
  • 3クラスとも1人あたりの日額で示され、規模感をつかみやすい
  • 全プランでスマートウォッチ回答に対応
  • 認証がパスワードレス
  • 権限管理が10段階以上と細かい
  • スモールクラスでも家族安否と掲示板が使える

他と比べた弱み

同じ軸での不利な点
  • 3クラスとも年契約が前提
  • 100名規模の月額が15,000円〜で、4サービスの中では高め
  • 初期費用の有無が料金ページから読み取れない
  • 上位機能(GPS・MAP)は上位プラン扱い

スモールクラスは〜100名で月額5,000円〜(税別・年契約・50名から)、1人あたり3.3円/日。スタンダードクラスは100〜1,000名で月額15,000円〜、1人あたり5円/日。エンタープライズクラスは1,000名以上で月額30,000円〜とされています。配信速度は「平均54秒」と公表され、これは2024年能登半島地震における同社実績という注記が付いています。

3クラスの内訳、全クラス共通の仕様、年契約であることの実務上の意味は安否コールの料金と機能でさらに詳しく扱っています。

オクレンジャー

オクレンジャーの利用料金ページの画面キャプチャ。エントリーとスタンダードの2プランについて手動配信回数や地震自動配信などの対応可否が並んでいる
出典:オクレンジャー「利用料金」。

他と比べた強み

料金・契約条件の軸で比較
  • 年額そのものが掲示され、消費税等を含む金額として表示されている
  • 1ユーザー単位で契約でき、人数帯の境目で枠が余らない
  • 1人あたりの登録端末数に制限がなく、私用端末と会社端末を併用できる
  • 月間稼働率99.9%のSLAを掲げ、毎月の実績値を公開している
  • 無料トライアルで全機能を14日間試せる

他と比べた弱み

同じ軸での不利な点
  • スタンダードプランの金額が公開されていない
  • 気象・土砂災害・洪水系の自動配信がすべてオプション
  • 初期設定費とオプション料金が非公開で、総額を自分で試算できない
  • 掲示されているのは100ユーザーまで
  • 最低契約期間と中途解約の扱いが公開ページから読み取れない

エントリープランは50ユーザーで60,000円/年、100ユーザーで115,200円/年。2つのプランを分けているのは手動配信回数が年間36回か無制限かという1点だけで、地震自動配信、津波自動配信、自動集計、掲示板、導入時操作説明会はどちらのプランでも同じ扱いです。標準とオプションの線引き、稼働率の公表方法、確認できなかった条件はオクレンジャーの料金と機能で詳しく整理しています。

契約条件と家族登録の扱いを並べる

料金の次に判断を分けるのが、契約の縛りと家族の扱いです。ここは製品差が大きく、総額に直接効きます。

項目 安否確認サービス2 Safetylink24 ANPIC 安否コール オクレンジャー
最低契約期間 月額払いなら1か月から 1年間 料金ページに記載なし 年契約 公開ページに記載なし
解約費用 0円 料金ページに記載なし 料金ページに記載なし 料金ページに記載なし 公開ページに記載なし
家族登録 ファミリー以上のプラン 通常版は人数に含まれず1人6人まで 料金ページに記載なし スモールクラスから利用可 オプション(家族のアドレスは10件まで)
人数変更 上限の枠を変更 追加・削減とも5,000円/都度 50名単位で変更(1,000名まで) 料金ページに記載なし 1ユーザー単位で契約可(期中変更の扱いは記載なし)
無料で試せる期間 30日間 14日間 無料体験版あり 無料体験あり 14日間(全機能)

家族登録の扱いは、比較の途中で見落とされがちな割に金額への影響が大きい項目です。従業員100名の組織が家族も対象にする場合、Safetylink24の通常版なら追加費用はかかりません。安否確認サービス2ならファミリープラン(100ユーザーで月15,800円)となり、ライト(9,800円)との差は月6,000円です。家族を含めるかどうかを先に決めておかないと、比較の前提が崩れます

自動配信と受信経路の違い

安否確認システムの実効性を決めるのは、送れるかどうかではなく「届いて、返ってくるか」です。各社が公開している範囲で並べます。

項目 安否確認サービス2 Safetylink24 ANPIC 安否コール オクレンジャー
災害連動の自動配信 あり 気象庁発表データと連動 気象庁の地震情報を自動取得 あり(平均54秒) 地震・津波は標準、気象・洪水・熱中症はオプション
拠点ごとの条件設定 公式の料金ページに記載なし 設定条件・内容で配信 震度と地域を組織ごとに設定 公式の料金ページに記載なし 宛先・震度・発生地域を設定
連続配信の抑制 公式の料金ページに記載なし 公式の機能一覧に記載なし 送信抑制あり 公式の料金ページに記載なし 余震情報の配信有無を設定
未回答者への再送 設問への回答で集計 自動リトライあり 公式の機能ページに記載なし 公式の料金ページに記載なし あり(間隔と回数を選択)
受信経路 メール メール(1名6アドレスまで) メール・専用アプリ・LINE メール・スマートウォッチ メール・専用アプリ(登録端末数は無制限)
代理回答 あり(管理者が代理回答) あり あり(代理報告) 公式の料金ページに記載なし あり(代理回答機能)

「記載なし」は機能が存在しないという意味ではありません。各社が公開しているページの範囲で確認できなかったということです。要件として重要な項目は、見積もりの段階で個別に確認してください。

この表で目を引くのは受信経路の差です。ANPICのLINE連携と安否コールのスマートウォッチ対応は、メール以外の入口を持つという点で共通します。従業員がふだん開かない経路に頼ると、非常時の回答率は上がりません。自社の連絡文化に合う経路があるかは、機能表の中でも優先度の高い確認項目です。

もう1つ、連続配信の抑制に触れておきます。大きな地震の後には余震が続きます。しきい値を超える揺れが1時間に何度も起きれば、設定によっては安否確認が何度も飛びます。受け取る側からすると、同じ質問が繰り返し届く状態です。1回目には答えても、3回目には無視されるでしょう。抑制の設定があるかどうかは、平常時には意味が分からず、発災時に初めて効いてくる機能です。公開情報の範囲ではANPICが明示しています。他社にも同等の仕組みがある可能性はあるので、要件に入れるなら個別に確認してください。

用途から逆算して候補を絞る

小さく始めたいか、家族の安否まで確認したいか、拠点ごとに基準を変えたいかという3つの問いで候補を絞る判断表の図
3つの問いで、候補は2〜3社に絞れる。
状況 優先する条件 候補になりやすいもの
初めて導入する、まず試したい 初期費用0円・短期契約 安否確認サービス2(月額払い)
数年使う前提で総額を抑えたい 月額の低さ ANPIC
家族の安否まで追加料金なしで 家族登録の扱い Safetylink24(通常版)
拠点が分散し、地域別に判定したい 震度・地域の個別設定 ANPIC
社内連絡がLINE中心 受信経路 ANPIC
管理権限を細かく分けたい 権限の段階数 安否コール、Safetylink24
年額で予算を固めたい 年額の掲示 オクレンジャー(エントリープラン)
私用端末と会社端末の両方に届けたい 1人あたりの登録端末数 オクレンジャー(制限なし)
稼働率の実績値を稟議に使いたい SLAと実績の公開 オクレンジャー(毎月公表)
1,000人を大きく超える規模 大規模対応 Safetylink24(エンタープライズ版)、安否コール(エンタープライズクラス)

この表は「これを選べ」という推奨ではなく、公開されている条件から機械的に導いた候補です。実際には、既存の人事システムとの相性、社内のIT環境、担当者の運用体制が判断に影響します。最後は無料期間に実際に配信してみて、回答率と操作の手数を見るのが確実です。

導入前に社内で決めておく5項目

見積もりを取る前に決めておくと、各社に同じ条件を提示できます。条件がそろわない見積もりは比較できません。

決めること なぜ必要か 決め方の目安
対象者の範囲 ほぼ全製品が人数で課金する 正社員・契約社員・パート・役員・派遣のどこまでを含めるか
家族を含めるか 製品によって課金方法が違う 含めるなら1人あたり何人までを想定するか
使用年数の前提 初期費用の重みが変わる 1年で見直すのか、3年使うのか
拠点と地域の構成 自動配信の条件設定に影響する 事業所の所在地と、在宅勤務者の扱い
配信できる人の指名 権限がないと送信できない 夜間・休日を想定して複数名に割り当てる

5項目のうち、実務で最も抜けやすいのが最後の「配信できる人の指名」です。システムを入れたのに、いざというときに送信権限を持つ人が出張中で誰も動けなかった、という事態は起こり得ます。権限は最低でも2名、できれば3名に割り当てるのが現実的な設計です。

ここで決めた内容は、そのまま初期設定の作業に落ちていきます。名簿の列、グループの軸、震度のしきい値をどの順番で決めるかは安否確認システムの導入手順と初期設定で工程ごとに整理しています。

規模別に見たときの現実的な選択

同じ「安否確認システムを入れたい」でも、規模によって重視すべき点が変わります。公開されている条件から、規模ごとの考え方を整理します。

50名以下の組織

この規模では、月額の絶対額が小さいため、金額差は年間で数万円にとどまります。むしろ効いてくるのは担当者の手間です。専任の総務担当がいない組織が多く、設定や名簿更新に時間をかけられません。初期費用が0円で短期契約でき、設定があらかじめ済んだ状態で提供される製品から試すのが無理のない進め方です。

安否コールのスモールクラスは「〜100名」「50名から」という条件で、1人あたり3.3円/日と示されています。ANPICは50名で初期導入費25,000円と運用費5,130円。安否確認サービス2は50ユーザーのライトで月6,800円、初期費用0円です。3社とも年間10万円前後に収まるため、金額よりも操作性と設定の手軽さで選んで問題ありません。

100〜500名の組織

最も選択が難しいのがこの帯です。金額差が年間十数万円まで開き、かつ拠点が複数になり始めます。ここでは料金の刻みと、拠点ごとの設定の可否が判断を分けます。人数が区切りの直上にある場合、上限ユーザー数で課金する製品は割高になります。50名単位の刻みを持つ製品のほうが無駄が出にくくなります。

同時に、この規模では家族登録の要否がはっきりしてきます。従業員本人だけの安否で足りるのか、家族の状況まで把握しないと出社可否を判断できないのか。この1点で、選ぶべき製品もプランも変わります

500名を超える組織

この規模になると、人事システムとの連携が現実的な要件になります。手作業での名簿更新は破綻するからです。連携機能が標準なのか有料オプションなのか、APIが用意されているのかを、機能表ではなく見積もりで確認する段階に入ります。

また、1,000名を超えると公開価格の範囲を外れる製品が出てきます。安否確認サービス2は1,000ユーザーまでの価格を公開し、それ以降は問い合わせとしています。Safetylink24は10,000人まで公開し、10,001人以上はエンタープライズ版として別建てです。公開価格から自社の総額が読めるかどうかは、規模が大きいほど怪しくなります

無料期間に必ず確かめること

どの製品も無料で試せる期間を設けています。この期間を機能の見学に使ってしまうと、判断に必要な情報が得られません。確かめるべきは次の4点です。

確かめること 見るべき数字 分かること
実際に一斉送信してみる 送信から受信までの時間 公表値と自社環境での差
回答率を測る 24時間以内に回答した割合 通知が届いているか、操作が分かりやすいか
届かなかった人を数える 宛先不明・迷惑メール判定の件数 登録情報の劣化と、メール環境の問題
集計画面をそのまま報告に使えるか 転記が必要な項目の数 発災直後の担当者の負荷

とくに3つ目は、製品選びだけでなく自社の課題を洗い出す機会になります。どの製品を選んでも、登録アドレスが古ければ届きません。無料期間に一度送ってみることは、名簿の棚卸しを兼ねています。

導入後に同じ確認を年1回続ける形が、そのまま訓練になります。年間の日程の決め方と、記録しておく指標は安否確認の訓練設計と回答率の上げ方にまとめています。

無料期間の長さは製品によって違います。安否確認サービス2は30日間、Safetylink24は14日間です。短い製品から先に試すと、準備の手戻りが少なくて済みます。名簿のCSVを先に用意しておけば、2週間でも予行練習まで到達できます。

稟議を通すときの説明の組み立て

安否確認システムは、導入しても売上が増えるわけではありません。そのため「必要性は分かるが、優先度が上がらない」まま何年も先送りされがちです。稟議で止まらないようにするには、説明の順序を変えると通りやすくなります。

効果が薄いのは、地震の発生確率や被害想定から入る説明です。数字は大きくても、自社に起きるかどうかが不確実なため、判断が先送りされます。代わりに使えるのは、「いま同じことをやろうとしたら何時間かかるか」という現状の作業量です。

説明の材料 計算のしかた 効きやすい相手
手作業の所要時間 従業員数÷1人が電話できる件数×平均通話時間 現場の管理職
担当者の人件費換算 所要時間×担当者の時間単価×訓練回数 経理・管理部門
1人あたりの月額 月額÷従業員数 決裁者
取引先からの要請 BCPの有無を問われた件数 営業部門・経営層
既存の連絡網の穴 連絡先が最新でない人数 総務・人事

3つ目の「1人あたりの月額」は、決裁の場面で最も効きます。100名の組織で月額9,800円なら、1人あたり98円です。「従業員1人あたり月100円で、災害時に全員の状況を30分以内に把握できる体制を作る」という言い方にすると、金額の議論が具体的になります。

5つ目も実務的です。既存の緊急連絡網を開いて、いま何人分の連絡先が古いかを数えてみる。この数字は、システムを入れるかどうかとは別に、いま抱えているリスクの大きさを示します。導入しない場合でも、名簿を更新する動機にはなります。

導入後に必ず起きる3つのこと

製品を選ぶ段階では見えにくい運用の話を、先に書いておきます。どの製品を選んでも、次の3つは必ず起こります。

名簿が古くなる

入社、退職、異動、電話番号の変更、メールアドレスの変更。人が動けば登録情報はずれていきます。放置すると、通知が届かない人と、いない人への通知が両方積み上がります。人事データとの連携か、手続きへの組み込みか、どちらかを最初に決めておく必要があります。連携機能を有料オプションにしている製品もあるため、見積もりの段階で確認しておくと後で困りません。

担当者が代わる

総務や人事の担当者は数年で異動します。引き継ぎが口頭だけだと、「ログイン方法が分からない」「誰が送信権限を持っているのか不明」という状態になります。年に一度の訓練と同じタイミングで、手順書の更新と権限の棚卸しをセットで回すのが現実的です。

回答率が下がる

導入直後は珍しさもあって回答率が高く出ます。数年経つと、通知に慣れて後回しにする人が増えます。配信を増やせば慣れは進むので、対策は回数を増やすことではありません。自動配信のしきい値を適切に保ち、送る回数を絞るほうが、いざというときの反応は良くなります。

訓練の回数を増やすことと、回答率を上げることは同じではありません。年に何度も安否確認が飛ぶ組織では、従業員が「また訓練か」と判断して後回しにします。回数より、送る理由がはっきりしていることのほうが効きます。

このページで扱わなかったこと

正確を期すため、このページの限界も明示します。

  • 価格を公開していないサービス(セコム、ALSOKなど)の条件は比較していません。
  • 各社のサポート体制、導入支援の厚み、障害時の対応については公開情報が限られるため、比較表に含めていません。
  • 利用者の満足度や導入社数など、検証できない指標は扱っていません。
  • オプション費用が非公開の項目(ANPICのマスタ連携など)は、総額の計算に含めていません。
  • 金額はすべて各社の公開情報にもとづく計算値であり、実際の見積もりと一致するとは限りません。

安否確認システムは、導入して終わりではなく、年1回の訓練と名簿更新が続く運用です。製品選びに使う時間と同じくらい、運用を誰が回すかを決める時間を取るほうが、結果として機能します。

すでに別の製品を使っていて入れ替えを検討している場合は、契約更新日から逆算する進め方と、移行で作り直しになる範囲を安否確認システムの乗り換えと解約にまとめています。

また、このページの金額は各社が公開している時点の情報にもとづきます。料金改定、プランの再編、キャンペーンによって変わる可能性があるため、契約前には必ず公式サイトの最新の表を開いて突き合わせてください。本ページの表は、比較の出発点として使うものです。各社の詳細は、それぞれの製品ページにまとめています。

サービス 詳しく読む とくに確認したい点
安否確認サービス2 料金と機能の詳細 上限ユーザー数と実際の登録人数の差
Safetylink24 料金と機能の詳細 人数帯の境目と変更手数料
ANPIC 料金と機能の詳細 有料オプションの要否とサーバー所在地
安否コール 料金と機能の詳細 年契約であることと、クラスの切り替わる人数
オクレンジャー 料金と機能の詳細 手動配信の回数と、風水害系がオプションである点

よくある質問

結局どれがいちばん安いですか

人数と年数で変わります。100名規模・3年間の公開価格ベースではANPICが最も低く出ますが、500名規模では安否確認サービス2のライトとほぼ並びます。家族登録やオプションを含めると順位は変わります。

初期費用が0円のものを選べばよいですか

1年で見直す可能性があるなら有効です。3年以上使う前提なら、初期費用の重みは薄まり、月額の差が効いてきます。

家族の安否も確認できますか

製品によって扱いが違います。Safetylink24の通常版は家族登録が利用人数に含まれず1人につき最大6人まで、安否確認サービス2はファミリー以上のプラン、安否コールはスモールクラスから家族安否に対応と案内されています。

セコムやALSOKはなぜ載っていないのですか

公式サイトで料金を公開していないためです。このページは、読者が自分で総額を計算できることを掲載条件にしています。製品として劣るという意味ではありません。

地震以外の災害でも自動配信されますか

各社とも気象庁の情報と連動すると説明していますが、対象とする情報の範囲は公開ページから完全には読み取れません。オクレンジャーだけは線引きが明示されており、地震と津波は標準、気象警報・土砂災害・記録的短時間大雨・指定河川洪水予報・熱中症警戒アラートはいずれもオプションとされています。台風や大雨での運用を想定している場合は、個別に確認してください。

スマートフォンを持っていない社員はどうしますか

代理回答(代理報告)の機能を持つ製品があります。管理者が本人の代わりに安否を登録できます。また、Safetylink24は1名につきメールアドレスを6つまで登録できるため、家族の連絡先を登録しておく方法もあります。

導入にどれくらい時間がかかりますか

名簿の準備が最も時間を取ります。ユーザーとグループをCSVで一括登録できる製品が多いので、人事データの形が整っていれば、無料期間内に予行練習まで到達できます。

このページで参照した一次情報

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です